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善き人のためのソナタ

Thelivesofothers

2006年度アカデミー外国語映画賞受賞のドイツ映画。ようやく観ることができました。

<あらすじ>

1984年、壁崩壊直前の東ベルリン。国家保安省(シュタージ)のヴィースラー(ウルリッヒ・ミューエ)は、劇作家のドライマン(セバスチャン・コッホ)と舞台女優で恋人のクリスタ(マルティナ・ゲテック)が反体制的であるという証拠をつかむべく、彼らの生活を監視する。国家を信じ忠実に仕えてきたヴィースラーだったが、盗聴器を通じて知る彼らの自由で愛に満ちた生活に、いつの間にか影響を受けていくのだった。善き人のためのソナタ公式サイト

はぁ・・・もうこれは、近年稀に見るすんばらしい作品でございました。涙ちょちょぎれまくり。監督のフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク(長)はなんと若干33歳、これが初監督作品なんだそうで。スゴイなぁ。しかしここまで細部に渡り、ほんの十数年前まではタブーとされていたという秘密機関”シュタージ”の活動について描き切ることができたのは、若い監督さんだったからこそなのかも。

西寄りの思想を持ってる可能性のある人物を、最新の盗聴技術と妄信的な国家への忠誠心でもって、フルタイム監視・・・。不謹慎ながら、その監視システムの完璧さに序盤ちょっと感心してしまったりして。と同時に、旧東ドイツではたった17年前までこんな非人道的な行為が政府の名のもとに堂々と(?)行われていたことに愕然。直接的な暴力でなくとも、自由に芸術や愛を表現するのを禁じられることが、人をどれだけ傷つけ絶望させるか・・・、この作品を観る者は、静かにゆっくりと思い知ることになります。

ヴィースラーを演じたウルリッヒ・ミューエという俳優さんがこれまた素晴らしいの。ウルリッヒさん自身、東ドイツ出身でかつて監視された過去を持つってんですから、ますます感慨深いものがあります。ドライマンとクリスタの愛に満ちた生活を盗聴するうち、彼の頑なな心が少しずつ変化していく様は一見とても緩やかであるように見えるだけに、時折り見せる感情的な行動や表情にものすごーく心揺さぶられてしまうのです。特にラストシーン。もしかしたらヴィースラーの変化は、劇場でクリスタを初めて見た時から既に始まっていたのかもしれないと思いました。

タイトルにもなっている哀しくも美しい劇中曲”善き人のためのソナタ”は、公式サイトにとぶと自動的に聴くことができますが、本作鑑賞直後はこれを聴くと自動的に涙が頬を伝うことにもなります。

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映画」カテゴリの記事

コメント

kenkoさん、良かったですよねぇ~!!
途中、あの二人に対する入れ込み方が急だなっとか思っていたのも
忘れのめりこんでしまいました。。。
それに、あの最後。ねぇ~え、良かった^^

投稿: ヘーゼル☆ナッツ | 2007年5月 6日 (日) 10時18分

TB&コメントありがとうございます!
こんばんわ。

この作品は東京の単館で始まったにも関わらず、その口コミ力で評判が広がった作品ですね。
決して派手ではないけれど、静かに押し寄せるような品の良さやヒューマニズムが大変素晴らしく描かれていました。

この物語は、全てあの感動のラストのために向かっていたようにも思います。
泣くつもりがなかったのに、知らないうちに自然とドバドバ涙が溢れてきて止まりませんでした。

投稿: 睦月 | 2007年5月 6日 (日) 22時04分

ヘーゼル☆ナッツ様

良かったです~!
なんか久々にイイ映画観たな~って感じ!

ヴィースラーがあまり感情を表に出さない人物だったので、
確かに彼の二人に対する思い入れは急に見えました。
しかしそれゆえ余計に、あの素晴らしいラストが
生きてくるようにも思いました☆

投稿: kenko | 2007年5月 6日 (日) 23時37分

睦月様

こんばんは!
こちらこそお返事をありがとうございます。

単館上映の作品って地方在住であるがゆえどうしても出遅れてしまいますが、
睦月さんを始め日本各地にお住まいのブロガーさんの記事を読ませて頂いては
いつか私の住む町に来てくれる日を心待ちにしています。
これも上映されたら絶対観たい!と楽しみにしていた作品のひとつでした♪

あんな素晴らしいラストシーンなかなかないと思います。
登場人物たちと同じく抑圧された感情が、ラスト一気に解放されて
気が付いたら私も涙ドバドバでした(笑)

投稿: kenko | 2007年5月 7日 (月) 00時34分

kenkoさん
監督さんが若いからなのか、ようやく
こんな風に客観的に自国のタブーを描く
映画が出てきて、それが海外で評価されちゃうってのはドイツの年配の映画作家などは
複雑な思いなのかもって思います。
自分はあの上官の偉いサン、腹立って
仕方なかったですよ。あんな奴が崩壊後も
まだ捕まらずにのほほんとイヤミ言いに
来てるのが信じられませんでした。
でもドライマンはどこまでも大人でしたね。
スパイダーマンの3人のにこの映画見せて
あげたいです(笑)

投稿: kazupon | 2007年5月 7日 (月) 18時30分

kazupon様

kazuponさん、おはようございます!

確かにドイツの年配の映画人の中には、もしかしたらかなり
複雑な心境の人もいるかもしれませんね。
ほんの十数年前までタブーであったことをこんな風に描いたのが30代の監督で
しかも登場人物たちは同じ芸術家ですしね・・・

上官、ものすごーくイヤ~なヤツでしたねぇ。
食堂で若者をビビらすシーンが一番ハラたちました。
あの若者も結局ヴィースラーと同じ待遇うけてたし。

大人なドライマンに比べ、スパイダーマンの3人のお子ちゃまぶりときたら・・・(笑)

投稿: kenko | 2007年5月 8日 (火) 10時15分

kenkoさん、こんにちは。
いやー、ホントにすんばらしい作品でしたよねぇ。
あざといお涙頂戴ストーリーとはてんで違う上質さにしびれました。
ドイツったら、なんて大人なんでしょうー。
まだその時の傷が癒えていない人たちもいるのかもしれない中、
体制の恐ろしさとともに人間のすばらしき本質を描いてくれたことは感慨深いです。

投稿: かえる | 2007年5月 8日 (火) 19時25分

かえる様

すんばらしかったです。ホント。

映画を観ちゃあすぐに泣く方なのですが、
全編にドイツのオトナっぷりが漂うこの作品では
主にエンドロール中泣きっぱなし(笑)
泣きゃいいってもんではないけど
どうにもこうにも涙が止まりませんでした・・・

当時の体制の陰湿さはスゴかったですね。
息苦しいほど抑圧された中で光り輝く人間の本質が胸を打ちました。

投稿: kenko | 2007年5月 8日 (火) 21時44分

二人の間接的な賛辞の送り方とスマートなラストに
映画っていいなぁって改めて思いました☆

投稿: たーくん. | 2007年5月15日 (火) 19時42分

たーくん様

これはホントにいい映画でした~

ラストでドライマンがヴィースラーに声をかけるとかけないとでは、
全然印象変わったと思います。粋な演出でした!

投稿: kenko | 2007年5月16日 (水) 10時52分

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