ホルテンさんのはじめての冒険
チェコ映画の次はノルウェー映画。
またもや、人間讃歌なほっこりムービーなのです。
<あらすじ>
線路沿いのアパートで小鳥と共につつましく暮らし、オスロの鉄道運転手として40年間ひたすら規則正しい日々を送ってきたホルテンさんにも、定年退職の日が近づいていた。
華々しい席は苦手なホルテンさんだが、退職前夜、同僚たちが開いてくれたパーティーでいつもと違う行動をとってしまったためか、奇妙な出来事に巻き込まれ、翌朝40年間で初めての遅刻をしてしまう。
動揺し、その場から逃げ出してしまうホルテンさん67さい。
とりあえず自宅に戻り、気持ちが落ち着いたところで、施設にあずけている母親に会いに行くことにするが・・・
(ホルテンさんのはじめての冒険 公式サイト)
鉄道ひとすじ40年!
ホルテンさんの生真面目さは、まるでひとむかし前のニッポンのお父さん。
閉塞感のある雪景色や、かわいらしい街の佇まいは異国情緒溢れているけれど、人間模様に関しては不思議なほど親近感が。
北欧の人の気質は日本人に似ている、と『かもめ食堂』で誰かが言ってなかったっけ。
パイプをくわえたダンディなホルテンさんが、次々と起こる不条理な出来事に右往左往する様は、淡々としているぶん余計に面白く、つい笑ってしまいます。
後半にはホルテンさんもいいかげんヤケになったのか、トラブルに自ら飛び込んでいるようにも見えたし。
ホルテンさん、住居への不法侵入率高し。
道で寝てるおっさんをナンパしちゃいかんよ
しかしこの映画、予告編で受ける印象ほど、ひたすらシュールなコメディというわけでもありませんでした。
ホルテンさんが退職後の混乱の中で出会う人々・・・スキージャンパーだった母をはじめ、タバコ屋の主人と常連客のおじいさん、道で酔いつぶれていた元外交官。
人生の終盤に待っている、老い、孤独、そして死を、ホルテンさんは彼らの中に見、また自らの人生にも重ね合わせます。
「人生は手遅ればかりだが、逆に考えればなんでも間に合う」
目隠しドライブの果てに、ホルテンさんはある決心をするのでした。
けして感情豊かで饒舌な主人公ではないけれど、ホルテンさん役のボード・オーヴェ氏の存在感、そしてここぞという時の表情がすばらしいです。
ようやく運転手の制服を脱ぎ捨てたホルテンさんの晴れ晴れとした笑顔に、思わず目頭が熱くなってしまいました。
いい映画でした
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コメント
kenkoさん、こんばんは。
ヨーロッパ映画普及委員のものです。w
ホルテンさんの姿を見て、高齢化社会にちょいと希望がもてましたー。??
パイプっていいですよねー。
歩きながらタバコを吸う奴らにムカつく私は、日本で喫煙はパイプ以外禁止にすればいいのにーって思ったりしたのでした。
投稿: かえる | 2009年4月30日 (木) 00時18分
かえる様
コメントありがとうございますヽ(´▽`)/
ヨーロッパ映画普及委員!と言えばかえるさん♪
おじゃましようかと思ったのだけど、けっこう前の映画ってことで
遠慮してしまった私です
ホルテンさん、ジャンプしたままそれっきり・・・
などと縁起でもないオチを予想してハラハラしていたんですが
希望に満ちあふれたラストで良かったです。
パイプいいですねぇ。
タバコは好きじゃないし、歩きタバコなんて最悪。
でもパイプなら許せる気がするのでした。
パイプ普及委員会を発足させましょう♪
投稿: kenko | 2009年5月 1日 (金) 14時36分