その土曜日、7時58分
気がついたら、まばたきするのも忘れギンギンに目を見開いて観てた。
すっかりドライアイぎみです。
<あらすじ>
娘の養育費もまともに払えないハンク(イーサン・ホーク)に、兄であるアンディ(フィリップ・シーモア・ホフマン)はある計画を持ちかける。それはなんと、彼らの両親が経営する宝石店を襲うというものだった。アンディは、店は保険に入っているし死人は出ないから絶対に大丈夫だとハンクを説得する。ハンクとは違い一見裕福な暮らしをしているように見えるアンディにも、実は緊急に金を要する理由があった。(その土曜日、7時58分公式サイト)
とても残酷で、救いのない物語。
兄、弟、そして彼らの父。3人を中心とした、まるでシェイクスピア劇のような悲劇です。
後味はけして良くないけれど、サスペンスとして非常に秀逸。
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まず、すべての悪夢の発端である、“その土曜日、7時58分”から物語は始まります。
そしてそこに至るまでの経緯と、それが起きてからの出来事が、3人の男それぞれの視点からバラバラの時系列で展開されていきます。
ヤクの売人の部屋でアンディが、「俺の人生はパーツがバラバラだ。経験が積み重ならない」とつぶやくシーンがありますが、まるでこの映画そのものについて語っているかのよう。
ただし映画は、えも言われぬ緊張感のもと、見事なまでにパーツとパーツが組み合わさっているわけですが。
役者がまたそれぞれに巧すぎて目が離せない。
兄アンディ、フィリップ・シーモア・ホフマン。弟ハンク、イーサン・ホーク。
父チャールズ、アルバート・フィニー。
誰がいちばん良かったってなかなか言えないくらいだけど・・・個人的にはやっぱ父かなぁ。
「早く天国に行けますように。死んだことに悪魔が気付く前に。」
冒頭に出てくるこの言葉。この映画の原題でもあります。
“ Before the devil knows you're dead ”
これってもしかして、父チャールズの祈り?唯一の救いなのだろうか・・・と観終えて思いました。
劇中で家族の過去が詳しく語られることはないので想像するしかないけど、息子をうまく愛することができなかった父は、罪を犯した息子、地獄に落ちるしかない息子がせめて天国へ行けるように、最後に父としてそう願ったのかもしれない。
だからこそ彼は、これ以上ないくらい慎重に事を進めた。そして立ち去った。
憎しみと絶望の中で、父としてすべきたったひとつのこと。最後の最後に、息子にしてやれること。
悪魔がアンディの死に気付く前に、天国に行けますように、と。
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