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フェーズ6

Carriers

これまでにも何度か<全世界感染>したことはありますが、今回のウイルスは、ゾンビ化した人間が人肉を貪り喰ったりはしません。
感染した者はただ苦しみ、弱り、歩くことさえままならなくなる。
マスクを血だらけにし、醜い姿に変貌し、孤独に死を待つだけ・・・という設定が、映画的に新鮮かつゾンビ化するよりも悲惨。

<あらすじ>

兄弟であるブライアン(クリス・パイン)とダニー(ルー・テイラー・プッチ)、ブライアンの恋人ボビー(パイパー・ペラーポ)、ダニーの女友達のケイト(エミリー・ヴァンキャンプ)は、ベンツに乗り荒野を走っている。
目的地は、兄弟が子供の頃に過ごしたことのあるメキシコ湾のビーチ。
全世界に広がったウイルスの脅威から逃れるため、そこへ向かっていた。
彼らが走る道の途中に一台の車が停まっている。警戒する4人。
車の持ち主である男(クリストファー・メローニ)がガソリンを分けてくれと言う。
車中にいる少女が感染しているのを確認した4人は、男の要求を拒否し置き去りにするが・・・

フェーズ6 公式サイト

監督脚本はスペイン出身のアレックス&ダビ・パストール兄弟で、これが長編映画およびハリウッドデビュー作なんだそうです。
兄弟監督だからこそ、兄弟のこんな救いのない顛末を描くのか・・・
『28日後…』的なノリのパンデミックホラー?とはちょっと違う、異色の人間ドラマ。
これまでにはない感じでおもしろかったけど、感染者に襲われるスリルや血みどろな演出を期待するとガッカリするかも。

恐ろしいウイルスが蔓延してしまった経緯が描かれることはなくて、既に世界が死にかけているところから物語は始まります。
平和な時代のルールは守る必要がなくなっており、盗んだベンツでメキシコ湾のビーチへ向かう4人の若者。
そのビーチは兄弟であるブライアンとダニーが子供のころ過ごした思い出の場所で、4人はそこでウイルスが死滅するのを静かに待つつもりだった。
唯一のルールは、感染者と接触しないこと、感染者が触った場所は徹底的に消毒すること。
それだけ。

以下ネタバレ!

そんなに強力なウイルスならその程度じゃ防げないんじゃないの?と最初は思うんだけど、どれだけ厳密にやっても感染するときはしてしまうようで(詳しい説明がないので想像ですが)、おそらくあらゆる方法は既に試された。
そして今、人間は死滅しかけている。
血清が作られているという噂の場所に行ってもほとんど人はいないし、ラジオから聞こえてくるのはどこかの町の最後の生存者のメッセージ。
ブライアンが定めたシンプルなルールは「それを守れば感染しないかもしれない」という程度のものでしかないのだけど、僅かな希望に向かって生きるためにはそれに依存するしかない。

本当はみんな心のどこかで「いずれ感染して死ぬ」と悟っているのに、ドボドボと消毒液をぶっかけながら、けして取り戻せない、いちばん幸せだった時代の思い出に向かってひた走るという虚しい逃避行。
道すがら出会う生存者と助け合う?自分を犠牲にして愛する者を守る?
恋人だろうが感染すれば置き去りにする。まだ生きていた両親ですら見捨てたのだから。

危機的状況に陥ったとき人はどうするか、というのがこの手の映画のテーマだったりするけれど、この映画の登場人物たちの行動は、ある意味とってもリアル。
ブライアンとおばちゃんが撃ち合うシーンとか、ちょっとスゴイです。
自分だったらどうするか・・・考えちゃいますね。

兄弟を演じるのは『スタートレック』のクリス・パインと『サムサッカー』(未見)のルー・テイラー・プッチ。
若手俳優さんが頑張っている映画です。

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