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阿佐ヶ谷スパイダース「アンチクロックワイズ・ワンダーランド」

Anticlockwisewonderland_2

長塚圭史、ロンドン留学を経て再始動!
阿佐ヶ谷スパイダースの新作『アンチクロックワイズ・ワンダーランド』
広島公演に行ってきました!

阿佐ヶ谷スパイダースとしては前作『失われた時間を求めて』以来2年ぶりの本公演、広島公演は『イヌの日』以来3年ぶりだそうです。
阿佐スパは以前定期的に広島公演があった頃、何度か観に行かせていただいてました。
(『十字架』『ポルノ』『はたらくおとこ』など)
小劇場系で地方公演してくれるのって貴重ですからね・・・
最近来てくれないなーと思ったら、ロンドンへ留学されてましたか。知らなかったcoldsweats01
帰国後すぐに常磐貴子さんと結婚されたのね。遅ればせながらおめでとうございます♪

1年半の充電期間は、長塚圭史をどのように進化させたのか。

作・演出 長塚圭史
キャスト 池田鉄洋 内田亜希子 加納幸和 小島聖 伊達暁 中山佑一朗 馬淵英俚可
     光石研  村岡希美  山内圭哉

長塚さんは役者として出演してません。今回に限っては「外側から見つめたかった」のだそう。
上のキャストは五十音順ですが、主人公は小説家を演じる光石研さんです。

<あらすじ>
作家である葛河梨池(光石研)はある朝、新聞で自分の新作『小夜更方棘奇譚(サヨフケガタオドロキタン)』が酷評されているのを目にする。
人形作りを趣味にしている妻・悦世(村岡希美)、家政婦の希緒(内田亜希子)が葛河を慰めるが、葛河の気持ちはおさまらず、家を飛び出す。
出版社の担当である野口(池田鉄洋)と行ったバーで、葛河は満智子(小島聖)という美しい女と出会う。満智子は葛河のファンらしい・・・
やがて気がつくと、葛河は警察の取り調べ室にいた。
二人の刑事・阿部と若山(中山佑一朗、山内圭哉)は、酒に酔った葛河が満智子を階段から突き落として殺したと言うが・・・

物語のさわりの部分をなるべく順序立てて書いてみたつもりですが・・・実際はどこまでか現実でどこまでが幻想なのか分からない、<さかい目>の曖昧さはデヴィット・リンチ以上!?
てゆーか、どっちが現実でどっちが幻想!?・・・そんなお芝居でした。
作家は本当に女を殺したのか。逃げまどう作家が出会う人々は、彼の小説の中の登場人物?
現実と虚構が複雑に絡み合い、時間も空間も超えてぐるぐる回る悪夢。
舞台セットも演出も照明も効果音も、すべてが洗練されていて芸術的。
確かに過去に観た阿佐ヶ谷スパイダースとは、ひと味もふた味も違ってました。

舞台の真ん中にぽっかりと空いた闇の入り口から、主人公である作家がゆっくりと歩いてくるところから、物語は始まります。
新聞の書評を読んで腹を立てた作家は新聞をぐしゃぐしゃに丸めて捨てるが、彼の手にはいつのまにか捨てたはずの新聞がある。何度捨てても、ある。
セリフ全くなしのミステリアスな導入部分で、一気に引き込まれます。
やがて闇の中に浮き上がるようにテーブルと椅子が現れ、作家はそこで何かを書き始める。
同じテーブルで妻は胎児の人形を作っているが、作家のいる空間と妻のいる空間はどうやら別物?
同時に存在するはずのない人物がひとつの空間を共有していて、基本的にはお互いに<そこにはいないもの>として振る舞うのですが、完全に無視ってわけでもなく時折なんとなく認識しあっているかのような素振りにドキッとさせられます。
妻は人形作りの教室?で胎児の人形を作っていたはずなのに、そこへやってきた葛河家の家政婦であるらしい若い女に胎児を渡して「もうすぐお夕飯だから、これオーブンに入れておいてね」なんて言うし、初っ端から混乱!bearing
説明的じゃないので、ぼーっとしてるとどんどん置いていかれます。

もともと長塚さんが見た夢を元ネタにしているらしく、主人公が作家だったり、彼が得意とする作風がホラーだったり、新作を酷評されて・・・とか(前作『失われた〜』はあんまり評判よくなかったとか。観てないのでなんとも言えませんが)、長塚圭史という劇作家の現在とパーソナルな部分を色濃く反映しつつ、かなり実験的な作品・・・という印象。
これは人によって評価が分かれそう。
個人的には・・・観た直後はぶっちゃけ?がいっぱいだったけど、後からけっこういろいろ考えちゃいました。

「俺たちには権利がある!」そう訴える謎の男および女は、『サヨフケガタオドロキタン』の登場人物なのか。
彼らの禅問答は、確かに新聞の書評の通りひとりよがりに感じられ、意味をなしているのかいないのか分からない。
バーで出会う女は、作家の過去の作品、もしくはこれから書く作品の登場人物?
刑事は真実に気付きはじめている。
客席から登場する刑事は叫ぶ、「誰かに見られている気がするんだ」
それってもしかして私たちのことですか。観客までも巻き込まれる。
しかし調書の内容はどんどん薄れていってしまう。

舞台の上では現実と虚構が交錯していて、最終的には現実であるはずの客席と虚構であるはずの舞台の境界線までもが曖昧になっていく・・・なるほど、そういう仕掛けですか。
めくるめく半時計回りのおとぎの国。
もしかしたら夢こそが現実で、現実は夢なのかもしれない。
誰もが一度は考えたことがあるかもしれない曖昧模糊としてとらえどころのない疑問を、こんな風な舞台劇でカタチにしようと試みる、長塚圭史はやっぱり天才かもしれない、と思いましたです。

とにかく抽象的かつ意味不明な長台詞が多いお芝居で、役者さんはさぞかしタイヘンだったろうなと思います。
<サヨフケガタオドロキタン>だけでも舌噛みそうsweat02
阿佐ヶ谷スパイダースではお馴染みの小島聖さんは大好きな女優さん。
相変わらずセクシーで素敵でした。
小島さんが発する生命力の強さ(そう感じるんです)みたいなものとは裏腹に、なぜかいつも幽霊っぽい怖さというか凄みがあって、ちょっと異様なくらいの存在感。

カーテンコールは2回あって、2回目には長塚さんも出てきてくださいました。
次回作では長塚さんにも出演してほしい!さらなる問題作を期待してます。

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