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ハート・ロッカー

Hurtlocker

今年のアカデミーを征したキャサリン・ビグロー監督作品。
イラクにおける米軍爆発物処理班にスポットを当て、彼らの日常とギリギリの精神状態をつかず離れずのドキュメンタリー的作風で追う異色の戦争アクション。

<あらすじ>

2004年、イラク・バクダッド郊外。
米陸軍ブラボー中隊の爆発物処理班は、ウィリアム・ジェームズ二等軍曹(ジェレミー・レナー)を新たなリーダーとして迎える。
ジェームズは爆弾処理を淡々とこなしてしまう優秀な男だったが、補佐役であるサンボーン(アンソニー・マッキー)とエルドリッジ(ブライアン・ジェラティ)からすればジェームズのやり方は常軌を逸していた。

ハート・ロッカー 公式サイト

タイトルは「アメリカ軍の隠語で<苦痛の極限地帯><棺桶>を意味する」らしいです。wikiより。

デヴィット・モースやレイフ・ファインズなど、主役級の俳優たちがあっさり退場してしまうのがおもしろい。
冒頭のシーンの緊張感といったらハンパなく、ガイ・ピアースは死なないだろう、というつまらない予測はすぐに裏切られます。
メインキャストは、ジェームズ軍曹役のジェレミー・レナーをはじめあまり有名ではない役者ばかり。

ウィリアム・ジェームズ二等軍曹は、爆弾処理のスリルに取り憑かれてしまった狂気の男。
自分が処理した爆弾の部品を記念品のように収集し、結婚指輪や我が子の写真と同じ箱に入れておくような人物です。
完全にあっち側へいっちゃってるわけだけど、イラクで仲良くなった少年の変わり果てた姿に涙を流したりもする。

それは彼にしかできない仕事だけど、応援する気持ちにはなれないし、かといって間違っているとも言えない。
戦争反対でも賛成でもない、ニュートラルな印象のフシギな映画だなぁ・・・なんて思うのは、日本人的なズレた感覚なのでしょうか。
ラストシーンで再び戦地に赴く男がガイ・ピアースだったら、もっとヒーロー扱いしてしまいそうな気がします。

忘れたころに挿入されるスローモーションの映像がハッとするほど美しい。
宇宙服のような防護服や遠隔ロボットなど(ジェームズ登場以降はほとんど出てこなかったけど)、爆弾処理ってこうするんだ・・・というシンプルなおもしろさもありますね。
爆弾の仕様もさまざま。それらを作った人間の残虐さにゾッとします。
何かとテンパリぎみなアメリカ兵と、無表情で何を考えているか分からない(という風に描かれている)冷静なイラク人との対比も興味深い。
爆弾に対してアメリカがどういう対応をするか、実験しているみたいで不気味。

2時間20分の上映時間はちょっと長いし、好きな映画という感じではないけど観てよかった、観ごたえのある作品でした。

いつもは行かない現場に行ってとんでもないことになってしまうケンブリッジ大佐が、どっかで見た顔と思ったら『デクスター』のお兄ちゃん、クリスチャン・カマルゴ!
ちょっと嬉しかったです。

Christian_camargo lovely

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映画」カテゴリの記事

コメント

こんばんは!
ガイ・ピアースがすぐいなくなってびっくり。
そのせいもあってずうーと緊張感でいっぱいでした。
スローモーションの映像は美しかったですね。
爆弾処理という特殊なお仕事にはまってしまった男の物語でした。
戦争は麻薬ですな。。

投稿: アイマック | 2010年3月28日 (日) 22時23分

こちらにも~

体調悪い日に観に行ったのに
まったく眠気も感じずに観れました~
よかったです。オスカー納得でした。

>戦争反対でも賛成でもない、ニュートラルな印象のフシギな映画だなぁ・・・
そうですね,わたしもそれは感じたな。
どちらかというと反戦寄りかな,とは思いましたが。
この作品を戦争肯定とかアメリカの自己満足映画とか捉えるのは
間違ってるな~と思いました。
ヤフーのレビューにそんなのけっこうありましたが。

クリスチャン・カマルゴ,
ビグロー監督の「K-19」にも出てますが
数年前なのに別人のように若いです。
「K-19」でも放射能を浴びて死んでしまう
悲劇の技術者の役だったなぁ。

投稿: なな | 2010年3月28日 (日) 23時31分

アイマック様

ほんとガイピアースびっくり!
誰が出演してるか全然知らなくて、「ガイピアース主演?」とか思った矢先でした。
おかげで緊張感が絶えることはありませんでしたねー
飽きることはなかったけどちょっと疲れた。。。
ドキュメンタリー風なんだけど、スローモーションの映画的なシーンが
入るたび「あ、これは映画なんだ」と認識させられました。
戦争って麻薬なんですね。。。

投稿: kenko | 2010年3月29日 (月) 11時04分

なな様

こちらにもありがとうございます!

体調悪い日にご覧になったの?
私は「ハートロッカー」の直前に「シャーロックホームズ」を観てて
そのときは眠気に襲われてしまったのですが
こちらを観ているあいだはギンギンでした!
ものすごい緊張感!

うーん。これは観る人によって受け止め方が違うのかもしれませんね。
ちょっと難しい問題で・・・あまり深くは語れませんがsweat02
アメリカの戦争映画としてはあんまりないタイプですよね。
ヤフーのレビューでは戦争肯定という意見が多いんですか。
ラストシーンの彼はかっこよかったけど・・・家族との平和な暮らしにもはや満足できず
爆弾と孤独に向き合うしかないのはなんだか哀れだし、
戦争ってやっぱり虚しくて残酷で滑稽なものだなとは感じました。

おー!クリスチャン・カマルゴは過去のビグロー監督映画にも出演していたんですね〜
やっぱり死んじゃう役?(笑)
ちょっと幸薄い雰囲気ありますよね。

投稿: kenko | 2010年3月29日 (月) 11時28分

こちらにもお邪魔します♪

この映画は感想を書くのに苦労したわ~
いっそパスしようかと思いましたよ(笑)

何をどう感じたのか自分でもよく分からなかったけど、とても見応えのある映画だったし、今まで観た戦争映画と何か違ったなぁ~
劇場で観て良かったですconfident

投稿: 由香 | 2010年3月30日 (火) 14時12分

由香様

こちらにもありがとう☆

由香さんでも書くのに苦労しましたか?
と言いつつ、いまちらっとそちらへお邪魔したらしっかり書かれてるしcatface

私も今まで観た戦争映画とは違うなーと思いました。
後からいろいろ思うことはあれど、言葉にするのが難しい作品ですね。
爆発シーンなんて映画館の大きなスクリーンで観てこその迫力だし、
上映館はあまり多くないみたいだけど
映画館で観ることができてよかったです。

投稿: kenko | 2010年3月30日 (火) 22時03分

というわけでこちらにも。TB付きで

実はわたし・・・ いまだにガイ・ピアースやレイフ・ファインズがどこに出ていたのかわかりません! 教えてください!

戦争反対でも賛成でもない、微妙なスタンス、というのはよくわかります。そういう国家レベルの話というよりかは、個人としてどう生きるか?というレベルのお話だと思いました

この映画をめぐっては名物評論家の町山知之さんと、最近映画評でも注目を集めてるミュージシャンの宇多丸さんがラジオで激論していたそうで、それによるとエンディングでかかる曲の歌詞に、作者の本当の気持ちがちょこっとしのばせてあるのだとか。まあわたしもまだ聞いてないんですけど(^^; 興味おありでしたら「シネマハスラー ハートロッカー」でぐぐってみてください

投稿: SGA屋伍一 | 2010年4月 7日 (水) 20時21分

SGA屋伍一様

こちらにもありがとうございますhappy01

えぇー ガイ・ピアースとレイフ・ファインズ分かんなかったですか?
ガイ・ピアースはジェームズの前任者で冒頭イキナリ爆死、
レイフ・ファインズは砂漠の銃撃戦のシーンに出てきましたよん。(やっぱりすぐに死)
レイフ・ファインズは確かに分かりにくかったかも?

>国家レベルの話というよりかは、個人としてどう生きるか?というレベルのお話

確かにそんな感じでしたね〜
これまでの戦争映画にはないスタンスが感じられて新鮮でした。

町山さんと宇多丸さんがこの映画についていろいろ言ってるらしいのは
あちこちでちょろっと聞きました。
エンディングの歌詞もどこかで読んだな・・・
ラジオそのものは聞いてませんが、おもしろそうなのでぐぐってみますね。

投稿: kenko | 2010年4月 8日 (木) 15時03分

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