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2006年12月

竹光侍

Takemitwu

改めて言うのもナンだけど、やっぱ松本大洋の絵はスゴイのだ。

松本さん、あなたの描くその絵こそ、物の怪にとり憑かれてやしませんか。

『竹光侍』は・・・

江戸のかたぎ長屋に住みついた浪人、瀬能宗一郎。剣の腕は立つが素頓狂。何を起こすか、起こさぬか。盟友・永福一成の原作を得て、松本大洋が新たなスタイルで江戸を描く!小学館ビッグコミックスピリッツにて連載中)

えらく簡単ですが、そんな感じの松本大洋最新作でございます。”竹光侍”って、刃の部分が竹でできているなんちゃって刀を差しているお侍様のことなのですが、コレって常識ですか?知らなかった私。。。

つかその盟友・永福一成って誰?時代小説とか書いてる作家さん?・・・などと勝手に想像しつつ調べてみると、僧侶でありながら漫画家でもあり、松本大洋のアシスタントを勤めたこともあるお方とのこと。へぇ。しかしどうやらマンガはもうほとんど描かれていないようだし、過去の作品の絵柄を見る限り正直あまり魅力を感じないけど、永福さんの考えたお話+松本大洋ワールド・・・これがまた!第1巻にしてかなりキテおるのであります。

前作『ナンバーファイブ』も大好きな作品ですが、最初の頃は絵を楽しんではいたものの実はそんなに特別な魅力は感じていませんでした。なぜかと言えば1巻2巻あたりの『ナンバーファイブ』では、ほのぼのテイストが強くダークサイドな松本ワールドは影を潜めているように思えたから。私ってば全然分かってなかったわけですよ。ほのぼのしたまま終わるハズがないじゃん?物語が進むにつれ、ストーリーもキャラクターも絵もどんどん加速していきました。私が持っているのは全8巻バージョンだけど、現在A5サイズ全4巻の普及版なるものが発売されているようです。(全8巻バージョンは総額6880円。普及版だと4100円。普及版の方が2780円もお得じゃないかよぅ~)

こちら全8巻バージョン第8巻の表紙。立体感があってこっちの方がカッコいいんだもん!

No5

ここ最近の松本大洋氏の絵はとんでもないレベルに到達しちゃってます。『ナンバーファイブ』とか眺めていると、様々なテイストの絵柄を自在に描き分けられる画力にホント驚いてしまうのですが、今回の『竹光侍』の絵もこれまでとはまた全然違う雰囲気で、なんつーか狂おしいほどにビューーーティフル!!なのです。毎度のことながらいたるところに小動物が登場し、本編と関係あったりなかったりするセリフを呟いたりしててとってもシュールなのですが、私コレがたまらなく好きで。めっちゃかわいーん♪

謎めいた主人公・瀬能宗一郎がこれまた非常に魅力的なキャラクター。蟷螂の夢とかすごくイイ。果たして彼は、物の怪にとり憑かれているのか、それとも物の怪そのものなのか。どうやら物語はこれからが本筋のようで。楽しみです。

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パプリカ

Paprika

普段はヒマジンの私も、年末はさすがにちょっぴり多忙。。。けっこう前に観た映画なのに、感想書くの遅くなっちゃった。

<あらすじ>

精神医療研究所に勤務しているサイコセラピストの千葉敦子は、所長からの依頼で極秘の治療を行っていた。それは、DCミニという機器を使ってクライアントの夢の中に入り込み行うもので、彼女はその時、”パプリカ”という全く別の人格を持つ少女になるのだ。夢の中でクライアントは、パプリカと行動することにより問題の解決法を見出していく。ある日、まだ開発途中のDCミニが盗まれ、敦子らの目の前で所長に異変が起きる。パプリカ公式サイト

今敏作品の大ファン・・・ってワケでもないのですが、なんだかんだでけっこう観ているかも。映画では『パーフェクトブルー』『千年女優』『東京ゴッドファーザーズ』、WOWWOWで放送されたTVシリーズ『妄想代理人』もかなりハマって観てました。純粋にアニメというよりは、わりとオーソドックスなアニメの手法を使った映画というイメージなのですが、妙にリアリティがあるのと同時にアニメでしかできない映像的な暴走をしまくっている点が独特だなーといつも思います。

終盤の展開に、「そんなオチかよぅ」と正直テンションの下がった『妄想代理人』にちょっと似ているけど、『パプリカ』は冒頭からもったいぶることなく”夢”が突っ走っていて、それがこれでもかとエスカレートしていく様が観ていて快感。これまでの作品の集大成と言ってもいい感じで、かなり気に入りましたです。

今敏監督って、現実と夢が入り混じって、さらにその境界線が曖昧になっていく・・・みたいなシチュエーションがきっとお好きなのでしょうね。でもなんか分かる、その気持ち。夢に見たわけのわからんモノ達が、もしも現実世界を侵食してきたら・・・あの悪夢の大行進のように気味が悪いかもしれないけど、そんな世界を見てみたい、という願望も同時にあるのだ。

私なんかの想像力の範囲外の、めくるめくイマジネーションの洪水に圧倒されつつ、時々挿入されるおちゃめなシーンに笑わされたり、思いがけずセクシーなパプリカにドキっとしたり・・・正にエンターテイメントって感じ。アニメ映画って、終わり方が尻すぼみでなんとなく気に入らない・・・というパターンがよくある気がするのですが、今作における、今敏監督お得意の映像の暴走が最大値まできたところで青空を背景にした静寂のシーンが突然訪れるあの落とし方は、すごく良かったと思います。

そして忘れてはいけないのが、今敏作品に欠かせない平沢進氏の音楽。『妄想代理人』の何が好きだったって、あの突き抜けたような音楽と共に唐突に始まるオープニング。『パプリカ』のオープニングも、溢れんばかりの疾走感にワクワクしました。

楽しい夢ならずっと見ていたいけど、イヤな夢だったら「早く覚めろ!私!」って夢の中の自分に語りかけることってある。覚めたつもりが実はまだ夢の中だったってことも。映画という夢ならば、いつまでも浸っていたいですけどね♪

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BIOMEGA

あれは確か、2004年6月―。『BLAME!』にハマりにハマった人々が、待ちに待ちまくった弐瓶氏の新連載がスタートしたのであった。その名は『BIOMEGA(バイオメガ)』

Biomega

しかも連載誌はなんと!週間ヤングマガジン!毎週毎週、弐瓶さんの新作が読めるなんて・・・そそそそんなシアワセありですかーーー??・・・と、いやがおうにもテンションは上がりまくり。そんなワケで、毎週月曜日には書店及びコンビニでええ歳こいてヤンマガを立ち読みするという日々がスタートしたのであった。(だって購入するにはラインナップがちょっと・・・)

『BIOMEGA』は、

西暦3005年。7世紀ぶりに火星への有人飛行を成し遂げた人類。水も酸素もない廃墟と化したかつての入植地で、宇宙飛行士達は一人の女性を発見する。その半年後、地球―。人々がN5Sウィルスによってドローン化した(要するにゾンビ)太平洋上の巨大な人工島・9JOに入島した重二輪に乗っていたのは、東亜重工から都市浄化と人命救助の支援を目的として派遣された合成人間だった。

さわりだけですが、大体こんな感じのお話です。弐瓶氏曰く、”ゾンビ+マッドマックス”(もしくは仮面ライダー)だそうな。分かりやすいね。

”ノンストップ・スプラッターSF”と銘打たれたこの『BIOMEGA』、どうやら『BLAME!』の世界ともリンクしている様子。なぜなら、主人公・庚造一(かのえ ぞういち)が東亜重工製の人造人間であったり、DRF(技術文化遺産復興財団)の下部組織である公衆衛生局の実行部隊の名前がCEU(セウ)であったりするんですもの。何より私がこ、これはぁ!と思ったのは、

巡回査察員の頭頂部の傷のこのカタチ!↓

Sasatuin

なんか統治局の額のアレを激しく連想させるんですけど!考え過ぎ?

ちなみに統治局の額のアレ↓

Touchikyoku

とにかく、『BLAME!』の世界では既に想像もつかないほど古代の遺産のような存在である東亜重工が、『BIOMEGA』では現役で機能している、という設定なのだろうか、とか、CEUって『BLAME!』の東亜重工篇に登場するあの実はイケメンだったセウといったいどんな関係が??とか、何がどのように繋がっているのかはさっぱり分からないんだけど、『BLAME!』にハマった人ならばドキドキせずにはいられない展開になっておるのです。

とはいえ、造一くんが霧亥と比べると妙にフレンドリーだったり、お話が意外にも分かりやすかったりするのが物足りないと言えば物足りないんだけど(連載誌が中高生向けのヤンマガであったことも関係しているかも)、暴走していくのはたぶんまだまだこれからに違いありません。有象無象のドローン達を、超高速バイクに乗った造一くんがやたらカッコ良いデザインの武器でなぎ倒していくシーンは既に暴走しているしね。

連載は数ヶ月続き、単行本第1巻も発売されたのですが(当然、初回限定Tシャツ付きBOXセットをお買い上げ♪)、その後mandayがやってくるたびヤンマガをめくってみても、BIOMEGAさんのお姿を拝見することができなくなりました。休載というにはあまりに長い月日が過ぎ去り、すっかりあきらめかけていた2006年春。集英社が発刊しているウルトラジャンプにお引越して連載再開との嬉し過ぎるニュースが!!いやっほーぃ!!

でもねー、ウルジャンってなんかご丁寧にヒモで括ってあって立ち読みできないのだ。むちゃくちゃ読みたいけど、単行本が出るまではじっとガマンガマン・・・(買えよ!)しておったのですが・・・

朗報!朗報です!!来月1月19日、『BIOMEGA』1・2巻、集英社より同時発売決定!!だそうです!!1巻は、講談社より発売されていたヤンマガ版に『BIOMEGA-Interlink』を加えての新装版なんですって。た・の・し・み・だぁ~!!

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鉄コン筋クリート

Teccon_2

むちゃくちゃ楽しみにしていた『鉄コン筋クリート』。私のこの熱い気持ちを知ってか知らずか、お友達が試写会のチケットをあっさり譲ってくれまして。『鉄コン~』の感動をいち早く味わえて超感動!!ホントにホントにありがとうーーー!!

<あらすじ>

義理と人情とヤクザの”地獄”の町<宝町>。自由に飛び回る<ネコ>と呼ばれる二人の少年、クロとシロのたった一つの住処。しかしそこへ、開発という名の地上げ、ヤクザ、暴力、実態の分からぬ”子供の城”建設プロジェクト、不気味な3人組の殺し屋の影、そして<ヘビ>とよばれる男が現れ、町は不穏な空気に包まれる。宝町が大きく動くとき、二人の運命も大きく揺り動かされる― 鉄コン筋クリート公式サイト

関連記事はコチラに♪

STADIO4℃がいかにデキるチームであるかは、これまでの作品で分かっちゃいましたが、今回も期待以上のとんでもなくすんばらしいアニメ映画に仕上がっておりました。

松本大洋が描いた、宝町という唯一無二の世界。その雰囲気を壊すことなく新しいイメージもたくさん取り込んで、さらにスケールアップしている背景にまずはウットリ。近未来のような、昭和初期のような、アジアのどこかの街のような・・・ものすごい情報量なのですが、それらは独特の色彩で統一されています。リアルな目が壁一面にあるバーの内装とかヤクザのビルとかめっちゃヤバイ。背景だけでもじっくり眺めていたいよ~!!・・・と思ったら、なんでも全国のパルコで今月、映画鉄コンのパネル展が開催されるそうで。行く!絶対見に行く!!(ちなみに広島パルコは12/16~12/25まで)

声の出演のほとんどは、今が旬!な俳優さんばかり。中でもクロ役の二宮和也くん、シロ役の蒼井優ちゃんの演技力には脱帽!「そっか、クロもシロもそんな声でそんな話し方をする子だったんだね」と、しみじみ感じ入ってしまうほど。先日観た『硫黄島からの手紙』でも二宮くんの確かな演技力に恐れ入ったばかりなだけに、ますます今後の彼の活躍から目が離せなくなりました。つーか二宮くん、鉄コンが連載されている頃からファンだったらしいけど、当時何歳?小学校高学年か中学校1年生くらいでしょ?ジャンプやマガジンではなくスピリッツを読んでいたとは早熟な子ですわね。クロやシロと同年代だった当時の彼にとってはさぞかし衝撃的であったろう・・・と想像します。その他、沢田役のクドカンや、ヘビ役のモックンなどもなかなかに良かったんですけど、個人的にはキャシャーンさんだけがどうなの?って思っちゃった。組長も別に東北弁でなくとも良かったような気もする。

実は前半、「あれ?そんなに端折っちゃうの?」とちょっとだけ思うところもありました。クロがギャングマン達を襲撃しに行くまでの間に、もう少しクロとシロの純粋な残虐性が垣間見えるようなエピソードを盛り込んでも良かったのではないかと。上映時間は111分と短めだし(アニメにしては長い方かもしれないけど)、後15分長くその為に割いたとしても、この秀逸過ぎるビジュアルにそれだけ長く浸っていられるなら自分としては全然オッケーなワケで。でも、シロの心象風景として登場するパステル画チックなタッチのアニメーションや、終盤のイタチがクロを取り込もうとするあたりのイメージに圧倒されてすっかり感無量になってしまい、そんなおこがましい不満は吹き飛びましたです。

世界に絶望しつつも、シロを守る為だけに自分は存在すると信じ、何のためらいもなく暴力を行使するクロ。宝町の痛みを繊細に感じ取りながらも、クロに守られ純真無垢であり続けるシロ。彼らは自由自在に町の上空を飛び、自分達の世界を守る為にギリギリのところで必死に戦っているのだ。10年以上前に描かれたお話だけど、来る日も来る日も子供達が傷つけられ、あるいは子供達が他者を傷つけ続けている今の時代にこそマッチしているような気もしました。どこにも救いがないようだけど、クロとシロのようにきっと希望を見出せる・・・と信じたい。

クロとシロを混ぜるとアオになるの。知ってた?

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父親たちの星条旗

Flagsofourfathers

最初からいきなりネタバレしちゃってるかも。。。                                                   

                                                                                                 

仲間と同じ言葉で”help me”と助けを求める日本兵・・・衛生兵であるドクは一瞬困惑した表情を見せつつも日本兵に止めを刺し、その直後、到底助かりそうもない傷を負っている仲間のアメリカ兵を助けようとする。冒頭から考えさせられるシーンでした。

<あらすじ>

太平洋戦争末期、硫黄島に上陸したアメリカ軍は日本軍の抵抗に苦しめられ、戦闘は予想以上に長引いていた。そんな中、擂鉢山の頂上に兵士達が星条旗を掲げた瞬間を撮影した1枚の写真が、アメリカ国民を熱狂させる。写真に写っている6名の兵士のうち、帰還したドク(ライアン・フィリップ)、レイニー(ジェシー・ブラッドフォード)、アイラ(アダム・ビーチ)の3名は、英雄として国民に迎えられ、戦費を調達するための国債キャンペーンに駆り出されることになる。父親たちの星条旗/硫黄島からの手紙公式サイト

『父親たち~』で描かれる日本軍は、気配を殺して塹壕から米兵を狙い撃つ銃口であり、恐ろしい砲弾を放つ真っ黒な擂鉢山そのもの。『硫黄島~』での、圧倒的な物量で島を落とさんとする戦艦やB29などの、鉄の塊でしかない米軍の描き方とダブります。でもその不気味な銃口の向こう側には、栗林中将や西郷がいて、日本にいる家族を守りたくて必死で戦っているだけなのだと、『硫黄島~』を観た後であるが故に思えました。そしてそれは、生きて家族や恋人の元に帰りたいと望む米兵達だって同じ。

戦闘シーンと、本国での帰還兵3人を取り巻く熱狂とが交互に映し出されることによって、若い兵士達の心に深く刻まれてしまった地獄のような戦場での真実と、それを知ろうともせず、ただもてはやしたり利用しようとしたりする人々とのあまりにもズレた認識や、人を殺した罪の意識に苛まれながら、責められることなく英雄扱いされる彼らの複雑な心情などが、徐々に理解できるような作りになっていました。

ドク役のライアン・フィリップも、レイニー役のジェシー・ブラッドフォードも、『54フィフティー★フォー』や『チアーズ!』の時にはカワイイ♪って感じだったのに随分とオトナになってた。理不尽な人種差別に苦悩するアイラ役のアダム・ビーチにはやはり涙。ジェイミー・ベルやポール・ウォーカーが出ていたのには全く気付かず・・・

ジェイミー・ベル演じるイギーが、いったいどんなリンチを受けて殺されたのかは語られないけれど、仲間の冗談にも簡単に騙されてしまうような純粋な青年・・・というよりは少年が、なぜそんな殺され方をしなければならなかったのか。”玉砕”という凄惨な最期を、日本兵達に選ばせたものは何なのか。戦場の混乱の中、味方に撃たれて死んだ米兵達は、とても無念だったと思うけれど・・・私にはただ戦争が彼らを追い込み、殺し続けている、という風にしか見えなかった。

戦争を始めたのは彼らではない。戦場へ若者を送り続け、人殺しをさせ、心にも体にも傷を残したあげく、”英雄”として祭り上げることによって国策に利用する。彼らの傷ついた心をさらに踏みにじり、その後の人生すら悲惨なものにしてしまうのです。そしてそれは、今も続いてる。

海で子供のようにはしゃぐ兵士達の美しい姿が、いつまでも忘れられません。

硫黄島からの手紙』を観てしまった後だと、正直どうしてもあちらの印象の方が鮮烈に残ってしまうのですが、この2作品は、アメリカから見た硫黄島と日本から見た硫黄島とを比べてみることはできても、映画としての良し悪しを比べるものではないなと思いました。というよりどちらも傑作であり、観ておくべき作品だと思います。

エンドロールで見られる当時の写真は映画の各シーンそのもので、多くの資料を元に、イーストウッド監督がいかにリアルな映像を我々に見せつけてくれたのかが分かりました。

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硫黄島からの手紙

Lettersfromiwojima

アメリカ資本の映画でありながらメインキャストは全員れっきとした日本人俳優、しかも監督はクリント・イーストウッドであることがまず驚き。こんなスタイルの映画、過去にないですよね?セピアともモノクロとも言い難い、カラー写真が時を経て色褪せたような風合いの映像が美しいと同時に、ザラザラとした質感は硫黄島の過酷な風土を表している気がしました。

<あらすじ>

太平洋戦争末期の1944年6月、アメリカ留学の経験もある陸軍中将の栗林(渡辺謙)は、本土防衛の最後の砦とも言うべき硫黄島に降り立つ。栗林は、西郷(二宮和也)らに対する上官の無意味な体罰をやめさせ、圧倒的な戦力のアメリカ軍を迎え撃つべく島中に地下要塞を張り巡らせる作戦を進める。父親たちの星条旗/硫黄島からの手紙公式サイト

イーストウッド監督って、自分自身も長いキャリアを持つ俳優としての経験上、監督として俳優を使う時にはその人を全面的に信頼し、細かく演技をつけることもしなければ演技が気に入らないと言う理由で何度も撮り直すようなこともしない、と聞いたことがあります。(確か、イーストウッド監督のドキュメンタリー番組かなんかで言ってた)「どんな俳優だって1回目の演技が一番いいんだ」とも、ちょっと記憶があやふやですがご本人がおっしゃってたような。実力のある俳優さんであるだけになるほど~って感じ。説得力あります。

いくら名匠イーストウッドといえど、通訳がいたとしても日本語の細かいニュアンスまでは分かんなくってやりづらいんじゃないかと想像するのですが、役者のセンスを信じている彼だからこそ、今回のようなオール日本人キャストの映画も成功したのかも・・・と思いました。そして、そんなイーストウッド監督の信頼に見事に応えた日本の俳優さん達も素晴らしい。

謙さんはもちろんのこと、二宮くんあの若さでスゴイですわ~。正直ジャニーズ事務所所属である彼に偏見が全くなかったとは言い切れず・・・。これまでも映画やドラマ、舞台にもたくさん出演しているのに、それらをまともに観る機会がなかった為驚きました。

元憲兵役の加瀬亮さんがこれまた迫真の演技で。彼のおびえたような、狂気をはらんだようななんとも言えない目つきが強烈で忘れられません。ワンコのエピソード、結果どうなるか分かっていてもすごくツラかった・・・。

そんなデキる俳優陣と同じ土俵に上がるには、やや演技に難アリな脇役の皆さんのセリフの言い回しなどが、前半ちょっとだけ気になっていたんですけど、地下要塞内での自決シーンと、その直後のアメリカ兵を銃剣で刺し殺すシーンのあたりから、そんなことどうでもよくなっていました。

映画の中の日本兵達はアメリカ人は鬼だと教育されているけれど、映画を観ている現代の私達は、彼らだって我々と同じ感情を持つ人間だ、と当然分かっています。でも、アメリカ対日本の戦いを描きながら、アメリカ兵そのものはほとんど登場しないこの映画を観ているうち、日本兵に寄ってたかって刺し殺されるアメリカ兵や、捕虜となるアメリカ兵の幼い顔や表情を見てハッとしてしまう。海や空に押し寄せてきている想像を絶する数のアメリカ軍は脅威でしかないけれど、その一人一人は西郷らと少しも変わらない無垢な若者なのだと、改めて気付かされるのです。そしてそんな監督のメッセージは、捕虜の母親の手紙を西(伊原剛志)が読み上げるシーンでMAXに。

いつも映画を観ちゃあすぐに泣いてしまう泣き虫な私ですが、自分でも気付かないうちに涙が流れていた、というのは初めてかも。それもなんというか、流したことのない種類の涙で・・・。あの地獄のような穴蔵で、何日経ったのかも分からず、飲み水さえ尽きて、殺しあったり自ら命を絶ったりしなければならなかった若者達の絶望が強く伝わってきました。戦争なんて無意味。若い命が無駄に失われるだけ。これまで何度も間違えて、何度も気が付いてきたことなのに・・・どうして?

当初、『硫黄島からの手紙』は日本人監督に任せる予定だったそうですが、そうならなくてホント良かった。アメリカ人であるイーストウッド監督がこのような公平な視点の戦争映画を撮ったのかと思うと、余計に感慨深いものがあります。

静かに波が押し寄せる硫黄島の風景が、心に沁み入るラストでした。

※『父親たちの星条旗』を観るのを先延ばしにしているうちに、諸事情によりこちらを先に観てしまいました。観る順番がカンケイなければいいんだけど、どうなんでしょ?まだかろうじて上映中の『父親たち~』も、近々観に行く予定です☆

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映画INDEX

いっちょまえにインデックス作ってみました。

随時更新していこうと思います。

大好きな映画、おすすめ映画にはcatマーク。

あ行

X-MEN:ファイナルディシジョン

硫黄島からの手紙cat

エラゴン 遺志を継ぐ者

あるいは裏切りという名の犬cat

あるスキャンダルの覚え書き

アポカリプトcat

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序cat

エディット・ピアフ~愛の賛歌~

エクスマキナ

インランド・エンパイアcat

アイ・アム・レジェンド

アース

俺たちフィギュアスケーターcat

アメリカン・ギャングスター

ウォーター・ホース

エリザベス:ゴールデン・エイジ

いつか眠りにつく前に

アフタースクール

アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生

インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国

インクレディブル・ハルク

アクロス・ザ・ユニバース

ウォンテッド

アイアンマンcat

イーグルアイ

ウォーリーcat

永遠のこどもたちcat

ウォッチメンcat

英国王給仕人に乾杯!cat

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破cat

インスタント沼cat

女の子ものがたり

愛のむきだしcat

ウルヴァリン:X-MEN ZERO

エスター

イングロリアス・バスターズcat

アバター

インビクタス/負けざる者たち

アラビアのロレンス

ウルフマン

アリス・イン・ワンダーランド

息もできないcat

アイアンマン2

アウトレイジ

エアベンダー

インセプション

オーケストラ!cat

男と女

悪人

エクスペンダブルズ

悪魔を見た

エンジェル・ウォーズcat

アンノウン

英国王のスピーチ

X-MEN:ファースト・ジェネレーション

赤い靴

アジョシ

インシディアス

か行

カンフーハッスル!cat

GOAL!

嫌われ松子の一生

怪談(1965)cat

敬愛なるベートーヴェン

ゴーストライダー

かちこみ!ドラゴン・タイガー・ゲート

クィーン

キサラギcat

傷だらけの男たち

劇場版 仮面ライダー電王 俺、誕生!

河童のクゥと夏休み

クワイエットルームにようこそcat

クローズZERO

グラインドハウスUSA版cat

ガス燈(1944)

カフカ田舎医者cat

グミ・チョコレート・パインcat

クローバー・フィールド/HAKAISYAcat

劇場版 仮面ライダー電王&キバ クライマックス刑事

紀元前1万年

崖の上のポニョ

グーグーだって猫である

劇場版 さらば仮面ライダー電王 ファイナル・カウントダウン

劇場版 天元突破グレンラガン/紅蓮篇cat

K-20(TWENTY)怪人二十面相・伝

きつねと私の12か月

グラン・トリノcat

劇場版 天元突破グレンラガン/螺巌篇cat

GOEMONcat

劇場版 超・仮面ライダー電王&ディケイド NEOジェネレーションズ 鬼ヶ島の戦艦

劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー

ココ・シャネル

グッド・バッド・ウィアード

空気人形cat

カイジ 人生逆転ゲーム

カールじいさんの空飛ぶ家cat

仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦2010

かいじゅうたちのいるところcat

恋するベーカリー

(500)日のサマー

コララインとボタンの魔女cat

劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル

告白cat

渇きcat

ケンタとジュンとカヨちゃんの国cat

借りぐらしのアリエッティcat

キャタピラー

仮面ライダーW FOREVER A to Z/運命のガイアメモリcat

カラフル

グリーン・ホーネットcat

キック・アスcat

攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX Solid State Society 3Dcat

ガリバー旅行記

コリン LOVE OF THE DEAD

キラー・インサイド・ミー

歓待cat

キッズ・オールライト

コクリコ坂から

カーズ2

グリーン・ランタン

さ行

シン・シティcat

サマータイムマシン・ブルースcat

スーパーマンリターンズ

16ブロック

SAW3

それでもボクはやってない

幸せのちから

世界最速のインディアンcat

サンシャイン2057cat

スパイダーマン3

ザ・シューター/極大射程

スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい

主人公は僕だったcat

300<スリーハンドレッド>cat

ゾディアックcat

ジーニアス・パーティ

図鑑に載ってない虫

スキヤキ・ウェスタン ジャンゴ

幸せのレシピ

自虐の詩

スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師

シルク

最高の人生の見つけ方

スルースcat

JUNO/ジュノ

セックス・アンド・ザ・シティcat

その土曜日、7時58分cat

スカイ・クロラ

少年メリケンサックcat

スラムドッグ$ミリオネアcat

シェルブールの雨傘cat

重力ピエロ

スター・トレックcat

それでも恋するバルセロナ

サマー・ウォーズcat

G.I.ジョー

色即ぜねれいしょんcat

幸せはシャンソニア劇場から

スペルcat

シャーロック・ホームズ

シャッター・アイランド

セックス・アンド・ザ・シティ2

ザ・ウォーカー

ショーシャンクの空にcat

スープ・オペラ

ゾンビランドcat

十三人の刺客

スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団cat

白いリボン

ソーシャル・ネットワーク

SUPER 8/スーパーエイトcat

ジュリエットからの手紙cat

スーパー!cat

水曜日のエミリア

た行

トム・ヤム・クン!

トリック劇場版2

トリスタンとイゾルデ

007/ドクターノオ

トゥモロー・ワールドcat

007/カジノ・ロワイヤル

父親たちの星条旗cat

鉄コン筋クリートcat

ドリームガールズcat

ディパーテッド

ダイ・ハード4.0

トランスフォーマー

デス・プルーフinグラインドハウスcat

転々

タロットカード殺人事件

テネイシャスD 運命のピックをさがせ!

ダークナイトcat

デトロイト・メタル・シティ

トロピック・サンダー/史上最低の作戦

007/慰めの報酬

チェンジリングcat

罪とか罰とかcat

ターミネーター4

トランスフォーマー/リベンジ

ディア・ドクターcat

チョコレート・ファイター

チェイサーcat

Dr.パルナサスの鏡

時をかける少女(1983年、2010年)

第9地区cat

タイタンの戦い

追憶

月に囚われた男

トイストーリー3cat

トイレット

特攻野郎AチームTHE MOVIE

小さな村の小さなダンサー

トロン:レガシーcat

塔の上のラプンツェルcat

冷たい熱帯魚cat

トゥルー・グリットcat

テンペスト

トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン

ドリーム・ホーム

な行

ナイロビの蜂cat

ナチョ・リブレ 覆面の神様

ナイトミュージアム

28週後・・・cat

ノーカントリー

20世紀少年

ネコナデ

20世紀少年<第2章>最後の希望

20世紀少年<最終章>ぼくらの旗

なくもんか

のだめカンタービレ 最終楽章 前編

NINE

ニュー・シネマ・パラダイスcat

9<ナイン>9番目の奇妙な人形cat

は行

ブロークンフラワーズ

ブラック・ダリア

プラダを着た悪魔

武士の一分

パプリカcat

墨攻

パフューム ある人殺しの物語

ハッピーフィート

ホリデイcat

ブラッド・ダイヤモンド

プロジェクトBB

ハンニバルライジング

バベル

パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド

プレステージ

パリ、ジュテームcat

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団

ベクシル 2077 日本鎖国

プラネット・テラーinグラインドハウスcat

パンズ・ラビリンスcat

ファンタスティック・フォー:銀河の危機

ヘアスプレー

バイオハザードⅢ

ベオウルフ/呪われた勇者

ハプニング

僕らのミライへ逆回転cat

ブラインドネス

ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!

ヘルボーイ2/ゴールデン・アーミーcat

ファニーゲーム U.S.A.

バーン・アフター・リーディング

ホルテンさんのはじめての冒険

母なる証明cat

フィリップ、きみを愛してるcat

ハート・ロッカー

バベットの晩餐会cat

ビッグ・バグズ・パニック

抱擁のかけら

フェーズ6

プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂

フォロー・ミー

ブルーノ

パーマネント野ばら

フィールド・オブ・ドリームスcat

プレデターズ

フローズン・リバー

ベスト・キッド

ハングオーバー!消えた花ムコと史上最悪の二日酔いcat

羊たちの沈黙cat

武士の家計簿

ぼくのエリ 200歳の少女cat

パピヨンcat

バーレスク

ヘブンズストーリー

ブラック・スワンcat

ファンタスティックMr.FOXcat

127時間

ピラニア3Dcat

ま行

もしも昨日が選べたらcat

マリー・アントワネット

蟲師

舞妓Haaaan!!!

めがね

魍魎の匣

魔法にかけられてcat

ミストcat

ミーアキャット

湖のほとりで

マーターズcat

曲がれ!スプーンcat

マイレージ、マイライフ

マイマイ新子と千年の魔法

まぼろしcat

マチェーテcat

マイティ・ソー

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ヨーロッパ企画「Windows5000」

数ヶ月前、遅ればせながら映画『サマータイムマシンブルース』に激しくハマりまして。映画版の脚本も担当した上田誠さん率いるヨーロッパ企画の第21回公演『ブルーバーズ・ブリーダーズ』もこの秋観に行く予定でチケットも買っていたのに・・・急な用事で観に行けなくなってしまい大ショック!!

幸いチケットは、ダンナ殿の会社の先輩様に引き取って頂いたのですが、そのお方、なんでも学生時代は劇団の裏方的なことをなさったりしていたそうで、かつては小劇場へかなり通いつめていたらしい。今では考えられないことですが、私の大好きな松尾さんがガラッガラの劇場で一人芝居をしていたのも観てたりしてて、「あの松尾スズキがこんなに有名になるなんて」って感じなんだとさぁ。つか何そのステキな青春時代。羨まし過ぎ!・・・いやいや、チケット引き取って頂いてありがとうございました、ホント助かりました!

そんな先輩様の『ブルーバーズ・ブリーダーズ』の感想。

「よくデキていてバタバタと楽しいけど、もう少し深みが欲しい」

そうなのかぁ。イマイチだったってことかしら?

私はヨーロッパ企画のお芝居を一度も観たことがないんだけど、DVDが1枚2500円とお買い得であることは聞いていたので、

「もし売ってたら2枚くらい買ってきてもらって♪」

と、ダンナ伝いに実はお願いしていたのです。

そしたらどうやらそれが、「あるだけ買ってきて♪」に変換されて伝わっていたらしく、DVD4枚に加え、今回の公演のパンフレット『ヨロッパ通信』まで買ってきて下さったの。

か、重ね重ねどうもありがとうございます、先輩様。

DVDのラインナップは、『ムーミン』『12人の追い抜けないアキレス』『平凡なウェーイ』『Windows5000』。

『サマータイム~』は売り切れちゃってたのかなぁ・・・。(文句を言うな、文句を)

特に気に入ったのは、2006年3月に大阪にて収録された『Windows5000』。タイトルからしてなんだかそそられるでしょ。

Windows5000_2 

近未来、超集合住宅の実地調査のために、行政が密かに開発した裏ソフト「Windows5000」。区役所員二人が、そのWindows5000を立ち上げた画面(都市の遠景)から始まり、どんどんズームアップしていってとある集合住宅をクリックすると・・・そこに小さい箱を複雑に組み合わせたようなセットが登場し、さらに各部屋をクリックしてとんでもなく狭いところで暮らしている住人達の生活を延々覗き見る、といったお話。そうWindowsとは、そのままズバリお部屋の窓のことなのです。

手作り感溢れるゴチャゴチャしたセットがまず良くて。住人達のキャラクター設定もとっても面白い!私のお気に入りは、電脳世界にダイブしっぱなしのオタク青年サイバー。あと、『サマータイム~』では最初にタイムマシンに乗せられる曽我役を演じていた永野宗典さんが、甘えん坊のヒモ役をやっていたのがツボでした。いつもチャキチャキした感じの演技なのに、なんか「ミューミュー」言ってんのが妙にカワイイ♪

お芝居全体の感想としては、『ブルーバーズ~』に対する先輩様の感想がそのまま当てはまる感じ。でもこのヨーロッパ企画の持ち味であると思われる、映画版『サマータイムマシンブルース』でも感じたゆる~くていかにも学生チックなノリがクセになっちゃいます。(今はもう学生さんではないけど)本編の121分を超える特典映像153分がこれまたバカバカしくて好きですわぁ。隠れコンテンツなるものも収録されているらしく、ヨーロッパ企画のDVDの中でもこれは特にお買い得かもです。

次の公演こそ、観に行けるといいなぁ!

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007/カジノ・ロワイヤル

Casinoroyale

ひゃっほーぃ!よ~うやく!観てきましたぁ!!

007シリーズに対する私のドシロウトっぷりはコチラに。

あ、でも一応、この『カジノ・ロワイヤル』にそれなりの態勢で臨む為に、20作全部はムリですけど何作かチョイスして事前にお勉強はしましたよ。中にはどうにもこうにも睡魔に勝てないものもありましたけど・・・

撮影現場でダニエル・クレイグのお着替えを偶然目撃してしまったジュディ・デンチが、「あれはモンスターよ!」と取り乱しぎみにマスコミに語ったとか、今回のボンドガールの一人、カテリーナ・ムリーノがダニエルのキスのテクニックを「10点中9.5点をあげてもいい」などとベタ褒めしたとか(-0.5点はいったいなんなんですか)、そういった映画そのものとはあまり関係のないダニエル本人のゴシップが頭の中をチラついてぇ~!ダニエルボンドがよりいっそうセクシーに見えてくるんだっつの!!(←アホ)

<あらすじ>

英国諜報部MI6のスパイである”OO”の地位に昇格したジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)は、最初の任務として国際テロ組織のネットワークを絶つことを命じられる。テロ組織の資金源であるル・シッフル(マッツ・ミケルセン)に接触するべく、モンテネグロのカジノ・ロワイヤルで高額の掛け金のポーカー対決に挑む。007/カジノ・ロワイヤル公式サイト

以下ネタバレ含みます↓

冒頭のジェームズ・ボンドが初めて人を殺したモノクロのシーンからして、今回の007がこれまでのものとは全く違うことがハッキリと分かるようになっています。バスルームで相手をボコボコに殴ったあげく、手洗い場に張った水に顔面を無理やりつけて窒息死。全然スマートじゃないの。その姿は殺人者そのものでちょっとコワイくらい。気合が入っております。

毎度お楽しみの凝ったオープニングは、今回も期待を裏切らぬハデハデ仕様。これまでのパターンだと美女のシルエットが揺らめいていそうですが、この度はボンドのシルエットがバッタバッタと野郎共をなぎ倒していくといったアニメーション風になっていました。美女は登場せず。いいわぁ。気に入った♪

建設現場での追いかけっこのシーン、顔に火傷の痕のある彼、思わずトニー・ジャーを連想するほどの身の軽さでちょっとスゴ過ぎじゃない?と思ったら、役者さんではなくパルクール(身体ひとつで様々な障害を乗り越えて移動するスポーツ。映画『YAMAKASI』などでお馴染み)という競技の第一人者さんだそうで。どうりでね。

Sebastien

パルクールの彼に限らず、ほとんどセリフもなくちょこっと出てくるだけの脇役の皆さんがなにげに魅力的。飛行機を爆破しようとした彼も、まるでロボットのように淡々とした表情がなかなか良かったし、ル・シッフルの女の金髪美女とか(アシンメトリーなヘアスタイルがお似合い)、ポーカーメンバーの皆さんですらやたらとパンチのあるビジュアルでした。

Ivana

そしてやっぱり一番強烈なのはル・シッフル。七三分けもステキなら、お薬を吸引する姿もステキ。血の涙まで流しちゃってもうキャラ立ち過ぎです。ドクターノオを思い出したよ。

でもこのシーンだけは、予告編を観た時からなぜか笑ってしまいますの↓

Mikkelsen

なんでか分からないけど、妙にマヌケに見えて~

脇の人のことばかりツラツラと書いてしまいましたが、6代目ジェームズボンド、ダニエル・クレイグ、やっぱりむちゃくちゃカッコ良かったです♪

最初はアロハシャツ的なものを着て登場するボンドですが、徐々にドレスアップしてボンドのイメージに近付いていく感じ。極めつけはヴェスパーが用意してくれたタキシード!「フォーマル!フォーマルデスよ!ヨーコ!!」(のだめ風)

ダークなボンド、非常に好みです。ヴェスパーに惚れるまではとても冷酷で危ないヤツなんだけど、だからこそ彼女に対する純粋さにキュンとしてしまうのだ。これまでのボンドにほとんど思い入れがないのでこんなにキャッキャ言えるのかもしれませんが、今後もこの路線で行くのなら喜んでついて行きますです。

しかしあの拷問シーンは衝撃的でしたね~。例のジュディ・デンチさんの発言がこの時とばかりに頭をよぎりました。ル・シッフルとボンド、変態にしか見えなかったんですけど。

運命の女ヴェスパー役のエヴァ・グリーン、美人なんだけど時々オバチャンっぽく見える・・・。きついアイメイクをしていない時が一番キレイだったかも。でもボンド同様、人間味溢れるキャラ設定だったみたいだからあんな感じでいいんでしょう、きっと。

最後、忘れた頃にやってきたボンド定番の自己紹介にはしてやられました。テーマ曲のアレンジもカッコ良くって、おなかいっぱいの娯楽大作でした☆

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武士の一分

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貧しくても愛する人が側にいて、季節を感じながらただなんでもない日々を過ごす・・・それが何より大切で幸せなことなんだと、じんわり温かく気付かせてくれる映画でした。

<あらすじ>

三十石の下級武士である三村新之丞(木村拓哉)は、毒見役という不本意で手応えのないお役目に嫌気が差しながらも、美しい妻・加世(壇れい)と、父の代から仕える中間の徳平(笹野高史)と共に、平和で幸せな日々を送っていた。そんなある日、役目を務める新之丞は貝の毒にあたってしまい、高熱に苦しんだあげく失明してしまうのだった。武士の一分公式サイトより)

以下ネタバレ含みます↓

藤沢周平の小説を原作とした山田洋次監督の映画を観ていつも思うのは、日本人ってかつてはこんなにも簡素で美しい生活を送っていたのだな、ということ。例えば食事のシーンにしたって、メニューはご飯と(白米じゃないよね、きっと)、汁物と煮付けとお漬物だけ。(芋がらの煮付けの”芋がら”って・・・何?)食べた後はお茶碗にお湯を入れて飲み干してキレイにし、そのままお膳にしまう。超シンプル!

新乃丞の叔母・以寧(桃井かおり)が慌しくお見舞いにやってきた時、おうちに上がるのに足袋の裏を布でぱぱっと払ったり、加世が着物のシワを伸ばすのに鉄の鍋に焼けた炭を入れたものをアイロンのようにして使っていたりするのを見ても、恥ずかしながら「へぇ~」と感心してしまいます。

山田監督がものすごくこだわって描いていると思われる日本ならではの様式美や、貧しくても工夫して清潔に豊かに暮らしていた時代の風景。日本人として誇っていいものだと思うけど、便利なものが周りに溢れ過ぎている現代人には、もはやあんなストイックな生活はできませぬ。昔の人は偉かったんだなー。

しかしそんな美しき山田ワールドにいかにも現代っ子なキムタクを投入ってどうなの?・・・とは誰しもが多少は危惧したことかもしれませんが、いやいやどうして。新之丞という役にとても合っていて、なかなかに良かったと思います。

剣の腕を認められながら、毒見役という”つまんねー”お仕事にどうにもやりがいを見出せない新之丞。いいオトナなのに、子供をからかったり加世や徳平に軽口をたたくどこか幼さの抜けない新之丞。失明して加世の介護なしには日々の生活もままならなくなり、男としての自信を失い荒れていく新之丞。キムタクが演じることによって、とてもリアルに感じるような気がしました。

やつれた顔に無精髭を生やし、頭もボサボサの新之丞はけしてカッコ良くはないけれど、これはカッコいいキムタクを見る映画ではないのだなー、頑張ってるぞキムタク!としみじみ思ったりして。ラストの殺陣シーンもかなり迫力があって見応えありましたし。加世が愛用していた襷を頭に巻いて果し合いに臨んだのは粋な演出でしたが、なんでもキムタク御本人の案だそうで。やるゥ!キムタク!

加世役の壇れいさんは今回映画初出演とのことですが、ちょっと俯いた時の表情が特に美しくてとても素敵でした。清楚さが逆になんとも言えず色っぽくって、お薬を口移しで新之丞に飲ませるシーンなんてかなりドキドキ。いいわぁ後れ毛。ほんでこれまたものすごくひたむきに新之丞のお世話をするのです。山田監督の映画に登場するヒロインって、奥さんとして理想的な人ばっかりだぁ。見習うべきところがいっぱい。。。勉強になります!

徳平役の笹野高史さんはもちろんすんごく良かったけれど、脇を固める豪華俳優陣の中で特にツボだったのは以寧役の桃井かおりさんでございます。もうむちゃくちゃ上手いですわ~いるもん、あんなおばさん。桃井さんの登場シーンはそんなに多くないけれど、そのコミカルな演技に劇場内ドッカンドッカン笑いが起きてましたね~。

原作の『盲目剣谺返し』だと、果し合いの時、相手の命を一撃で絶ってしまったり、最後、新之丞が女中=加世であると気が付いたのを知り加世が台所の外でむせび泣く、といった描写だったりするのですが、それよりも人情味溢れる映画的アレンジの方が山田監督らしくて私は好きでした。

藤沢周平の短編小説はまだいっぱいあるんだから、3部作完結編なんて言わずに寅さんなみにずーっと続けたらいいのに・・・って思うんだけどなぁ。次はどんな俳優さんを使うのかしら?っていう楽しみもできるしね☆

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