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私の中のあなた

My_sisters_keeper

泣けると評判の映画ですが、実はあまり涙は出なかった。
だからといってイマイチだったとかじゃなく、重いテーマなのにナチュラルで温かくてユーモアもあって、すごくステキな映画だったと思います。
特にケイトとテイラー(サラコナークロニクルズのトーマス・デッカー)のやり取りが好き。
病気のことをジョークにしたり、「抗がん剤の味がする」なんてロマンティックだなぁ・・・なんて思うのは間違ってるかもしれないけど、やっぱりロマンティックだったな。
あまり泣けなかったのは、登場人物それぞれの複雑な立場を考えれば考えるほど、迂闊に感情移入できなかった・・・のかなぁ。私よ。

※下でわりと詳しく内容を書いちゃったので、<あらすじ>は省略。ネタバレ含みます※

私の中のあなた 公式サイト

物語は、白血病の姉ケイトのドナーとして生まれてきたアナ(アビゲイル・ブレスリン)のモノローグで始まります。
アナはケイトを生かすために、遺伝子操作でつくられた子供。
ケイトが病気でなければ、アナはこの世に存在しなかった。
臍帯血にはじまり、血液、骨髄など、ケイトに提供し続けてきたアナ。
母サラは弁護士の仕事をやめ、ケイトを一日でも長く生かすことに人生を捧げている。
父ブライアンも兄ジェシーも、ケイトを愛している。もちろんアナも。
だからみんなの気持ちはひとつ。
ケイトの命を守るという、ゆるぎない絆で結ばれているはずだった。

ある日アナは、テレビCMで有名な弁護士事務所を訪れる。
アナは弁護士(アレック・ボールドウィン)に言う。
「姉の容態が悪化し自分の腎臓を移植することになっているが、これ以上姉の犠牲になるのは嫌だ。両親を訴えたい」と。
弁護士は絶句する。そりゃそうだ。
子供が親を訴えるなんて前代未聞だけど、アナが生まれた経緯、そしてこれまでアナが受けてきた行為はもっと驚きだ。
はっきり言ってこの時点では、アナの訴えはもっともだと思えてしまう。
成長したアナが、両親の自分に対する扱いに疑問を抱くのは当然。
そもそも病気の子供のためにもう一人子供を作るってどうよ?

しかし・・・アナが移植を拒否するということは、これまでなんとかもってきたケイトの命が消えてしまうかもしれない、ということ。
アナは本当にそれでいいのか。
自分のせいで姉は死んだ、と後で後悔するのではないか。

ケイトのことしか眼中にない母サラ(キャメロン・ディアス)。
アナを傷つけてきたことを反省してくれるかと思いきや、そういう展開にはなりません。
サラはアナと法廷で対決します。
アナが折れてくれなければ、ケイトは死んでしまうから。
アナを目の前にして「病気の子が最優先だ」と断言するほど、母の意志はゆるぎないもの。
ここでもやはり、この母どうなの?と思ってしまった。

けれどアナが両親を訴えることを宣言したあとも、家族はこれまでどおり仲良しで、アナが両親や姉を憎んでいるようには見えない。
なのでアナの行動に何かしら理由があることは予想がつきます。
真実が分かったとき・・・驚きというよりもすべてがしっくりきたというか、病に冒された身でありながら誰よりも家族ひとりひとりを理解し、見守ってきたケイトの思いに目頭が熱くなりました。

最初はなかなか母の気持ちが理解できませんでしたが、家族それぞれに順番にスポットが当たっていくにつれ、フィッツジェラルド家のような家族のあり方はとても難しく、何が正解で何が間違ってるとかそういう単純なことではないのかも・・・と考え込んでしまった。
例えばサラの立場になったとき、我が子を救うたった一つの方法がもうひとり子供を作ることだと医者に提案されたら、そりゃその方法を選択してしまうだろうと思うし。
両親の関心はどうしてもケイトに集中してしまい、子供達が精神的に大人にならざるを得ない状況であることは哀しいけど、ケイトを守りたい気持ちはみんな同じ・・・というのは、やはり家族だから。
お互いを思いやる心が、多くを語らずとも伝わってくる作品でした。

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コメント

人身事故でもめてるトーマス・デッカーさんが無事に復帰されることを祈ってます...いい役者さんなので...(^o^)

投稿: ターミネーター サラ コナー クロニクルズ | 2009年11月20日 (金) 19時31分

おばんです。テイラーはつるぴかだったけどかっこいい男でしたね
「つるぴかだけどかっこいい」というと、『荒野の七人』などのユル・ブリナーを思い出します

やはりお話の主軸となっているのは、「どうにも止まれない」お母さんをどうやって止めるか・・・ということだったのかな
アナのことを考えればひどい母親のようにも思えますが、母親ならば「どんな手を使っても」と思うのは当然だし・・・ うーん、本当にいくら考えても「正解」など出てこない問題ですよね・・・

アナちゃんもあの歳でこんなに辛い決断を迫られるなんて・・・ 残酷としかいいようがない
ただ冒頭で「わたしは代用品」みたいなことを言っていたのに、最後の方で「わたしには素晴らしい姉がいた」と力強くつぶやいていましたよね
そうした健やかさというか力強さに、おじさんは強く心打たれたのでした

投稿: SGA屋伍一 | 2009年11月20日 (金) 22時03分

こちらにもお邪魔します♪

私は最初っから最後まで号泣しながら観ました。もう、、、恥ずかしいくらいに泣いた。
この映画で母親の行動に引っ掛かってしまう方もおいでのようだけど、、、個人的には、みんなの気持ちが痛いほど伝わってきて、、、みんなの愛に泣かされたのでした。

ケイトに恋人がいて良かったなぁ~あの子、カッコ良かったよねぇ・・・

投稿: 由香 | 2009年11月21日 (土) 16時32分

ターミネーターサラコナークロニクルズ様

えー!トーマス・デッカーって人身事故で揉めてるんですか!?
それはなんとか復帰してほしいですね。
まだまだこれからの俳優さんだと思うし。

投稿: kenko | 2009年11月22日 (日) 00時33分

SGA屋伍一様

テイラーかっこよかったですねぇー
実は鑑賞中は「この俳優さん観たことあるけど誰だっけ?」と思いながら観てて
トーマスデッカーだとは全く気付かなかったのでした。
だってつるぴかだったから・・・
ユル・ブリンナー大好き!!高校生の頃、超ハマってましたheart
つるぴかでカッコイイ人と言えば、パトリック・スチュワートもですよ♪って私だけ?sweat02

母親にちょっと反感を抱いてしまったのは、きっと私が未熟だからだと思います。
アナが可哀想だとも思ったけど、アナにしてみればそんな風に思われるのは心外かもしれないし。。。
考えれば考えるほど答えが出ない・・・当事者にしか分からないことなのかも。

姉のドナーになるために生まれて、実際ドナーとして何度も痛い思いをし続けてきて、さらに辛い決断を迫られて・・・
残酷としか言いようがないけど、
ケイトのような素晴らしい姉がいたことは、アナにとって幸せなことだったのでしょうね。

投稿: kenko | 2009年11月22日 (日) 01時25分

由香様

こちらにもありがとうございます!

基本的に泣き虫な私ですが、人生経験未熟すぎでもある私には
この映画のテーマは難易度が高過ぎたのかもです。。。

しかしこれだけ難しい問題なのに、重苦しいだけの映画にせず
優しさやユーモアに満ち溢れているところがいいなぁと思いました。
ほんと、ケイトに恋人がいて良かった。
羨ましいくらいにステキな恋人でした。

投稿: kenko | 2009年11月22日 (日) 01時45分

こんにちは!
kenkoさん、やさしー。
母親の気持ちを理解しようとしてあげてるなんてー。
私はまったくダメでした、この母親。
ましてや裁判で自ら弁護って。。。ありえない。
だけどなんだかやわらかな気持ちで帰ることができた映画だったな。

投稿: AnneMarie | 2009年12月 1日 (火) 10時52分

AnneMarie様

こんばんはhappy01コメントありがとうございます〜

いやー、やっぱりまだ母でない私にはどうしても共感しづらい部分があって、
一生懸命母親の気持ちを理解しようと考えたんですけど・・・
ちょっとこれは答えが出ません。
難しい問題ですよねぇ。
しかしこれだけ重いテーマなのに、なぜかやさしい気持ちになれる素敵な映画でしたよね。

投稿: kenko | 2009年12月 1日 (火) 19時26分

NHKスペシャルで、まさしくアナのような子供が出てきました。
体外受精で難病の子と同じ遺伝子を持つ受精卵を選び抜いて
母体に戻し、生まれてからドナーとして兄弟に骨髄などを
提供する。「救世主兄弟」と呼ばれアメリカだけで何百人も
誕生しているなんて知らなかった・・・。アナとケイトは固い絆と
愛で結ばれていたけれど、もっとドロドロした現実もあるんでしょうね。家父長制の強い国なら大切な跡取りのご長男様を生かすために
次男以下は全員ドナーとか。カズオ・イシグロの「私を離さないで」
を思い出しました。

投稿: 奈良の亀母 | 2010年3月28日 (日) 22時22分

奈良の亀母様

ええー!救世主兄弟(ってちょっとすごい名前)・・・
何百人もいるんですか!?
それは知らなかったです。ビックリ。。。
小説や映画の中だけの話ではないんですね。
画期的な方法だとは思うし、アナとケイトの物語は心に響いたけど
やっぱりにわかには受け入れ難いものがあるなぁ・・・
とか言ってるレベルではないですね、それはcoldsweats01
NHKスペシャル、再放送あるだろうからチェックしてみます。
カズオ・イシグロさんのその小説は未読ですが
読んでみたいです〜

投稿: kenko | 2010年3月29日 (月) 10時58分

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