カイジ 人生逆転ゲーム
ようやっとカイジ。まだやってるかしら。
原作は『賭博黙示録カイジ』の頃に一度読んだきりですが、マジに命を賭けたギャンブルの世界はアドレナリン全開の緊迫感と異様なテンションで、読み始めたら止まらない悪魔的面白さのマンガ。
福本伸行氏の独特の作風によるイメージがあまりに強烈すぎるため、藤原竜也主演で実写映画っていまひとつピンとこなかったのだけど、なかなかどうして普通に面白いエンタメムービーに仕上がっておりました。
<あらすじ>
怠惰な生活を送る若者・伊藤カイジ(藤原竜也)のところにある日、金融会社の社長・遠藤(天海祐希)が借金の取り立てにやってくる。
カイジはすっかり忘れていたが、数年前に友人の借金の保証人になっており、利子が量んだ負債総額は200万を越えていたのだった。
支払いを拒否するカイジに遠藤は、一夜で大金を手にすることができるという豪華客船エスポワール号に乗ることを薦める。
映画は、限定ジャンケン、鉄骨渡り、Eカードと原作の印象深いエピソードに加え、地下王国も建設中という盛りだくさんな構成。
ゲームのルールや細かい設定など、ツッコミどころ満載の改編もボチボチなされていたようですが、個人的にはほとんど気にならなかったし、役者さんの全力の演技とギャグぎりぎりの真剣勝負を大いに楽しみました。
特に地下王国がお気に入り。
松尾さんが最高に良かったし、藤原くんのビールの飲みっぷりには笑った
やや物足りなく感じた部分を挙げるとすれば、原作の持つ内臓を抉られるようななんとも言えない気味悪さが、映画では若干薄められているような気がしたこと。
たくさんの人に観てもらえる映画にする為には仕方のないことだとは思いますけども・・・もっとサディスティックで変態で狂ってて怪物的な存在感の兵藤会長を見たかったです。
要するに、金のないヤツは目か耳を賭けろ!そして負けたヤツは焼き土下座をせい!!ってことなのだけど・・・それをやるとホラーになっちゃう?
終わり方とかやけにサワヤカだったし。
藤原竜也は、<ここぞという時には天才的にヒラメくのだけど、基本的には誘惑に打ち勝てないダメ人間>であるカイジを好演。
およそカイジのイメージからは程遠いイケメン俳優なのに、全身全霊でカイジでした。さすがです。
利根川役・香川照之との演技合戦は見もの。(ざわざわ・・・がちゃんとBGMに♪)
カイジのダメっぷりになぜか母性本能を刺激され助けてあげたくなる・・・のは私だけかもしれませんが、原作のカイジにはそんなこと思わないし、これも藤原竜也効果かと思われます。
その点、原作では男性である遠藤を天海祐希にしたのは正解かと。
遠藤の意外な行動も、藤原カイジくんと天海姐さんならなんとなく納得なのだ。
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コメント
kenkoさん、こんばんばん
kenkoさんは原作も読んでおられたんですね! 未読のわたしからすると今回の映画大変楽しめたのですが、やっぱり原作ファンからは「物足りない」という声がいろいろあがっているようで
ところでまたしてもタイムリーなんですが、ビッグコミックスペリオール最新号で、福本先生と西原理恵子さんが画力対決を行っておられました。二人は麻雀誌でブレイクしたということもあって、割と長い付き合いのようです
「まさか福本があの絵でこんなに売れるとは思わなかったよねー」
「あの時たらしこんどけば、いまごろ左団扇で暮らせたのにさー」
西原さん、あなたってひとわ!
投稿: SGA屋伍一 | 2009年11月14日 (土) 21時31分
SGA屋伍一様
こんばんわん( ^ω^ )
原作は途中までですけど、ずいぶん前に知り合いに借りて読みました。
偉そうなこと書いてますけど実はこの映画観るまで、まだ連載が続いてるって知らなかった
多少の物足りなさは、役者さんの熱い演技が吹き飛ばしてくれましたよ〜
松尾スズキが出てるの忘れてて、出てきたとき嬉しかったし♪
スペリオールの西原さんの画力対決、続いてるんですね(笑)
そして今回は福本伸行氏との対決!
そうか、西原さんもギャンブラーですもんね。今回もナイスコメント
確かに福本さんの絵はねぇー
しかし今やあの絵あっての福本マンガですね。
投稿: kenko | 2009年11月15日 (日) 19時55分
お二人はBSマンガ夜話でも同じ巻でしたもの。
綺麗な上手い絵を描く人が売れるとは限らない。
福本作品の黒幕老人は化け物ですよね。
ジョーズみたいな歯だし、とことん醜い。
焼き土下座やらないんですか?
一番の見せ場なのに。
投稿: 奈良の亀母 | 2009年11月15日 (日) 21時28分
奈良の亀母様
こんばんは♪
マンガ夜話でも同じ巻でしたか。
大好きな番組ですが、お二人の回は観逃してます
圧倒的に面白いマンガは絵の上手さなんて関係ないですね。
やらないんですよー、焼き土下座。
ちょっと拍子抜けでしょ?
映画では黒幕老人の影が薄めで、香川照之演じる利根川がメインって感じなんですけど
だからこそ!焼き土下座もやってほしかったです〜
投稿: kenko | 2009年11月16日 (月) 23時34分
kenkoさんこんばんは。
この映画に関しては、原作を読まずに映画を見た方が結構多くて、それはそれでけっこう羨ましいなと思います。
あのグロテスクな世界観の原作を読んでしまうと、どう考えても映画版の薄さが目に付いてしまって、もう福本先生の呪いなんだと思いました。
>役者さんの全力の演技とギャグぎりぎりの真剣勝負を大いに楽しみました。
なるほど、そういうスタンスで鑑賞すればよかったんですね!
原作はなんだかんだでギャグじゃすまされないパワーを持っていますからね。
私は福本先生は漫画ではなくて、ある種の哲学書を書いているんじゃないかと考えています。
投稿: ゴーダイ | 2010年11月 2日 (火) 19時13分
ゴーダイ様
原作読んでるとどうしても比べちゃうし、あんまりいいことないですよね。
そこそこ楽しめた映画けど、原作の圧倒的おもしろさには到底かなわないもの。
これは福本先生の呪いなのか(笑)
原作のグロテスクなところもきっちり映像化してくれたら
もっと好きな映画になったと思いますが、まあぼちぼち頑張ってたほうかなーと思います。
そうそう、なにかとネタにされがちな原作だけど、読んでるときはけっこう真剣に読まされますからねー
福本先生のマンガは基本ギャンブルの話なのに、深いセリフがいっぱい出てきて哲学的ですね。
投稿: kenko | 2010年11月 2日 (火) 23時11分