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インランド・エンパイア

Inlandempire

デヴィッド・リンチって好きか嫌いかで言ったら確実に好きではあるのだけど、私の場合、難解過ぎてお手上げなパターンと、繰り返し何度も観てしまうほどハマってしまうパターンと二通りに分かれる傾向にあるように思います。『インランド~』はもちリピート決定組~♪

<あらすじ>

町の有力者である夫と豪邸に暮らす女優ニッキー(ローラ・ダーン)。新作映画の主役に抜擢された彼女は、女優としての再起を狙っていた。しかしその新作『暗い明日の空の下で』は、実は撮影中に主演二人が殺害されたという曰く付きのポーランド映画『47』のリメイクであることが分かる。ニッキーは映画の中の女性スーザンを演じるうち、いつしか現実と虚構の区別がつかなくなってしまう・・・インランド・エンパイア公式サイト

例えば前者の代表選手は『イレイザーヘッド』。私がまだガラスの十代だった頃、何の前知識も心の準備もなしにお兄様に強制的に観せられたこの作品が、確か自分にとっての初リンチだったと記憶しております。一応当時はまだ純真無垢な乙女でしたからねぇ・・・もうワケが分からんやら気味が悪いやらではっきり言ってちょっとしたトラウマ(泣)それっきり再見はしてませんが、オトナになった今なら楽しめるんでしょうか。

後者はいきなり時代が飛びますが前作『マルホランド・ドライブ』。これは見事にハマりまくりました。「リンチなんだから分かんなくて当然」くらいの心構えで臨んだのに、予想外に程よく分かりやすかったのが良かったんじゃないかと思います。これ観てナオミ・ワッツのことも大好きになったし。

そしてそんな『マルホ』から5年、待望のリンチ最新作がこの『インランド・エンパイア』。『ワイルド・アット・ハート』のローラ・ダーンを主演に迎え、マルホ同様「ハリウッド女優もの」と聞いて期待が高まらないはずもなし。しかも今回は尺が3時間もあるというではありませんか。3時間も!映画館でリンチワールドに浸れるなんて・・・想像するだけでちょっとトランスしてしまいそう♪

んで実際観てみてどうだったのかと言うと。しょっぱなから期待を裏切らない、思わせぶりな謎かけてんこもりでした(笑)顔にモザイクをかけたカップルの意味深な会話から始まり、ウサちゃんたちの爆笑ホームドラマ、いきなり押しかけてきて失礼な予言をしまくるおばちゃんなどなど・・・最初はすべてのシーン及びセリフを脳裏に焼き付けるべしッ!と意気込んで見入ってたんだけれども、私の脳みそのキャパなんてあっという間に凌駕しちゃうほどに次から次へと謎を畳み掛けられてねぇ・・・(遠い目)

マルホ形式であるならば、ニッキーの住まいが豪邸から質素なおうちに変わったあたりから実は・・・ってことになるのかな?と思いきや、今回のはそんな単純な二重構造ではなくて、どうやら5つの世界がランダムに組み合わさって構築されていたみたい。その「5つ」ってのも、私の力では到底カウントすることすらできず、『インランド~』の公式サイトにお邪魔して初めて「へぇー5つだったんだー」と知った次第。①ハリウッド現実パート②ハリウッド劇中劇『暗い明日の空の下で』パート③ウサギ人間パート④ポーランドロストガールパート⑤ポーランド劇中劇『47』パート、で、5つ。なんですと。言われてみれば大体そんな感じだったかもねー

しかし難解=つまらない、とはけしてならないのがリンチ作品の摩訶不思議なところでもあり。各パートがどうつながるのか、どんな意味があるのか等よう分からん部分がかなり多いにもかかわらず、観る者の心を悪魔的に挽きつけてやまない何かがあるんですよね。どうしても謎を解きたい欲がむくむくと湧いてしまいがちですが、これはリンチさんご本人もおっしゃっている通り、ただ観て何かを感じさえすればそれでいいような気もするなぁ~てゆーかそういうことでかんべんしてくれたまへ。

ローラ・ダーンってかなり久々に見た気がするけど、お年を重ねたことによりますますリンチ度が上がっててやたらめったら迫力ありました。お顔が時折心臓止まりそうなほどコワくて良かったです。あと悠木奈江さんが出てるとは全然知らなくてビックリ。けっこう長いセリフしゃべってましたが、なんとなく彼女のシーンだけ正気に返ってしまったのは私だけかしら。

その悠木奈江登場シーンがいよいよクライマックスと思わせといて、実はこれも撮影の一部だったと分かり、ニッキーがむっくり起き上がって歩き始めるところは心底恐ろしかったです。死んで安息を得ることすらできない・・・エンドレス悪夢。さらにその後ニッキーはある映画館に辿り着き、そこでスクリーンに映る自分自身を観ます。そしてそんな彼女を私たちも映画館で観ている・・・さすがに蚊帳の外であったはずの観客すら、リンチワールドに完全に取り込まれてしまった状態。まるで合わせ鏡のように、向こう側への入り口が開いた瞬間。これはもしかしたらリンチからファンへのサービスかもしれないと思いました。だって私たちはいつだって、リンチのsweeeeetな「内なる帝国」の住人になりたくて、彼の作品を観ているわけですから。

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映画」カテゴリの記事

コメント

kenkoさん、こんばんは!
私もデビッド・リンチ大好きです。
「難解過ぎてお手上げなパターン」と、「繰り返し何度も観てしまうほどハマってしまうパターン」・・・おっしゃるとおりですよ、ホント。
私も前者は「イレイザーヘッド」!あとは「砂の惑星」「ブルーベルベッド」などです。
後者は「ツインピークス」「マルホランド・ドライブ」・・・ああ、私も「マルホ」さんは大好きです。あの濡れたような映像と音楽に酔いしれました。
あと泣き通しだった映画が「エレファントマン」。
「インランド・エンパイア」おもしろそうですねえ~~。読んでいるだけでゾクゾクしてきました。

投稿: ふぉんだ | 2007年11月12日 (月) 20時59分

ふぉんだ様

ふぉんださんもリンチお好きなのね~
しかもマルホさんも好きとは♪
さすが、ハネケたんとアレックスを制したふぉんださん☆
私マルホはリンチの中でもイチバンくらいですよ。

ハネケたんは観るとズドンとヘコむばっかりの印象ありますが
(私が観たことあるのはピアニストだけなんだけど)、
リンチたんは不思議とテンション上がったり
いい気持ちになったりするんですよねぇ~

「砂の惑星」は私もちょっと…でもイレイザーがダントツです(笑)
「ブルーベルベット」は実はイレイザーとセットで観たせいか
記憶があやふやだったりします。。。
「エレファントマン」「ストレイトストーリー」「ワイルドアットハート」は好きですよ♪

インランドは手放しで面白かった!と言える映画ではけしてないですが(笑)
ふぁんださんになら強くオススメしたいです☆

投稿: kenko | 2007年11月12日 (月) 23時19分

kenkoさん☆

こんばんは♪

コメントありがとうございますー
リンチ、いいですよね〜♪
『イレイザーヘッド』は私が観た映画でもっとも不可解で変な映画です(笑)良い意味でも。
あれを10代で観たなんてトラウマになりますよねー、
わたしはビデオで22歳くらいの頃に観ましたけどわけわからなかった☆
10年以上経ったいま、また観直したいんですよね〜。
kenkoさんもこの映画もハマったとは、嬉しいです。
そうそう、難解=つまらないじゃなくて
面白い、になるから不思議ですね☆
DVD買います〜♪

投稿: mig | 2007年11月12日 (月) 23時48分

mig様

さっそくお返事ありがとうございます~
やっぱ「イレイザーヘッド」は変な映画ですよね(笑)
しかしある程度リンチ慣れした今なら
もしかしたら楽しめるかもしれないなーとうっすらとですが思っているので、
気が向いたら私も見直してみるかもしれません。。。
難解でつまんない映画っていっぱいありそうだけど、
リンチってそうならないからスゴイです。
私もこれはDVD買っちゃうかも。

投稿: kenko | 2007年11月13日 (火) 00時04分

kenkoさん、こんばんはー。
5年ぶりのリンチ映画、迷宮度がパワーアップしてましたね。
マルホって、整然としたドラマだったなーって、今作を観てなつかしくなりましたー。
でもやっぱり、わけわんないほどに魅惑的。
ヨーロッパ贔屓の私は、ハネケたんやトリアーたんワールドの方がより好みかもなんですが、リンチワールドもやめられませぬ。
チョークで書いたら、うさぎ部屋への入口ができるかしら。(パンズの迷宮も混じりつつー)

投稿: かえる | 2007年11月13日 (火) 00時24分

kenkoさん

3時間のリンチ映画でトランスってのは
確かにそうかも・・。
ガラスの十代で強制イレイザーヘッドは
そりゃキツイですよー。
「マルホランドドライブ」が自分も
一番好きなんですけど、ハリングやナオミのような美女がいる分、目の保養にかなりなりましたけど、美女出ない分こっちは3時間
トランスのみでした・・やっぱ男ですから(笑)
リンチ、どんどんインデペンデントな方向に
行ってて、次もっと進化してたらどうしよう
って不安半分期待半分。
ウサギなんて見た目怖くないのにいつか夢に出てきそうな気がするんですよ。^^

投稿: kazupon | 2007年11月14日 (水) 13時21分

こんばんわ。

≫ガラスの十代

でいきなり大爆笑してしまいました。
私はかーくんが好きだった。その次はあっくん。

出来ればもうこの作品のことを語るのは避けたくて、光GENJIの話題で逃げようとしましたがそうはいかないことに気づきましたです(汗)。

リンチって何なんでしょうね。
彼の作品は全て観てますが、なんで『ストレイトストーリー』などというあくまでも普通の映画を彼が作れたのか・・・今思うと謎です。普通の映画を作ることの方が病的ですもんね、リンチの場合(笑)。

この作品を観た夜は眠れなかったんですよ。マジで怖くて。
リンチ作品には何度眠れぬ夜を体験させられたか分からないのに、やっぱり観てしまう・・・。中毒?依存?kenkoさんがおっしゃるようにホント、悪魔的な魅力がある世界観ですよね・・・・

投稿: 睦月 | 2007年11月14日 (水) 23時19分

かえる様

お返事がたいへんたいへん遅くなりました!

これに比べたらマルホって随分分かりやすかったですよねー
ナオミ・ワッツにどっぷり感情移入してしまったせいか、結構すんなり入ってきた作品でした。

かえるさんはハネケたんやトリアーたんの方がよりお好みですか。さすがだわ~
てゆーかトリアーたんって誰だっけ?と思わずぐぐってしまった私です。。。

チョークで書いたらうさぎ小屋ってナイス(笑)同じ迷宮どうし、きっとつながってますよ☆

投稿: kenko | 2007年11月15日 (木) 19時54分

kazupon様

リンチ映画、トランスするために観ているような気もします。

強制イレイザーひどいでしょ?
「裸のランチ」とかも同じパターンでトラウマ映画のひとつだったりします。
今観たら全然平気なんですけどね(笑)

ナオミとハリングは女子から見ても目の保養でしたよ~マジで色っぽかったっす。
ローラ・ダーンはとりあえず顔がコワかったな…
でもロストガールや女の子たちはかわいかった♪

次はどうきますかねぇ~リンチ。
これ以上わけ分からなくすることって可能なんでしょうか(笑)

うさぎ部屋…あれも完全に悪夢ですよね。
私もいつかきっと夢でうなされると思います…

投稿: kenko | 2007年11月15日 (木) 20時19分

睦月様

避けたい話題だったのにお付き合いしてくれてありがとう~睦月さん☆

光GENJIの話題オンリーでも全くかまいませんですよ。
睦月さん、かーくんあっくんがお好きでしたかー(笑)
ガラスの十代とか自分で書いといてなんですが、私実は光GENJIはそれほどでもなくて、
男闘呼組成田が好きでした…ってあれ?これ前にも言いましたっけ?
なんか最近記憶障害が激しいです…リンチとか見てしまったせいかもしれません。

リンチ作品の中でも「ストレイトストーリー」はとびきり異色ですよねぇ。
ほんとにストレイトなストーリーでしたもんね。
私おじいちゃんにはめっぽう弱いのでフツーに泣かされました。

全体的に悪夢なんだけど、ラスト近くのアレは特に怖すぎでした。眠れなくて当然です。
にもかかわらず、リンチ作品にハマる感覚って何とも言えず心地良いんですよねーほんと中毒症状に近いかも。

投稿: kenko | 2007年11月15日 (木) 20時52分

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