« 幸せはシャンソニア劇場から | トップページ | ネコカフェ♪まねき猫 »

湖のほとりで

La_ragazza_del_lago

イタリアのアカデミー賞(ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞。噛みそう(^-^;))で、史上最多10部門を独占したという話題作。
巨匠ナンニ・モレッティ監督(『息子の部屋』など)のもとで助監督を務めてきたアンドレア・モライヨーリの長編初監督作品です。

<あらすじ>

北イタリアの小さな村、美しい湖のほとりで、村の少女アンナ・カダル(アレッシア・ビオヴァン)の死体が発見される。
アンナの死体には争った形跡はなく、顔見知りの犯行であると推測された。
刑事サンツィオ(トニ・セルヴィッロ)は村の住人へ聞き込みを始めるが・・・

湖のほとりで 公式サイト


おさげ髪の少女マルタは伯母の家から帰宅する途中、顔見知りと思われる男の車で連れ去られてしまう・・・

美少女の謎の死体をめぐるミステリー、という大筋だけ聞いてたので、始まってすぐのこの流れにはいきなりハラハラ。
まさかこんな小さな子が、このいかにも変態じみた男の餌食に!?shockって。
しかしこれは軽いミスディレクションで、発見されるのは17歳の少女、アンナの死体。
ある意味ありがちな展開で観る側を誘導し、物語にグッと引き込むという巧い脚本でもってまずツカミはOKって感じ。騙されました。

美人で性格も良く、誰よりも生命力に満ち溢れていたアンナがなぜ、誰に殺されたのか。
最初は、昔気質風の老刑事サンツィオと共に、事件の真相および真犯人に肉薄するべくミステリ小説の謎解きをする気分で観ていたのですが、物語が進むにつれ、ミステリ的要素に寄り添うようにして描かれる繊細な人間ドラマの方に、いつの間にか心奪われていました。

アンナとは性的な関係だったと言い張る男友達、アンナの美しさを憎んでいるかのごとき姉、アンナを親としては異常なくらい愛していた父・・・
村の風景はあくまで穏やかだけど、そこで暮らす人々の胸の内には、行き場のない黒い感情が渦巻いている。
サンツィオが聞き込みを重ねる中で明らかになっていく、人々の心の闇。
冒頭に一騒動起こしたマリオも、アイスホッケーチームのコーチも、アンナがベビーシッターをしていたアンジェロの両親も、みーんな容疑者に見えてきてしまう。
マリオの父親のある言葉をきっかけに、サンツィオが真相に辿り着くことができたのは、彼自身も家族にさえ(いや家族だからこそ)伝えられない、もどかしい苦しみを抱えていたからにほかなりません。

犯人は意外な人物ではありますが、ミステリ小説よろしく犯人はオマエだ!的な派手な演出はもちろんない。
静謐で美しいけれど鬱々とした印象もある映像や、時折チグハグにも感じられる大胆な音楽が、浮き彫りになっていく人生の悲劇性を象徴しているようにも思えました。

事件を通じ、サンツィオは厳しい現実を受け入れるための一歩を踏み出すことができた。
それだけでも、かろうじての希望・・・と言えるのかな。

知ってる俳優はアンジェロの母親を演じたヴァレリア・ゴリノくらいだったけど、サンツィオ役のトニ・セルヴィッロはじめ渋い役者が揃っており、皆さん名演。
この映画を観てからずいぶん経ちますが、今でも時々、村人たちの哀しみの表情が心に滲みます。

|

« 幸せはシャンソニア劇場から | トップページ | ネコカフェ♪まねき猫 »

映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/108178/31567472

この記事へのトラックバック一覧です: 湖のほとりで:

« 幸せはシャンソニア劇場から | トップページ | ネコカフェ♪まねき猫 »