« 2009年10月 | トップページ | 2009年12月 »

2009年11月

なくもんか

Nakumonka

『舞妓Haaaan!!!』の水田伸生監督、宮藤官九郎脚本、阿部サダヲ主演の下町人情コメディ。
この冬楽しみにしていた映画の中の一本だけど、ちょっと期待したものとは違ってました。
『舞妓Haaaan!!!』のような派手な笑いはあまりなく、思いのほかシリアスな話。
劇中で塚本高史が語る笑いの7要素のひとつが<不幸>って分かるんだけど、この映画に限っては不幸をそのまんま不幸として受け止めてしまい、眉間にしわを寄せながらけっこう真剣に観てしまった。
面白くなかったわけじゃないけど、あんまり笑えなかったです。

<あらすじ>

幼いころ両親の離婚で生き別れてしまった兄弟、裕太(阿部サダヲ)と祐介(瑛太)。
裕太は東京下町で<デリカの山ちゃん>を営む夫婦に育てられ店を継ぎ、二代目<山ちゃん>として下町の人々から親しまれていた。
お世話になった人達に恩返しするため、山ちゃんはいつも笑顔で頼まれたことはけして断らない。
祐介は施設や里親を転々とし、いじめられないために<面白いことをして人を笑わせる>という術を身につけ、やがてお笑い芸人に。
金城大介(塚本高史)に出会った祐介はコンビを組み、兄弟漫才<金城ブラザーズ>として人気を博す。
ある日、デリカの山ちゃん初代当主の一人娘で、10年間音信不通だった徹子(竹内結子)が帰ってくる。
デブでブスだった徹子は、激やせとプチ整形で見違えるような美女に変貌していた。
初代の遺言がよぎる山ちゃん。山ちゃんは徹子に結婚を申し込む。
やがてふとしたことから、山ちゃんは生き別れた弟が金城ブラザーズの祐介であることを知る。

なくもんか 公式サイト

不幸をネタにした作品というと『自虐の詩』とか、先月観た松尾スズキの芝居『サッちゃんの明日』もそういえばそうでした。
『サッちゃんの明日』なんて下町が舞台ってところも似てる。そば屋とハムカツ屋だし。
たまたまでしょうけど。
どっちも主人公の不幸っぷりは突き抜けてて、本来なら笑うべきでないシチュエーションでも思わず笑ってしまう。
でもこの映画にはそういう笑いがあまりなくて、不幸にまつわるエピソードはとことん不幸な印象。
まあ阿部サダヲの力技で、いつものノリでハイテンションにやられるとやっぱり笑っちゃったりもするんですけどもcoldsweats01
シリアスなドラマにしたいのか、笑いをとりたいのか。
どっちつかずで作り手の意図がちょっと分かりにくかったかも。
ラストもイマイチ盛り上がりにかけるというか・・・
兄弟漫才がウケたからって、あっさり大団円!みたいにしたくなかったのかな。

金城ブラザーズは大して面白いとも思えないのになぜかアイドル並みに大人気のお笑い芸人で、コンビでどっちかがドラマに出たり、自伝を出したりそれが映画になったり・・・今の芸能界のお笑い事情を皮肉ってるのかなーとちょっと思いました。
皮肉ってると言えば、エコも。
いつもエコエコ言ってるのって日テレでしたっけ?
エコを強引に絡めてくるのはテレビ的なアレでしょうか。
最後は結局ラードでハムカツ揚げてたし、エコ推奨映画ではないと思うけどあまりしっくりこなかった。
夜な夜な出掛けていく山ちゃんにどんな秘密が・・・と竹内結子が妄想するシーンの携帯充電機も?って感じだったし。

結局のところ、徹子役の竹内結子さんがいちばん良かったかも。
なんでも冷静にきっぱり言うキャラで、瑛太を蹴っ飛ばしてタンカ切るシーンとかカッコよかったです。
実はこれまで演じてるところをちゃんと観たことなかったんだけど、いい女優さんなんですねぇ。今更ながら。
あと出番もセリフも少ないのに、石田あゆみさんはさすがの存在感。
阿部サダヲとしては今回異色の役だったのかもしれないけど、心は笑ってないのに顔には笑顔が張り付いていて、息抜きをするために・・・という山ちゃんのキャラはどこか最近の阿部さん自身とかぶるところもあるように思えて(勝手なイメージですが)、もしかしたらそういう阿部さんの新たな一面を引き出したい脚本だったのかもしれないなと思いました。

| | コメント (4) | トラックバック (3)

曲がれ!スプーン

Magarespoon

信じる心を忘れなければ、スプーンは曲がるのだ。
京都の劇団・ヨーロッパ企画の舞台『冬のユリゲラー』を元にしたキュートなエスパームービー!
ずーーーっと前からむちゃくちゃ楽しみにしてました。やっと観ることができて嬉しいshine
ヨーロッパ企画を知ったのは本広克行監督の『サマータイムマシンブルース』がキッカケで、映画も舞台のDVDも何度観たか分からないくらいお気に入りですが、今回ももちろん監督は本広克行、ヨーロッパ主宰の上田誠が脚本。
舞台の良さを生かしつつ設定を掘り下げ、映画的な盛り上がりやエモーションやさらなる小ネタを盛り込んで大満足のデキでした。

<あらすじ>

子どもの頃から超常現象を信じてきた桜井米(長澤まさみ)は、超常現象バラエティ<あすなろサイキック>のADをしているが、失敗が多く怒られてばかり。
ある日プロデューサーから、番組に届くハガキを元にホンモノの超常現象、超能力者を見つけてくるよう言われる。
米は言われた通り全国を訪ね歩いてホンモノを捜すが、なかなか見つからない。
やがてクリスマス・イブの夜。とある地方の喫茶店<カフェ・ド・念力>には、エレキネシス、透視、テレパシー、サイコキネシスといった能力を持つエスパーたちが集い、エスパーパーティーを繰り広げようとしていた。

曲がれ!スプーン 公式サイト

ネタバレ含みます

舞台は<カフェ・ド・念力>に集うエスパー5人(いや6人?+マスター)のしょうもない会話劇とドタバタがメインで、中盤以降に登場する超能力番組のAD・米(よね)ちゃんの存在は実はさほど重要に思ってなかったんだけど(というのも失礼か)、映画は米役の長澤まさみが主演。
舞台のファンとしてはどうなるのかなぁ?という不安がちょっぴりよぎりもしましたが、まだまだ不思議を信じていたいピュアな女の子を長澤さんがとっても可愛らしく演じていて、これはこれですごくいい雰囲気だったと思います。
キュートなドジッ子ガールをなんとか救うべく、おっさんエスパーたち頑張る!!という図が舞台よりも強調されており、テレパシー椎名が米ちゃんの手を握って彼女の思いを知ってしまうあたりから思いがけず涙がweep

会話劇はほぼ舞台のまんまなのですが、新しいネタもぼちぼちあって楽しかった。
透視とテレパシーが出会ったキッカケには笑ってしまいました。
SF的要素を庶民的に描くというのは上田誠が書く脚本の特徴で、もしも彼らのような能力があったら実際はもっと悪用する人もいるだろうと思うのに、しっぽまでアンコの詰まったたい焼きを透視で選ぶとか、自販機の当たりをエレキネシスでとか、彼らの活用法はどこまでもちっさいのがポイント。
テレポーテーションの小山が(実際には5秒だけ時間を止めて自力で移動するタイムストップ)、米ちゃんのカメラレンズのフタをとってあげるエピソードが好きheart

舞台ではアナログな仕掛けで表現していた超能力も映画ではCG使い放題なので、スプーンがぐにゃぐにゃ曲がるなどのオドロキ映像も映画ならでは。
そのせいか諏訪雅演じるサイコキネシスの河岡が、さらにパワフルに暴力的になってるように見えました(笑)諏訪さんっていいキャラだよねぇ。
彼らの話の中でしか登場しないドラえもんと風とか、工場長とか、へっちゃら男とか、すべてきちんと映像化されているのにもニヤリとしてしまう。
へっちゃら男はエンドロールあたりに出てくるかな?と予想していたんですけどね。

中川晴樹、諏訪雅以外のヨーロッパメンバーも、全員なんらかのちょい役で出演してます。
(酒井さんだけどこに出てるか分からなかったsweat02
あと今回もやっぱり香川ロケってことで、『サマータイム〜』ネタがかなり頻繁に出てくるのが嬉しい。
<ADさん全国行脚の旅>の途中で佐々木蔵之介、本多力と共にタイムマシンがちらりと映りますが、タイムマシンはホンモノだよ!と米ちゃんに教えてあげたかったです。
まだ開発途中の失敗作だったかしら。
実は『UDON』を観ていないので分からないんだけど、UDONネタもあったのかな?

ヨーロッパ企画と本広克行のいい感じの関係がこれからも続いて、またヨーロッパ舞台モノの映画が観られるといいなー。と思います。
『Windows5000』とか、『あんなに優しかったゴーレム』なんかもいけそう?
ゴーレムが動くところを見たい!
映画に合わせて再演されるユリゲラー改め『曲がれ!スプーン』も2月に観る予定。楽しみです♪

| | コメント (2) | トラックバック (3)

母なる証明

Mother

『殺人の追憶』『グエムル』のポン・ジュノ監督最新作。
またも業の深すぎる韓国映画を観てしまいました。

<あらすじ>

とある田舎町。
漢方薬店で細々と働きながら、母(キム・ヘジャ)は息子トジュン(ウォンビン)と二人で暮らしていた。
トジュンには記憶がすぐにとんでしまうという障害があるものの、心優しい純朴な青年。
母は息子が町のゴロツキであるジンテ(チン・グ)といつもつるんでいることが心配で仕方ない。
ある日、町で女子高生殺人事件が起き、トジュンが逮捕されてしまう。
警察はトジュンが何も説明できないのをいいことに、犯人だと決めつける。
母は息子の無実を訴えるが、聞き入れてもらえない。
弁護士も頼りにならず、母は一人で真犯人を探すことを決意する。

母なる証明 公式サイト

ネタバレ含みます

枯れ野原をふらふらとさまよい歩く女性。
彼女はおもむろに身体を揺らし始め、やがて悲痛な表情で踊り出す。
始まりは不思議なシーンですが、女性がこの映画の<母>であることはすぐに察しがつきます。
そしてたったこれだけのシーンなのに、なぜか胸が詰まるようで目頭が熱くなる。
息子トジュンの無実を証明するため奔走する母がついに事件の核心に迫るとき、物語は冒頭のシーンにつながり、母のダンスの背後にあるものが分かってしまうという仕掛けなのですが、それだけでは終わらずさらにその先の先まで描いているところがさすがポン・ジュノ。容赦ないです。

誰ひとり味方がいなくても、無条件で子供を守ろうとするのが母だろう、と思います。
なりふり構わぬ母の愛は、母でなくとも痛いほど伝わってくる。
トジュンのような無垢な青年を狡猾なやり方で犯人に仕立て上げる警察や、金のない者に対してはロクな仕事をしない弁護士のオヤジにはとにかく腹が立つ。
この辺は少し前に観た『チェイサー』や『殺人の追憶』に似てます。
ひとりで事件を調査することを決意した母が、真相に迫っていく過程は超一級のミステリで見応え満点。
しかし見どころはそれだけじゃなく、辿り着く場所はもっと深くて恐ろしかった。
母心に寄り添う観客を何度も裏切りながら、底知れない闇にどこまでも降りていく感覚。
得体が知れないようで、よく知っている気もする、人間の狂気。
登場人物の顔が大写しになるたび、見てはいけないものを見ている気がしてゾッとする。
この恐怖は、ミステリというよりホラーだと思いました。

役者さんたちの演技とは思えないほどの名演がまた絶品。
母役キム・ヘジャには、本当に圧倒されました。
韓国人にとっては韓国の母と言われるほど母のイメージが強い女優さんなのだそうで、キム・ヘジャありきの脚本だったみたいです。
兵役を終えて5年ぶりの映画出演というウォンビンがトジュン役なのだけど、観ている間ウォンビンだなんて実は全然まったく気付かなかった私sweat02
ゴールドのアクセサリーつけたイケメンのイメージしかなく・・・演技派なんですねぇ。
真っすぐなようでつかみ所のない表情が絶妙だと思いました。
殺される女子高生役の子とか、彼女を取り巻く人たちとか、ああいうリアルな顔を持つ役者さんをいったいどこで見つけてくるんでしょう。

ラストシーンで息子が母に渡す落とし物。
意味をなしていないかのようなトジュンの言葉は、ときおり残酷すぎるほど真実を突き、母を追いつめます。
ほんとは何もかも分かってるんじゃない?と思えるくらい。
嫌な思い出を忘れさせてくれるというツボに鍼を刺したところで、罪は消えない。
母が悪夢のような日常を踊り続けるのはなぜか。息子のため?
そんな甘いもんではないような気もしました。

| | コメント (13) | トラックバック (6)

私の中のあなた

My_sisters_keeper

泣けると評判の映画ですが、実はあまり涙は出なかった。
だからといってイマイチだったとかじゃなく、重いテーマなのにナチュラルで温かくてユーモアもあって、すごくステキな映画だったと思います。
特にケイトとテイラー(サラコナークロニクルズのトーマス・デッカー)のやり取りが好き。
病気のことをジョークにしたり、「抗がん剤の味がする」なんてロマンティックだなぁ・・・なんて思うのは間違ってるかもしれないけど、やっぱりロマンティックだったな。
あまり泣けなかったのは、登場人物それぞれの複雑な立場を考えれば考えるほど、迂闊に感情移入できなかった・・・のかなぁ。私よ。

※下でわりと詳しく内容を書いちゃったので、<あらすじ>は省略。ネタバレ含みます※

私の中のあなた 公式サイト

物語は、白血病の姉ケイトのドナーとして生まれてきたアナ(アビゲイル・ブレスリン)のモノローグで始まります。
アナはケイトを生かすために、遺伝子操作でつくられた子供。
ケイトが病気でなければ、アナはこの世に存在しなかった。
臍帯血にはじまり、血液、骨髄など、ケイトに提供し続けてきたアナ。
母サラは弁護士の仕事をやめ、ケイトを一日でも長く生かすことに人生を捧げている。
父ブライアンも兄ジェシーも、ケイトを愛している。もちろんアナも。
だからみんなの気持ちはひとつ。
ケイトの命を守るという、ゆるぎない絆で結ばれているはずだった。

ある日アナは、テレビCMで有名な弁護士事務所を訪れる。
アナは弁護士(アレック・ボールドウィン)に言う。
「姉の容態が悪化し自分の腎臓を移植することになっているが、これ以上姉の犠牲になるのは嫌だ。両親を訴えたい」と。
弁護士は絶句する。そりゃそうだ。
子供が親を訴えるなんて前代未聞だけど、アナが生まれた経緯、そしてこれまでアナが受けてきた行為はもっと驚きだ。
はっきり言ってこの時点では、アナの訴えはもっともだと思えてしまう。
成長したアナが、両親の自分に対する扱いに疑問を抱くのは当然。
そもそも病気の子供のためにもう一人子供を作るってどうよ?

しかし・・・アナが移植を拒否するということは、これまでなんとかもってきたケイトの命が消えてしまうかもしれない、ということ。
アナは本当にそれでいいのか。
自分のせいで姉は死んだ、と後で後悔するのではないか。

ケイトのことしか眼中にない母サラ(キャメロン・ディアス)。
アナを傷つけてきたことを反省してくれるかと思いきや、そういう展開にはなりません。
サラはアナと法廷で対決します。
アナが折れてくれなければ、ケイトは死んでしまうから。
アナを目の前にして「病気の子が最優先だ」と断言するほど、母の意志はゆるぎないもの。
ここでもやはり、この母どうなの?と思ってしまった。

けれどアナが両親を訴えることを宣言したあとも、家族はこれまでどおり仲良しで、アナが両親や姉を憎んでいるようには見えない。
なのでアナの行動に何かしら理由があることは予想がつきます。
真実が分かったとき・・・驚きというよりもすべてがしっくりきたというか、病に冒された身でありながら誰よりも家族ひとりひとりを理解し、見守ってきたケイトの思いに目頭が熱くなりました。

最初はなかなか母の気持ちが理解できませんでしたが、家族それぞれに順番にスポットが当たっていくにつれ、フィッツジェラルド家のような家族のあり方はとても難しく、何が正解で何が間違ってるとかそういう単純なことではないのかも・・・と考え込んでしまった。
例えばサラの立場になったとき、我が子を救うたった一つの方法がもうひとり子供を作ることだと医者に提案されたら、そりゃその方法を選択してしまうだろうと思うし。
両親の関心はどうしてもケイトに集中してしまい、子供達が精神的に大人にならざるを得ない状況であることは哀しいけど、ケイトを守りたい気持ちはみんな同じ・・・というのは、やはり家族だから。
お互いを思いやる心が、多くを語らずとも伝わってくる作品でした。

| | コメント (10) | トラックバック (6)

スペル

Dragmetohell

ポスターは日本のがアホっぽくて良いですねぇ。
スパイダーマンシリーズのサム・ライミ監督、原点回帰と大評判のコメディなホラー『スペル』
ようやっと観てきました。

<あらすじ>

銀行のローンデスクで働くクリスティン・ブラウン(アリソン・ローマン)のところへある日、老女が不動産ローン延長の申請にやってくる。
老女の家は既に差し押さえられており、延長は3回目だったが、老女を可哀想に思ったクリスティンは上司に相談することに。
しかし上司は申し入れを拒否するようクリスティンに指示。
昇進を意識していたクリスティンは上司に従うが、老女はクリスティンを逆恨みし、残業を終えて帰宅しようとしたクリスティンを待ち伏せ、散々暴れたあげく呪いの言葉を残して去る。
やがてクリスティンを恐ろしい超常現象が襲いはじめる。

スペル 公式サイト

いやー、これは楽しかった。
オバアチャンがやたらとおぞましかったり、入れ歯が武器だったり、ハンカチが武器だったり。
そりゃもう笑っちゃうのだけど、恐怖面でも抜かりないのがさすがライミ監督。
恐さと笑いの両方でアドレナリン噴出しまくり!大満足の一本shine
あまりのゲロテスクに吐き気をもよおすことはあっても、目をそむけたくなるほどの残虐さはないところがみんなに優しいし、実は『マーターズ』以来後味の悪い本気のホラーばかり観まくってまして、そのせいか非常に新鮮でした。

効果音や音楽、いかにもなタイミングやカメラワークを駆使した、あくまで古典的手法の怖がらせ方だったりするのが懐かしさを感じさせて嬉しいだけじゃなく、斬新なアイデアもいっぱい詰まってて飽きさせません。
だってハンカチですよ。
ハンカチが人間を襲う・・・こんなシュールなホラーがかつてあったでしょうか。
ディズニーアニメじゃあるまいしcoldsweats01
でもこれがまたちゃんと怖いんだよねー

あんまり悪くないのに呪いをかけられてしまう不運な主人公が、いかにもな美女ではなくカワイイ系の地味目ガールであるところがまた絶妙。
田舎育ちであることや実はかつてポッチャリさんだったことがコンプレックスなのだけど、仕事に恋に頑張るクリスティンは、どこにでもいそうなタイプだからこそ応援したくなる。
おとなしそうに見えて意外と負けん気の強い子なので、オバアチャンの呪い攻撃にもそう簡単には負けないのだ。
クリスティン役アリソン・ローマンの女優魂を見せつけられるシーン多数。
ゲロまみれ血まみれ泥まみれ・・・ホラー映画のヒロインは大変なのです。

ジャスティン・ロング演じるクリスティンの恋人が、彼女の奇行を目の当たりにしながらも最後まで愛を貫いた点に関しては、どうせ心変わりするんでしょーというひねくれた目で見てただけに普通に感動してしまった。
しかしそんな優しい彼のどうでもいい趣味が、彼女を地獄の底に突き落とすことになるという皮肉。
ハッピーじゃないオチも秀逸でした。

| | コメント (12) | トラックバック (11)

カイジ 人生逆転ゲーム

Kaiji

ようやっとカイジ。まだやってるかしら。
原作は『賭博黙示録カイジ』の頃に一度読んだきりですが、マジに命を賭けたギャンブルの世界はアドレナリン全開の緊迫感と異様なテンションで、読み始めたら止まらない悪魔的面白さのマンガ。
福本伸行氏の独特の作風によるイメージがあまりに強烈すぎるため、藤原竜也主演で実写映画っていまひとつピンとこなかったのだけど、なかなかどうして普通に面白いエンタメムービーに仕上がっておりました。

<あらすじ>

怠惰な生活を送る若者・伊藤カイジ(藤原竜也)のところにある日、金融会社の社長・遠藤(天海祐希)が借金の取り立てにやってくる。
カイジはすっかり忘れていたが、数年前に友人の借金の保証人になっており、利子が量んだ負債総額は200万を越えていたのだった。
支払いを拒否するカイジに遠藤は、一夜で大金を手にすることができるという豪華客船エスポワール号に乗ることを薦める。

カイジ 人生逆転ゲーム 公式サイト

映画は、限定ジャンケン、鉄骨渡り、Eカードと原作の印象深いエピソードに加え、地下王国も建設中という盛りだくさんな構成。
ゲームのルールや細かい設定など、ツッコミどころ満載の改編もボチボチなされていたようですが、個人的にはほとんど気にならなかったし、役者さんの全力の演技とギャグぎりぎりの真剣勝負を大いに楽しみました。
特に地下王国がお気に入り。
松尾さんが最高に良かったし、藤原くんのビールの飲みっぷりには笑ったbeer

やや物足りなく感じた部分を挙げるとすれば、原作の持つ内臓を抉られるようななんとも言えない気味悪さが、映画では若干薄められているような気がしたこと。
たくさんの人に観てもらえる映画にする為には仕方のないことだとは思いますけども・・・もっとサディスティックで変態で狂ってて怪物的な存在感の兵藤会長を見たかったです。
要するに、金のないヤツは目か耳を賭けろ!そして負けたヤツは焼き土下座をせい!!ってことなのだけど・・・それをやるとホラーになっちゃう?
終わり方とかやけにサワヤカだったし。

藤原竜也は、<ここぞという時には天才的にヒラメくのだけど、基本的には誘惑に打ち勝てないダメ人間>であるカイジを好演。
およそカイジのイメージからは程遠いイケメン俳優なのに、全身全霊でカイジでした。さすがです。
利根川役・香川照之との演技合戦は見もの。(ざわざわ・・・がちゃんとBGMに♪)
カイジのダメっぷりになぜか母性本能を刺激され助けてあげたくなる・・・のは私だけかもしれませんが、原作のカイジにはそんなこと思わないし、これも藤原竜也効果かと思われます。
その点、原作では男性である遠藤を天海祐希にしたのは正解かと。
遠藤の意外な行動も、藤原カイジくんと天海姐さんならなんとなく納得なのだ。

| | コメント (6) | トラックバック (6)

『The Wolfman』trailer

久々にツボど真ん中な予感のする映画。
1941年のホラー映画『狼男(The Wolfman)』のリメイクで、ベニチオ・デル・トロが狼男に!

変身シーンに並々ならぬ本気を感じます。
骨がごきゅごきゅ変形する感じがイイ♪

チェ・ゲバラがまだ記憶に新しい演技派、ベニチオ・デル・トロがこういう役を受けるとはちょっと意外?
しかしこれはハマリ役でしょうheart
デルトロ演じる狼男のお父さん役がハンニバル・レクターことアンソニー・ホプキンスで、狼男が関係している殺人事件の捜査官役がエージェント・スミスことヒューゴ・ウィービングだなんてワクワクするキャスティング。
ヒロイン役にエミリー・ブラント(『プラダを着た悪魔』)ってのもイイですね。
清楚でクラシカルでちょっと陰がある感じ。この手のゴシックホラーにはピッタリです。

監督のジョー・ジョンストンに関しては、フィルモグラフィを見る限り実はあんまりそそられないのだけどsweat02(『ジェラシック・パークⅢ』とか)
脚本が『セブン』のアンドリュー・ケヴィン・ウォーカーってところに期待。

あちらでの公開は来年2月。
日本の公開時期は決まっていないようですが、きっとやるよね?今から楽しみです。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

マーターズ

Martyrs

単館系映画の中でも、特にマイナーな作品ばかりかける横川シネマという映画館がありまして(先日紹介したネコカフェの近く)、かつてポルノ専門館であった時代の面影を残す昭和な佇まいが大変味わい深いステキな映画館なのですが、個人的にちょっと行きにくい場所であるため、足を運んだのは2006年の『ある子供』以来。
『カスタムメイド10.30』では、横シネの二階に木村カエラちゃんが住んでたのよ。

※下の方で映画の内容をかなり詳しく書いているので<あらすじ>は端折りまっす。
マーターズ 公式サイト

いやー。ウワサに違わぬ衝撃作でございました。すごいもん観ました。
事前に聞いていた<女の子が監禁虐待される><ものすごく残虐非道><衝撃のラスト>といった断片的な情報から、『ホステル』みたいなのを想像していたのですが、これは似て非なる新機軸。
最近めっきりグチャッとしたのがダメで、ノコギリとか金槌とかチェンソーとか痛そうな道具を駆使してジワジワと切り刻む系は胃腸に悪いのう・・・と弱腰だったんだけど、その点に関しては想像した種類の暴力とは違ってて自分としては許容範囲内。
最後まで目をそらすことなく観ることができました。
と言っても、もちろん充分過ぎるほど残虐でしたけども。

ネタバレ厳禁ムービーですが、以下、ラストまで完バレしてます。
これからご覧になる方はご遠慮ください。

この作品、ポスターからも伺い知れる通りヒロインが二人いるのが特徴。
前半と後半で映画の雰囲気がガラリと変わるのですが、ヒロインも前半後半でチェンジするという構成が、斬新で面白いなと思いました。
リュシーとアンナ、二人とも黒髪でまるで姉妹のよう。
特にリュシーが好みだわshineちょっとアジア系入ってる感じの見た目が個性的で良いです。

で、前半のヒロインはそのリュシー。
10歳のリュシーは、廃工場のようなところで何者かに監禁虐待されていたが、自らの力でなんとか脱出。
保護された小児科病院?で、同世代の少女アンナに出会う。
犯人は捕まらず、事件はトラウマとなりリュシーの心を苛み続けた。

15年後。
スクリーンに映し出されるのは、何の変哲もない家族の朝の食卓。
他愛もないことで笑い合う、父、母、兄、妹。とても幸せそう。
この人たち誰?リュシーはどうなった?と思うやいなや、家族の元へ朝っぱらから訪問者が。
ヤな予感。
玄関に立っていたのは、フードをかぶり猟銃を手にした女。
女は成長したリュシーで、猟銃で家族を皆殺しにしてしまう。

初っ端から非常にショッキングなシーンですが、映画全体からすればまだまだ序章にすぎません。
大体予想はつくけど、これはリュシーの復讐。いや、身を守るために仕方なくやったことか。
リュシーが殺した夫婦は15年前の事件の犯人で、リュシーは彼らの罪なき子供達までもブチ殺してしまったのでした。
なんで子供まで?リュシーがここまで激しく思い詰めてしまったのにはワケがある。
事件以来、リュシーは全裸で傷だらけで関節の曲がり方が気持ち悪いバケモノのような女の亡霊?に襲われ続けており、犯人を殺せば女が消えると信じていたのだった。

この全裸の女ってのがねぇ・・・ハンパなくコワイんすsad
リュシーの狂気が見せる幻なのか、それとも本当に存在するのか。
この時点では判断できないのだけど、オバケ的なものって基本的に神出鬼没じゃないですか。
だからコワイsad
クローゼットに隠れたって後ろから突然ナイフを突き立てられそうで・・・
リアルな犯罪モノなのかオカルトもアリなのかなんだか分からないまま容赦なくお話が進んでいくテンポの良さが、とてつもない緊迫感を生んでいて秀逸。

その後もまあいろいろありまして・・・後半戦。(手抜きsweat02
リュシー退場後、ヒロインはアンナにバトンタッチ。
アンナは、惨劇の館の隠された地下室を発見する。
(二転三転するストーリーってやつです。つかとっとと警察に連絡せい。いかにも怪しい地下に一人で行くな!とお姉さんは言いたい)
冷たい地下室の真ん中にポツンと置かれた椅子。
長い鎖の先の暗闇には・・・痩せこけ傷つき、壮絶な姿になり果てた女が繋がれていた!!!shock
(この人がまたねぇ・・・筆舌に尽くし難いビジュアル)

一刻も早く警察か病院に電話すべきシチュエーションですが、なぜか女を湯船につけて放置したまま居眠りしてしまうアンナ。
(頭部に直付けされたヘッドギアを外すシーンは痛かった・・・お願いだからそういうのはお医者さんにやってもらってください)
そこへ突然、黒づくめのスワットみたいな連中がドヤドヤと乱入。
もしかして警察の人?騒ぎを聞きつけて駆けつけてくれた??
という淡〜い期待は、アンナの髪を鷲掴みにして地下に連れて行くという乱暴な行為であっさり却下。。。
悪い人たちだ。間違いなく監禁する側の人たちだよぉー。アンナお先真っ暗・・・

ここでやつらのボスとおぼしき高齢の女性<マドモアゼル>登場。
(こんなにもバイオレンスな映画なのに、メインキャストは女性ばかり)
「リュシーやあの女だけじゃない。被験者は何人もいた。その境地に達することのできる人間は滅多にいないけど、若い女の方がなりやすいのよ」
カルト教団かなんかでしょうか・・・
とにかく長年に渡り、組織で監禁虐待を繰り返してきた模様。

組織の目的は暴力そのものではなく、暴力によってもたらされる苦痛の果てにあるもの。
死の間際にあってなおこの世にあり続ける人間<MARTYR=殉教者>が見るという、<もうひとつの世界
つまりここでようやく、15年前リュシーを監禁虐待した犯人の正体、その目的が明らかになるというわけ。

当然ながらアンナもまた、彼女の意思とは関係なく殉教にチャレンジ!させられます。
未来永劫続くかと思われる屈辱的な暴力は、あくまで淡々とドライであるがゆえにキツイ。
アンナは苦しみもがき、肉体的にも精神的にも追い詰められていきます。
苦痛と恐怖を乗り越えるため、アンナは心の中のリュシーに語りかける。
「どうすれば恐くなくなるの?」「身をゆだねるのよ」
アンナはもう、暴力に逆らいません。

そしてついに・・・<殉教への道>ラストステージ。
顔面のみ残し全身の皮膚を剥かれ、パッと見<なんか赤くてヌラヌラした全身タイツ>を着た人みたいになってしまった哀れなアンナ。
上目使いでイッちゃった感じの目つきこそが殉教の証拠らしく、マドモワゼルは17年間待ちに待ったこの瞬間、アンナに問いかけます。「何を見たの?」
マドモワゼルの耳元でアンナは何かしら囁きますが、私たちには聞こえない。

館に組織の会員らしき金持ちげな老人たちが集まってくる。
彼らはアンナが見た<もうひとつの世界>の存在を、マドモワゼルから伝え聞くためにやってきた。
「最終段階まで到達することができたのは17年間で4人。殉教者はアンナのみです。彼女に敬意を払ってください」

なんたる身勝手。なんたる傲慢。
どいつもこいつもてめぇで試せ。ほんでとっととあっちの世界にいてまえっっっ!!!!!(#`皿´)
・・・と、いいかげんスクリーンに向かって絶叫したくなりました。
とにかく彼らは大真面目。真剣なのです。だからこそタチが悪い。

しかーし!マドモワゼルは彼らに何も伝えないまま、ただ「疑い続けなさい」という言葉のみ残して・・・自殺。
・・・えええええーーーーーっっっ!?どゆこと!?Σ( ̄ロ ̄lll)

なんという唐突な終わり方。とってもモヤモヤしますた。
個人的には猟銃持ったリュシーちゃんに再登場してもらって全員ぶっ殺してもらいたいくらいですけども・・・
アンナがマドモアゼルに何を言ったか知らんけど、その言葉は彼女を完膚なきまでに叩きのめした。
そして何も教えてもらえなかったじいさんばあさん達はさぞかし絶望し、今まで以上に死を恐れながら余生を送ることになるのではないでしょうか。
そうでも考えなきゃ、犠牲となった人たちが報われないです。

バカ長い感想になってしまいました。
とにかくものすごーく、濃密な2時間。
全く予想もつかない展開でラストまで引っ張る引っ張る。
まごうことなき問題作ですが、近年稀に見る斬新さと面白さを兼ね備えた作品であることも確か。
映画館で観ることができて良かったです。
これが監督2作目のパスカル・ロジェには、かつて『ヘルレイザー』リメイクの話があったみたいだけど既に降板になったらしい。残念だわん。

| | コメント (14) | トラックバック (4)

« 2009年10月 | トップページ | 2009年12月 »