
単館系映画の中でも、特にマイナーな作品ばかりかける横川シネマという映画館がありまして(先日紹介したネコカフェの近く)、かつてポルノ専門館であった時代の面影を残す昭和な佇まいが大変味わい深いステキな映画館なのですが、個人的にちょっと行きにくい場所であるため、足を運んだのは2006年の『ある子供』以来。
『カスタムメイド10.30』では、横シネの二階に木村カエラちゃんが住んでたのよ。
※下の方で映画の内容をかなり詳しく書いているので<あらすじ>は端折りまっす。
(マーターズ 公式サイト)
いやー。ウワサに違わぬ衝撃作でございました。すごいもん観ました。
事前に聞いていた<女の子が監禁虐待される><ものすごく残虐非道><衝撃のラスト>といった断片的な情報から、『ホステル』みたいなのを想像していたのですが、これは似て非なる新機軸。
最近めっきりグチャッとしたのがダメで、ノコギリとか金槌とかチェンソーとか痛そうな道具を駆使してジワジワと切り刻む系は胃腸に悪いのう・・・と弱腰だったんだけど、その点に関しては想像した種類の暴力とは違ってて自分としては許容範囲内。
最後まで目をそらすことなく観ることができました。
と言っても、もちろん充分過ぎるほど残虐でしたけども。
ネタバレ厳禁ムービーですが、以下、ラストまで完バレしてます。
これからご覧になる方はご遠慮ください。
この作品、ポスターからも伺い知れる通りヒロインが二人いるのが特徴。
前半と後半で映画の雰囲気がガラリと変わるのですが、ヒロインも前半後半でチェンジするという構成が、斬新で面白いなと思いました。
リュシーとアンナ、二人とも黒髪でまるで姉妹のよう。
特にリュシーが好みだわ
ちょっとアジア系入ってる感じの見た目が個性的で良いです。
で、前半のヒロインはそのリュシー。
10歳のリュシーは、廃工場のようなところで何者かに監禁虐待されていたが、自らの力でなんとか脱出。
保護された小児科病院?で、同世代の少女アンナに出会う。
犯人は捕まらず、事件はトラウマとなりリュシーの心を苛み続けた。
15年後。
スクリーンに映し出されるのは、何の変哲もない家族の朝の食卓。
他愛もないことで笑い合う、父、母、兄、妹。とても幸せそう。
この人たち誰?リュシーはどうなった?と思うやいなや、家族の元へ朝っぱらから訪問者が。
ヤな予感。
玄関に立っていたのは、フードをかぶり猟銃を手にした女。
女は成長したリュシーで、猟銃で家族を皆殺しにしてしまう。
初っ端から非常にショッキングなシーンですが、映画全体からすればまだまだ序章にすぎません。
大体予想はつくけど、これはリュシーの復讐。いや、身を守るために仕方なくやったことか。
リュシーが殺した夫婦は15年前の事件の犯人で、リュシーは彼らの罪なき子供達までもブチ殺してしまったのでした。
なんで子供まで?リュシーがここまで激しく思い詰めてしまったのにはワケがある。
事件以来、リュシーは全裸で傷だらけで関節の曲がり方が気持ち悪いバケモノのような女の亡霊?に襲われ続けており、犯人を殺せば女が消えると信じていたのだった。
この全裸の女ってのがねぇ・・・ハンパなくコワイんす
リュシーの狂気が見せる幻なのか、それとも本当に存在するのか。
この時点では判断できないのだけど、オバケ的なものって基本的に神出鬼没じゃないですか。
だからコワイ
クローゼットに隠れたって後ろから突然ナイフを突き立てられそうで・・・
リアルな犯罪モノなのかオカルトもアリなのかなんだか分からないまま容赦なくお話が進んでいくテンポの良さが、とてつもない緊迫感を生んでいて秀逸。
その後もまあいろいろありまして・・・後半戦。(手抜き
)
リュシー退場後、ヒロインはアンナにバトンタッチ。
アンナは、惨劇の館の隠された地下室を発見する。
(二転三転するストーリーってやつです。つかとっとと警察に連絡せい。いかにも怪しい地下に一人で行くな!とお姉さんは言いたい)
冷たい地下室の真ん中にポツンと置かれた椅子。
長い鎖の先の暗闇には・・・痩せこけ傷つき、壮絶な姿になり果てた女が繋がれていた!!!
(この人がまたねぇ・・・筆舌に尽くし難いビジュアル)
一刻も早く警察か病院に電話すべきシチュエーションですが、なぜか女を湯船につけて放置したまま居眠りしてしまうアンナ。
(頭部に直付けされたヘッドギアを外すシーンは痛かった・・・お願いだからそういうのはお医者さんにやってもらってください)
そこへ突然、黒づくめのスワットみたいな連中がドヤドヤと乱入。
もしかして警察の人?騒ぎを聞きつけて駆けつけてくれた??
という淡〜い期待は、アンナの髪を鷲掴みにして地下に連れて行くという乱暴な行為であっさり却下。。。
悪い人たちだ。間違いなく監禁する側の人たちだよぉー。アンナお先真っ暗・・・
ここでやつらのボスとおぼしき高齢の女性<マドモアゼル>登場。
(こんなにもバイオレンスな映画なのに、メインキャストは女性ばかり)
「リュシーやあの女だけじゃない。被験者は何人もいた。その境地に達することのできる人間は滅多にいないけど、若い女の方がなりやすいのよ」
カルト教団かなんかでしょうか・・・
とにかく長年に渡り、組織で監禁虐待を繰り返してきた模様。
組織の目的は暴力そのものではなく、暴力によってもたらされる苦痛の果てにあるもの。
死の間際にあってなおこの世にあり続ける人間<MARTYR=殉教者>が見るという、<もうひとつの世界>
つまりここでようやく、15年前リュシーを監禁虐待した犯人の正体、その目的が明らかになるというわけ。
当然ながらアンナもまた、彼女の意思とは関係なく殉教にチャレンジ!させられます。
未来永劫続くかと思われる屈辱的な暴力は、あくまで淡々とドライであるがゆえにキツイ。
アンナは苦しみもがき、肉体的にも精神的にも追い詰められていきます。
苦痛と恐怖を乗り越えるため、アンナは心の中のリュシーに語りかける。
「どうすれば恐くなくなるの?」「身をゆだねるのよ」
アンナはもう、暴力に逆らいません。
そしてついに・・・<殉教への道>ラストステージ。
顔面のみ残し全身の皮膚を剥かれ、パッと見<なんか赤くてヌラヌラした全身タイツ>を着た人みたいになってしまった哀れなアンナ。
上目使いでイッちゃった感じの目つきこそが殉教の証拠らしく、マドモワゼルは17年間待ちに待ったこの瞬間、アンナに問いかけます。「何を見たの?」
マドモワゼルの耳元でアンナは何かしら囁きますが、私たちには聞こえない。
館に組織の会員らしき金持ちげな老人たちが集まってくる。
彼らはアンナが見た<もうひとつの世界>の存在を、マドモワゼルから伝え聞くためにやってきた。
「最終段階まで到達することができたのは17年間で4人。殉教者はアンナのみです。彼女に敬意を払ってください」
なんたる身勝手。なんたる傲慢。
どいつもこいつもてめぇで試せ。ほんでとっととあっちの世界にいてまえっっっ!!!!!(#`皿´)
・・・と、いいかげんスクリーンに向かって絶叫したくなりました。
とにかく彼らは大真面目。真剣なのです。だからこそタチが悪い。
しかーし!マドモワゼルは彼らに何も伝えないまま、ただ「疑い続けなさい」という言葉のみ残して・・・自殺。
・・・えええええーーーーーっっっ!?どゆこと!?Σ( ̄ロ ̄lll)
なんという唐突な終わり方。とってもモヤモヤしますた。
個人的には猟銃持ったリュシーちゃんに再登場してもらって全員ぶっ殺してもらいたいくらいですけども・・・
アンナがマドモアゼルに何を言ったか知らんけど、その言葉は彼女を完膚なきまでに叩きのめした。
そして何も教えてもらえなかったじいさんばあさん達はさぞかし絶望し、今まで以上に死を恐れながら余生を送ることになるのではないでしょうか。
そうでも考えなきゃ、犠牲となった人たちが報われないです。
バカ長い感想になってしまいました。
とにかくものすごーく、濃密な2時間。
全く予想もつかない展開でラストまで引っ張る引っ張る。
まごうことなき問題作ですが、近年稀に見る斬新さと面白さを兼ね備えた作品であることも確か。
映画館で観ることができて良かったです。
これが監督2作目のパスカル・ロジェには、かつて『ヘルレイザー』リメイクの話があったみたいだけど既に降板になったらしい。残念だわん。
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