永遠のこどもたち
『ヘルボーイ』のギレルモ・デル・トロが製作で参加しているスペイン映画。
昨年末、ベストに入れてるブロガーさんもけっこういたし、一刻も早く観たかった作品です。
ようやくこちらでも上映されました♪
<あらすじ>
海辺の孤児院で6人の子どもたちと共に暮らしていた少女ラウラは、ある日里親に引き取られることになる。30年後ラウラ(ベレン・ルエダ)は、障害を持った子どもたちの施設を開くため自分が育った孤児院の建物を買い取る。彼女には医者である夫と7歳の息子シモン(ロジェール・プリンセプ)がいたが、シモンの空想癖をラウラは心配していた。そして開設パーティーの日、シモンは突然姿を消してしまう。(永遠のこどもたち公式サイト)
今回のデルトロはあくまでも製作側なわけだけど、やはり全編にわたりデルトロ色が滲み出ているなという印象。
これまでデルトロがスペインで撮ってきた作品『デビルズ・バックボーン』『パンズ・ラビリンス』と合わせて3部作と言ってもいいくらい、それぞれに一貫したテーマを感じます。
それは、不幸な結末を迎える子どもたち。
どこにも救いがないような悲劇に、いつだってデルトロは、暖かい金色の光をあてるのだ。
シンプルでノスタルジックな音楽は、ララバイでレクイエムなのです。
デルトロのホラーって、実はホラーとしてはあんまり怖くなかったりするので油断していたのだけど・・・今回のはけっこうちゃんと怖かった
ビクゥッ!!とさせられたシーン、多数
特にベニグナとトマスにはビビらされたわ・・・
音響によるドキドキ効果も、かなりのものだったんではと思います。
『パンズ』や『ヘルボ』のようなおもしろキャラは出てこないけどね。
我が子がいなくなってしまうお話ってことで、最近観たばかりの『チェンジリング』をつい連想してしまうけど、あちらがホラー映画並みに恐ろしい社会派サスペンスだったのに対し、こちらはまごうことなきホラー。
でも実は『ピーターパン』をモチーフにしている。
目には見えないけれど、私たちが暮らす世界の隣りにきっと存在しているネバーランドでは、子どもたちは永遠に子どものまま。
すっかり大人になってしまったウェンディが、再び彼らの元に戻ったとき、灯台の光はネバーランドを見守るように優しく照らすのだった。
映画の冒頭に出てくる、一見なんでもない子どもたちの遊びのシーンと、子どもの手が壁紙をビリビリとめくったうしろに違う壁紙が出てくる、というタイトルバックの映像が、実は物語の核心にふれる重要なヒントになっているというのは、心憎い演出だなぁと思いました。
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コメント
今回は速攻でお邪魔するぜ!
この映画、結局マイエリアにはこないみたいで・・・ ここんとこ見た単館系じゃダントツの作品なのにな。東京まで見に行って正解でした
記事読んでて、『デビルズ・バックボーン』も見たくなりました。あとわたしも『チェンジリング』見ててこの話を思い出しましたよ
みんなが「もうダメでしょう」という中、一人ヒロインが「今もあの子の存在を感じるんです」というところなんかまんま一緒でしたよね
本当に情け容赦ない話でありながら、最後はさわやかに締めてくれるところも似てると思いました
あと本当に周到に伏線が張られてるんですよね。もう一度その辺確認しながら見たいところです。部屋を明るくして(笑)
投稿: SGA屋伍一 | 2009年3月 4日 (水) 07時59分
SGA屋伍一様
負けじと速攻でレスするんだぜ!
単館系の映画は待ってれば大抵来てくれるんだけど、
なんせ遅かったり、すぐに終わっちゃったりするので油断なりません。
それにやっぱり早く観たいしなぁ。
『デビルズバックボーン』もぜひ観てみてほしいです。

ポスターや予告篇からうけるイメージはグロ系ホラーなんだけど、
やっぱり少し哀しいお話。
『永遠のこどもたち』ほど怖くもないし
デビュー作の『クロノス』もおすすめです
『チェンジリング』と似てますよね。
私たまたま観る時期がかぶっちゃったから、ますますそう感じました。
周到に張られた伏線が結末にちゃんと結びつくという気持ちよさもあって。
DVDが出たらまた観たいですね。明るい部屋で(笑)
投稿: kenko | 2009年3月 4日 (水) 15時24分
あはは、伍一さんとkenkoさんのやりとりおもしろーい♪

>今回のデルトロはあくまでも製作側なわけだけど、やはり全編にわたりデルトロ色が滲み出ているなという印象。
ほんとそうでしたよね、
ホラー色も出しつつ、母子愛を描いててなんだか異色だけどラストは「パンズ〜」的でした★
怖い演出がすごく上手かったと思います♪
投稿: mig | 2009年3月 5日 (木) 09時07分
mig様
migさんに笑われてしまった(照)
migさんへのレスだって素早いんだぜ!
デルトロ監督じゃないんだけど、
宣伝でも「パンズ~」のデルトロ製作って全面的に言ってるし、
やっぱデルトロじゃなきゃ観に行ってなかったかなーと思います
かなり「パンズ~」に通じるものがありましたよね~特にラスト。
こんなにビビらされるとは正直思ってなくて。
けっこう怖かったです
投稿: kenko | 2009年3月 5日 (木) 15時52分
こんばんは!
そうそう,これと,「パンズ~」と「デビルズ~」は
まさに3部作みたいですね。
>救いがないような悲劇に、いつだってデルトロは、暖かい金色の光をあてるのだ。
まさにそのとおりで,悲劇が救いようがないからこそ
ほんのささやかな光でもすごく美しく感じられる・・・・
その対比が見事です。
デルトロさんって,実はとっても優しいひとなんでしょうか?
それに,3作とも,残酷な運命に翻弄される子供たちが主役で。
そして常識では考えられない方法で訪れる救い・・・
どれも「この世的な」救いではないのですが
そこらへんのスピリチュアルな世界観がとても好きです。
男なんでしょうけど「母性」を感じるんですよね,彼の作品は。
投稿: なな | 2009年5月26日 (火) 21時54分
なな様
お返事ありがとうございます(◎´∀`)ノ
デビルズ〜とパンズ〜と永遠のこどもたち。似てますよねぇ。
どれもすごく好きな作品です。
デルトロ監督のこれらの映画を観ていると、
、
現実に残酷な運命から逃れられない子どもたちがどうしても存在してしまうのなら
せめて物語の中だけでも暖かい光をあてたい、という彼なりの優しさとか、
この世でない世界へのあこがれや、異形の者たちへの愛とか・・・を感じます。
容赦ないグロや変態的な描写もけっこうあり、それも含めて好きですが
実はすごく繊細で優しい人に違いない。
確かにこの映画とか『パンズ〜』とか、母性を感じる作品ですよね。
私もDVDでまた観てみたくなってきました
投稿: kenko | 2009年5月28日 (木) 17時31分
またまたおじゃましますー。
これを観たら「デビルズ・バックボーン」をどうしても再見したくなって
レンタル店には置いてなかったので
思い切ってアマゾンで買っちゃいましたー。
何年かぶりの再見でしたが
やっぱりじーんと来ましたねぇ。
それと驚くほど「パンズ・ラビリンズ」にも似てる・・・。
「パンズ」より,子供たちが生き残る「デビルズ」の方が好きですけどね。
記事をアップしたのでまたよろしかったら覗きに来てね!
投稿: なな | 2009年5月31日 (日) 02時03分
なな様
またまたいらっしゃいませ
「デビルズバックボーン」再見なさったのですね。
レンタル店になかったですか。ちょっとマニアックなのかな。
3作セットのDVDBOXとか出ればいいのに。
私は「パンズラビリンス」の主人公が女の子だからか
がいっぱい出てくるという点で
彼女にすごく感情移入してしまうのと、
きもかわいいクリーチャー
やっぱりパンズの方が好きかなぁ。
さっそくこれからそちらへお邪魔しますね♪
投稿: kenko | 2009年6月 1日 (月) 15時35分