女の子ものがたり
母も映画好きなので、観たい映画がカブる時はたまに一緒に観たりするんですが、今回『ココ・シャネル』を観に行ったらえらく混雑してて入れなくて、急きょ次の回の『女の子ものがたり』を観ることに。
いまどき流行りの<30代女子自分探しストーリー>かと思ったらちょっと違った。
どこまで続くか分からない女の子の道は時に、想像した以上に重くてつらいのです。
<あらすじ>
スランプから抜け出せないマンガ家、高原菜津美(深津絵里)。
新人編集者の財前(福士誠治)にも呆れられるが、なかなかやる気は出ない。
菜津美は、少女時代を田舎で共に過ごした親友たちのことを思い出していた。
原作は未読ですが、西原理恵子さんは故郷が愛媛県なんでしょうか。
実はうちの母の出身も愛媛。
主人公なつみの少女時代のエピソードで<ここは愛媛です>という説明があるわけではないんだけど、最初の方のシーンで母はすぐに<愛媛県の大洲>であることが分かったそうで(私は車のナンバーでようやく)、母にとっては懐かしく嬉しいサプライズだったようです。
だからって映画の途中に私をつついて「この映画の舞台、愛媛!愛媛!」って話しかけるのはやめてぇ~!おばちゃあん!!
ま、それはさておき・・・
いやー、泣いてしまった。幾度となく。
マンガ家としてプロデビューして、それなりに評価もされているのに、なんでそんなにやる気ない感じなのか。
それが単なるマンガ家先生のワガママではないと分かったときは切なかった。
かつての親友に会いに行く決心をしたのは、年下の編集者ぜんざい君に発破かけられたのがキッカケなのかもしれないけど、なつみはなつみなりにずーーーっと考えてて、心の整理ができないままでいたんでしょうね。
なつみ現在、小学校時代、高校時代と、全体通して映画の色はパステルカラーで女の子らしく可愛らしいのですが、彼女たちが抱える現実は大人に近づくにつれどんどん深刻になっていきます。
平々凡々な少女時代を過ごし、大したトラブルもなく今にいたる私は正直なところこの物語のすべてを飲み込めたわけではないのだけど、小さな女の子に「私はしあわせ。私はかわいがられてる」なんて呪文を唱えさせるなよ!大人!とは思いました。
女性に平気で暴力をふるう男ってのがいちばんダメだとも思うよー
深津絵里さんは相変わらず透明感があってステキだったけど、なつみ少女時代の森迫永依ちゃん(ちびまる子ちゃん大きくなった!)、大後寿々花ちゃんも素晴らしかったです。
それからきいちゃんの高校時代を演じた波瑠さん(若いんだけどちゃん付けするには大人っぽい雰囲気)も良かったな。
『山形スクリーム』でチェンソー振り回してた子かー
美しい自然を背景にした少女時代はとにかく瑞々しくてきらきらしてた。
ブラジャーを買いにいくエピソードとかいいなぁ(笑)
シンプルな言葉がやけに沁みたりもしました。「上手だね」「ありがとう」
女の子って、女の子同士のつながりがすごく密な時期ってのがある。
でもずっと一緒にはいられなくて、だんだん離れてく。
何年も連絡を取ってなくても、ふとしたきっかけで久しぶりに会ったとき、会った瞬間少女時代に戻れるような、会わなかった期間のブランクを全く感じさせないような、そういう友達がいるって幸せなことです。
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コメント
原作はオールカラーのせいか薄い割りに高いのです。
寄り道パンセの西原さんの本が書店で山積みになってますが
彼女の半生は「んな、アホな。ふかしやろ。」とあっけにとられる
くらい悲惨なものです。ご出身は高知県です。
「女の子の道」は周りの女の人のように「結婚してズーッと後悔している」
か、「香港に売られる」かしかなくてお先真っ暗にしか見えない。
結局、ヒロインはそのどちらでもない「東京で自活する」道を選びます。
ユリイカの西原さんの特集号や「パーマネント野バラ」も面白いです。
「パーマネント野バラ」は最近文庫化され、映画化の話もあります。
大好きな漫画家さんですが、自分が乏しいお金をやり繰りして買った
印税が、吉祥寺のアトリエにつぎ込まれるかと思うと切ないの。
彼女、吉祥寺に豪邸をぶっ建てたんですよ。ギャンブルに五千万円、
FX取引に一千万円つぎ込んでパーにしてもこの稼ぎっぷり!
投稿: 奈良の亀母 | 2009年9月 7日 (月) 12時05分
奈良の亀母様
こんばんはヽ(´▽`)/
原作、ちょうど昨日本屋さんで手に取って買おうかな?って思ったんだけど
確かに薄いのに高くってやめてしまいました
最近、無職のくせに本買い過ぎてるから・・・
西原先生の本はちゃんと読んだことないんですが
ちょっと聞きかじっただけでも凄まじいレジェンドてんこもりですね。
高知県のご出身でしたか。じゃあ映画のロケ地が愛媛だっただけなんだな
絵はかわいらしいのに、お先真っ暗な女の子のお話ばかりだなんて。
何かのインタビュー記事で「自分で稼がず、人に食べさせてもらったり物を買ってもらったりして何が面白いの」みたいな発言をしてらして胸が痛かったです。。。
稼ぎまくってる西原先生のお言葉は説得力ありすぎ。
ひえー。吉祥寺に豪邸ですかー。
この映画に出てくるようなロハスな日本家屋ではなさそうですねぇ〜
投稿: kenko | 2009年9月 7日 (月) 21時15分
ここんとこ西原マンガの映像化が続いていますね
西原さんのマンガって、やっぱりあの適当な(笑)絵で深刻だったりどぎつい話をやってるところが特色だと思うのですよね
だからか映画化作品にはいまひとつ食指がわかなかったりします
西原さんはたぶん「もうかりゃいーや」くらいにしか考えてないと思いますが(笑)
彼女はいま『ビッグコミックスペリオール』で漫画界の重鎮たちと「画力を競う」みたいなシリーズをやってまして、最新号の最後で編集さんと「浦沢・長崎が『20世紀少年』をこの映画の公開日にぶつけてきた!」「まじにつぶしにかかってきたぞ!」なんて会話を交わしてました
たぶん勝てないと思うけど、まあがんばって
あ、原作むかーしレビューしたことがあったんでTB送らせていただきます・・・・
投稿: SGA屋伍一 | 2009年9月11日 (金) 13時23分
SGA屋伍一様
コメントトラックバックありがとござまーす(◎´∀`)ノ
たまたま観てなかなか感動してしまったんですけど
西原ファンには「なんかちがーう」って感じなのかもですね。
一緒に観たうちの母が「あの子たちは田舎の子にしては手足が長すぎる」なんて言ってましたが。
貧乏で不潔でブサイクという設定のはずの子供たちが、だいぶ美化されていたことは間違いないです
西原さん、スペリオールでそんな企画に参加されてるんですね。
そっか、なにげに『20世紀少年』と公開日いっしょだったんだ。気付きませんでした
うーん・・・20世紀よりずっと良い映画であることは間違いないけど
残念ながら勝てないだろなぁ(笑)
投稿: kenko | 2009年9月11日 (金) 18時28分