トゥモロー・ワールド
そういえば・・・秘密の部屋では爆睡してしまったけど(寝不足だったからです、きっと)、アルフォンソ・キュアロン監督の『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』を観て初めてハリー・ポッターシリーズの楽しさに目覚め、炎のゴブレットもいそいそと初日に足を運んだのだった。ハーマイオニーちゃん萌え。
予告篇の印象やタイトルだけだと、一見凡庸な作品かと思ってしまうこの『トゥモロー・ワールド』・・・うぅむ。予想以上に重厚な作品でした。
いつも手抜きであらすじらしきものは特に書いていなかったのですが、今回からちょこっとだけ書いてみることにします。
西暦2027年。人類には既に18年間子供が誕生していなかった。絶望を生きる男・エネルギー省官僚のセオ(クライヴ・オーウェン)は、かつての妻・ジュリアン(ジュリアン・ムーア)率いる地下組織FISHに拉致される。目的は、ある少女をヒューマン・プロジェクトという組織に引き渡す計画に必要な通行証。しかしこの少女こそが、人類の未来を変える存在だということを、セオは想像もしていなかった。 (トゥモロー・ワールド公式サイトより)
未来と言っても、そこは現在と地続きの未来。ロンドンで撮影したというスクリーンの中の街並みは一見何の変哲もないけれど、間違い探しのように現在にはない要素が散りばめてあります。そして何より違うのは、希望を失った人々の表情。人類で一番若い18歳の少年が刺殺されたというニュースを聞いて、すべての女性が我が子を失ったかのようにすすり泣いているのが印象的でした。
昨今のUKロックはたくさん流れるけれど、車のステレオから流れる音楽であったり、街のどこかから聞こえてくる音楽であったり・・・この世界の中の音であって、映画的なBGMは殆どなかったような気がします。束の間の幸せ的なシーンの後の車襲撃シーン。ジュリアンのあまりに早い退場に驚きましたけど、効果的なBGMなんぞなくとも、まるで自分も車の中にいて襲撃されているかのようなリアルな恐怖感がありました。
ジャスパー(マイケル・ケイン)みたいなおじいちゃんが禅ミュージックを大音量で聞いていたり、ミリアムみたいなおばちゃんがドレッドヘアだったりするのもなんだかリアル。現在の若者の数十年後ってこんな感じかも?
殆どのシーンに登場する犬や猫、その他の動物たち。子供のいなくなった未来、ペットを家族同様に大事にする人は今以上に多くいるだろうし、”終わっていく世界”と”犬”ってなんかしっくり来るなーと思いつつ連想したのは『ターミネーター』のラストシーンでサラ・コナーと一緒に車に乗ってたシェパードだったのだった。ワンコってかわいいだけでなく、危険を察知してくれたり身を守ってくれたり、相棒としていろいろ役に立ってくれそうだもんね。その点ニャンコは・・・役立たず!
そしてやはり特筆すべきは、ラスト近くの長回しのシーン。手持ちカメラのレンズに血糊が飛び散ろうとおかまいなしのそのシーンは、まるでドキュメンタリー映像のような臨場感がありスゴイことになっております。
その後はもう、流れる涙を止めるすべはなく。みんな人類の未来を守りたいはずなのになぜ?十字を切る政府軍の兵士も、「赤ん坊を抱いたら涙がこぼれたよ。あまりに小さくて」とセオに語るFISHのリーダーも、難民も、最初はみんな赤ちゃんで、両親がいて、全員が”人類の子供”であるはずなのになぜ?ピカソの描いたゲルニカから、結局何も学ぶことはできなかったの?・・・などと素直に思いました。
私だって女性として生まれたからにはいつかは子供を産みたいと思うけど、いくら欲しくても恵まれなかったらすごく哀しい・・・というか、空虚というか、このなんともいえない胸に穴が空いてしまったかのような気持ちは、もしかしたら男性には理解し難いかもしれません。そんなこんなで映画の中の無条件で子供を守る女性達にはやはり共感してしまったり。
子供の笑い声やはしゃぐ声って、なんだか心地良いもの。エンドロールで流れるそれらが、明るい未来の象徴でありますように。
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鑑賞日時:2006年11月26日 (日),14:00〜 70人ぐらい
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う〜ん、、、...... [続きを読む]
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コメント
こんばんは。TBありがとうございます。
>うぅむ。予想以上に重厚な作品でした。
ブロガーの皆さん、大きく予想を裏切られての好評価。凄い作品でした。ハリポタの監督も大衆向けの娯楽大作かと思いきや…、
結構後世まで「ベストセレクション」のひとつとして選別されるのではないでしょうか…。
投稿: 八ちゃん | 2006年11月24日 (金) 22時57分
こんばんは。TBとコメントありがとうございました。
こちらこそ、ちょっとご無沙汰でした。
わたしも予想を覆されてしまったひとりです。
キャストで観ようとして、予告に挫け、ブロガーさんの感想で慌てて観に行く、という経緯でしたが、
いい方向へ裏切られて、今はあの荒廃したどす黒い町を、
世捨て人のようなセオと共に逃げて来た錯覚を覚えるくらいです。
わたしは子どもどころか、もう数年もすれば孫が生まれるかも、な年齢ですが、
もし、子どもがいなくなったらどうなんだろうと、
本気で考えてしまいました。
投稿: 悠雅 | 2006年11月24日 (金) 23時12分
人間賛歌な映画でした。
たしかにBGMは“映画の中の音楽”、登場人物たちに聞こえているBGMでした。
鋭いですね!
男性は赤ちゃんをお金のために利用しようとする人もいるけど、女性は赤ちゃんを見ると無条件に受け入れ助けようとする描写は、やっぱり体を痛めて産むのは女性というのがあるのかもしれませんね。
TBありがとうございました。
投稿: とりこぷてら | 2006年11月25日 (土) 06時15分
八ちゃん様
ハリポタの監督、スゴイ人だったんですね!
ありがちな娯楽大作かと思っていたけど
観に行って大正解でした。
丁寧に説明なんかしてくれなくても
観る人が様々にメッセージを受け取ることのできる作品っていいなと思います。
投稿: kenko | 2006年11月25日 (土) 09時37分
悠雅様
お返しTB&コメントありがとうございます♪
実は私も、ブロガーさんの高評価を見て
慌てて観に行ったひとりでございますw
世捨て人のようなセオ・・・良かったなぁ!
あれがベラベラしゃべる人だったら台無しでしたねw
観終えた後、道行く子供達が奇蹟に思えました・・・てゆーか、奇蹟なんですよね☆
投稿: kenko | 2006年11月25日 (土) 09時44分
とりこぷてら様
久々にスゴイ映画観ちゃったなぁ!って感じです!
”映画の中の音楽”だったよなぁ?・・・と結構自信なく書いたのですが(←無責任)、
とりこぷてらさんもそうおっしゃってくれるなら間違いないかしら?
男性と女性の描写の違いはありましたけど、
セオが赤ちゃんを取り上げる出産シーンは感動的でした☆
投稿: kenko | 2006年11月25日 (土) 10時05分
kenkoさん、ご覧になったんですね!^^
いろんな感想を読むと
新たな発見されてる方いたりして、やっぱり
奥深い映画だと思いました^^
多分、近未来の世界観や背景や物語は十分に
討議して考えた上で、「主人公と一緒に
逃げる」一点だけに絞った作品に
しちゃったんだと思います。動物が
繁殖してるとか、有名な美術品が
あの会食の場所に置かれていたりとか、
いろんなパーツから想像できることが
沢山。
「ターミネーター」とは違うタイプの
映画ですけど、ひょっとしたらセオは
人類再生の救世主だったかもしれない
って展開は
助ける展開はちょっと似ています
よね^^
セオにやたら犬や猫がなついたりしてるのが
印象的でした!
投稿: kazupon | 2006年11月25日 (土) 12時41分
kazupon様
観てきましたよ~
非常に観ごたえのある映画でした。
近未来モノでもすんごい未来モノでも、SFものって元々好きな方なのですが
この『トゥモローワールド』の世界観もかなりカッコ良くて気に入りました。
カッコ良いばかりでなく、おっしゃる通りいろんな方の感想を読ませて頂くと、
みなさん様々な発見をされていたり、メッセージを受け取っていたりもして
とても面白いです。
ごちゃごちゃした説明がなかったり、
主人公が一見無口で無愛想なのもこれまた好みw
そうそう、セオってワンちゃんネコちゃんに大人気でしたよね~
FISHのアジトで足元にくっついてくる子猫がかわいかった!
投稿: kenko | 2006年11月26日 (日) 22時40分
kenkoさん、こんにちは。
この度はトラバ&コメントありがとうございましたm(__)m
ありえそうな未来の描写が怖い映画でしたね。評価は結構賛否極端ですが、わしは大好きでしたー。
イギリス人って異世界を作らせたらほんとにウマイです。ハリウッドはどんな作品でもアメリカにしちゃうところを思うとお国柄が出てて面白いなー、と思います(笑)。
また遊びにきますね。
それではー。
投稿: 発生 | 2006年11月27日 (月) 22時26分
発生様
TBとコメントのお返しありがとうございます。
未来の描写がやたらリアルで怖くて、でもなんかカッコ良くて…そして感動しちゃいました!
>イギリス人って異世界を作らせたらほんとにウマイです
そうかも!独特の雰囲気がありますね☆
とっさに思いつくのは未来世紀ブラジルだったりします。
この映画とは全然タイプの違うSFだけど。。。
ハリウッドはハリウッドで大好きです♪
ぜひまたおいでください!
投稿: kenko | 2006年11月28日 (火) 12時22分
こんにちわ!TB&コメントありがとうございました!
≫いくら欲しくても恵まれなかったらすごく哀しい・・・というか、空虚というか、このなんともいえない胸に穴が空いてしまったかのような気持ちは、もしかしたら男性には理解し難いかもしれません。
うん・・・ホントそうですよね。
というか、この物語の中では不妊の原因が女性にばかりあるような描写をされていましたが・・・男性に問題はないということなんでしょうか?
説明を排除した形で進行していく物語なので、ちょっと分かりにくいところもありましたが、秀逸な描写も満載でなかなかの作品だったと思います。
投稿: 睦月 | 2006年11月28日 (火) 17時39分
睦月様
睦月さん、こんばんは☆
ちょっとこの映画に感情移入し過ぎて、
記事にもやや感情的なことを書いてしまいましたw しかし今更訂正できず。。。
不妊の問題って何かと女性側のせいにされやすいですよね。
なんでなのさ?!(←また感情的になってる)
説明を排除したスタイルである為、私もよく分からないところはいっぱいあるのですが、
それがまた逆にそそられる感じでした!
投稿: kenko | 2006年11月28日 (火) 21時48分
kenkoさん、性懲りもなく、なんだか
撮影とかも一度観たくなって
また観にいってしまいました。(笑)
再度TBさせていただきますが、
こんなにDVDのメイキングとか
めちゃくちゃ観たい作品は久々ですわ~
あいかわらず劇場はガラガラでしたが・・・。
投稿: kazupon | 2006年11月30日 (木) 16時38分
kazupon様
ハマりましたね~kazuponさん!
kazuponさんの2回目の記事を読ませて頂いていたら、
私もむちゃくちゃ観に行きたくなっちゃいましたよ~☆
劇場ガラガラでしたか…
上映が終了してしまう前に急がないと!(←もう観に行くことにしてるw)
DVDの発売が楽しみですね!
投稿: kenko | 2006年11月30日 (木) 17時43分
こんばんは!
TB&コメント、ありがとうございました。
>子供の笑い声やはしゃぐ声って、なんだか心地良いもの
そうですね~。
やはり子供たちの笑い声の聞こえない世界なんて、
想像するだけでも怖くて暗い気持ちになります。
あのエンディングの演出も上手いな~と思いました。
言葉や映像であれこれ説明されるよりも、
ずっと説得力がありましたね。
投稿: 伽羅 | 2006年12月 2日 (土) 01時01分
伽羅様
子供がいないってつまり未来に託すものが何もないってことで・・・
想像するだけでもコワイのに、
この映画はそれをほんとにリアルに描いてましたよね。。。
セオがゲルニカを見て
「こんなもの大事にしたって、100年後に誰が見るっていうんだ」
と言っていたのが印象的でした。
エンディングの子供の笑い声が沁みました~
投稿: kenko | 2006年12月 2日 (土) 18時04分
kenkoさん、本当お久しぶりです~^^
そうそう。私ね、なんかダメだったんですよ。。この作品(*_*)
突っ込みがたくさんある映画でも結構割り切って
観る性質なのですが、どうもこうも肌があわず・・
でも、子供っていつか欲しいですよね~。
たまに思うのですが、すんごい好きな人と結婚できた。
それなのに、子供が生まれない。これが原因で夫婦仲も悪くなり離婚。。
とかもあるじゃないですかぁ?そういう先のことがたまに心配になります。
っていうか早く結婚しろ!って感じですけどね^^
そうそう、kenkoさんリンク貼らせてもらって良いですか?
投稿: へーゼル☆ナッツ | 2006年12月 4日 (月) 13時57分
ヘーゼル☆ナッツ様
お久しぶりですよねー☆
映画でも小説でも、感じ方は人それぞれですもの。
いろんな方のいろんな感想を読ませて頂くのはとても楽しくて、
ブログを始めて良かったなと思っています♪
私は結婚して3年でまだ子供はいませんけど
幸いにも夫婦仲は良好☆
でもたまに周りからのプレッシャーを感じることもあったりなかったり。。。
いつかは欲しいと思ってはいるんですけどねぇ。
リンクを貼って頂けるなんて光栄でございます!ぜひぜひよろしくお願い致します☆
投稿: kenko | 2006年12月 4日 (月) 14時33分
おはようございます。コメント&TBありがとうございました
なんでやたらと小動物が出てくるのか疑問に思ってましたが、そうか、「子供代わりに飼ってる」ということだったんですね~ 殺伐としたストーリーを、やや和めてくれていました
映画における「終末」って「隕石ダー!」「大災害だー!!」と大騒ぎするようなものがほとんどですけど、真綿でじわじわと首を絞めるような「終末」の描き方が独特でした。この「子供が生まれない」という発想は、原作者が女性だから思いつけたんじゃないでしょうか
投稿: SGA屋伍一 | 2006年12月14日 (木) 08時10分
SGA屋伍一様
こちらこそお返事をどうもです☆
ワンコやニャンコは子供代わりに飼ってる…のだろうと思うのですが、
そのほか鳥や羊や鹿などの登場も、
人間だけが生殖機能を失った世界では
なんとも言えずシュールな雰囲気をかもし出していました。
原作者が女性だということは鑑賞中特に意識しませんでしたが、そうかもしれませんね~
子供が生まれなくなり、世界が少しずつ死んでいく…大災害に大騒ぎする終末よりも、
ずっと心が揺さぶられました。
投稿: kenko | 2006年12月14日 (木) 13時46分
kenkoさん、こんにちは!
余計な説明がない分、潔さがありましたよね。
わかりにくいかもしれませんが、より主人公たちの気持ちに近づけたかなとは思います。
監督の英断に拍手だと思いました。
TBうまくいかなくてご迷惑おかけします。
ココログベーシックは、スパム関係のガードが固いのはいいのですが、どうもなんでもかんでもはじいてしまっている感じで・・・。
投稿: はらやん | 2007年3月31日 (土) 16時51分
はらやん様
コメントありがとうございます!
セリフであーだこーだ説明されるよりも、
この『トゥモローワールド』のように映像表現でもって観る側に訴えかけてくる作品って
カッコイイなぁ!と思いました。
はらやんさんちは同じココログでもベーシックでしたか。
ココログフリーも最近ようやくスパム対策をしてもらえたのですが、
そのせいかどうかは分からないけどちょくちょくTBがうまく
反映されなかったりしているみたいです。
こちらが立てばあちらが立たずで・・・なかなかうまくいきませんね。
投稿: kenko | 2007年3月31日 (土) 20時37分
こんばんは!echo&コメ、ありがとうございました!
あのシーンには、素直に感動してしまいました。
たった1人の赤ちゃんの前に、全員が立ちつくすシーン。
この映画は、近未来ではあるケド、現実に対するメッセージだったと思いました。
またよろしくお願いしますね!
投稿: 猫姫少佐現品限り | 2007年4月15日 (日) 19時38分
猫姫少佐現品限り様
コメントありがとうございます!
>たった1人の赤ちゃんの前に、全員が立ちつくすシーン
私もあのシーンでは感動して涙がとまりませんでした・・・
いかにもな近未来ではないところが逆に新鮮でかっこ良く、
なおかつメッセージ性も強く感じましたね。
こちらこそまたよろしくです☆
投稿: kenko | 2007年4月16日 (月) 12時01分