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カラフル

Colorful

気がつけば、ブログ更新を1週間おさぼり。

『河童のクゥと夏休み』の原恵一監督作品。
評判いいので気になりつつ、なんとなくスルーしかけていたところを急遽、観に行ってみました。

<あらすじ>

大きな過ちをおかして死に、輪廻のサイクルから外された<ぼく>は、天使のプラプラに「抽選に当たりました!」と言われ、人生に再チャレンジすることになった。
<ぼく>の魂は小林真という自殺したばかりの中学生の身体に入り込んだ。
プラプラが言うには、小林真として生活しながら、前世の<ぼく>の記憶および<ぼく>がおかした過ちについて思い出すことができれば、再び輪廻のサイクルに戻れるらしい。

カラフル 公式サイト

死んでしまった主人公が、もう一度人生にトライするアニメ作品といえば・・・
作風はまっっったく違いますけども、まず思い浮かぶ『マインドゲーム』
そういえばどっちも神様的な存在が関西弁だし。
こっちはカワイイまいけるくんで、あちらはアホの坂田師匠(とか、ぐっさんとか)ですけども。
原作をチラ読みしてみたら、原作のプラプラ君は別に関西弁ではなく、映画オリジナルの演出なんですね。
好みで言えば『マインドゲーム』のほうが好きなタイプではあるものの、『河童のクゥ』同様、良質のアニメ映画だったと思います。

輪廻のサイクルから脱落してしまった魂が辿り着くらしき場所の、えもいわれぬ不気味さとか最高なんだけど、映画全体からするとここだけが特に非現実寄りの絵で、あとはまるで実写映画のような、とことんリアルな描写と演出とで彩られている本作。

アニメであるからにはアニメならではの自由な表現を楽しみたい・・・というガンコな希望があるにはありますが、ここまで徹底したリアル追求を見せつけられては脱帽せざるをえませんです。
食べ物とか風景とか、実写とみまごうほど、ではありつつも、あくまでもアニメーションであるからこそ、そのあまりのリアルさに感心し、制作スタッフの並々ならぬ本気を感じもする。
ごく自然な日常会話の中に、「あれ?今すごく大事なこと言わなかった?」と問い返したくなるような言葉が潜んでいたりして・・・なんだか恐いくらいです。

なんといっても、<ぼく>が他者と心を通わせていく過程を食べ物で表現しているところに、いちいち涙腺を刺激されました。
早乙女くんとの肉まん。お父さんとのラーメン。そして家族で囲むお鍋。
家族や友達、誰かといっしょに食べるということが、こんなにも感動的だなんて。
そういえば『サマーウォーズ』の栄おばあちゃんも言っていました、「いちばんいけないのは、ひとりでいることと、お腹がすいていること」
人間食べなきゃ生きていけないし、もちろんひとりぼっちでは生きられない。

それから、タイトルの『カラフル』
映画そのものの色はけしてカラフルではないのだけど、どうやらそれは人の心を表しています。
<ぼく>は、ぼくにとっての他者の醜い色を許すことができなかったけれど、もういちど生きる過程で、どんな色もその人それぞれの色であることを知る。
他者を受け入れることができれば、いちどは捨てた自分自身だって受け入れられる。
だって家族や友達は、あるがままの自分を必要としてくれているのだから。
当たり前のことのようで、<ぼく>のように、にっちもさっちもいかなくなってしまっている状態のときにはなかなか気付けないこと。
思春期には特に陥りやすい問題でしょうが・・・この物語がヒントになれば、と思います。

声優さんは・・・ぶっちゃけ違和感ありまくりでしたけども、アッキーナと宮崎あおいはよかった。
とくにあおいちゃん。エンドクレジットを見るまで、まったく彼女だと気付きませんでした。

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コメント

>アニメであるからにはアニメならではの自由な表現を楽しみたい・・・
同感です。そういう意味で日本のアニメって独特ですよね。
最近アニメの他、漫画でも実写の人物をトレースして、顔だけ変えちゃうような事がありますが、もっと手書きの絵でしかないディフォルメがあると思っています。
ただそれが生きるギャグ漫画が減っているような気もしますけど・・・

この映画のCMはちょっと雰囲気が暗くて「自分には合わないかな」と観に行かなかったんですけど(重いテーマが苦手なので・・・coldsweats01)、あらすじを拝見する限り漫画などで結構よくある設定の話みたいですね。

人殺しの葛藤(?)なんて、普通子供向けとされるアニメで取り上げませんもんね・・・

投稿: ゴーダイ | 2010年9月23日 (木) 21時04分

ゴーダイ様

『カラフル』いい映画でしたけど、やっぱり自由な表現が楽しすぎる
『マインドゲーム』のような作品の方が好きです。
実写の人物をトレースして顔だけ変えちゃうんですか。
それは見た目はきれいかもしれないけど、絵を楽しみたい者としてはつまらないですね。
デフォルメした絵が生きてるギャグマンガといえば・・・
なぜか今、まっさきに漫★画太郎先生の作品が思い浮かびました。
あんまりちゃんと読んだことはないんだけどsweat02

同じく、内容が重そうだったのでスルーの予定だったのですが
評判いいのでだんだん気になってきちゃって。
そう、ある意味、人殺しの葛藤の話でしたが、最後は晴れやかでしたです。

投稿: kenko | 2010年9月24日 (金) 23時27分

こんにちは~。
サマーウォーズを観た時のレビュータイトルが
【まず「落ち着いて」次に「腹を満たす」】だった、ほし★ママです。
最近、癒し系なのかおいしそうな食べ物が並ぶ作品が増えていますが
「食べる」ことによって「何か」が変わる…って
実はすごく大切なことだと思うんです。
そう言う意味で、この作品大好きですsign03

邦画のアニメにも素晴らし作品がたくさんあるんですね。
まだ、目覚めたばかりなのでまた色々教えてねconfident
トラバ、送らせて下さいね。

投稿: ほし★ママ | 2010年9月25日 (土) 18時37分

>漫★画太郎先生
あの人って一体なんの画材であのタッチを描いているか未だにわかりませんw。女の子はダメな人多そうですよね。

私はつの丸先生と小林よしのり先生の絵は最高だと思います。漫画の絵として上手い!

投稿: ゴーダイ | 2010年9月25日 (土) 18時39分

こちらにもー
もしかしたらわたしが激賞しまくったから、ちょっと期待がうわすべりしちゃったでしょうか。だとしたらすいません
あれだけほめといてなんですけど、この映画確かに万人うけするものではないかも。心に中二スピリットを宿してる人ほど、シンクロして感動できる映画だと思います

食い物描写は秀逸でしたよね。今までアニメにおける食い物描写といえば、ジブリがダントツでしたが、それに勝るとも劣らない
ただおいしそうなだけではなく、主人公がお母さんにまだ心を許していない時は、彼女の作るハンバーグが微妙に毒々しく見えてたりするんですよね。その辺も感心しました

投稿: SGA | 2010年9月25日 (土) 21時34分

ほし★ママ様

こんばんはhappy01
今日は午前十時で『男と女』を観てきました!

>【まず「落ち着いて」次に「腹を満たす」】だった

おおー。『サマーウォーズ』も食べることが、なにげに重要なアニメでしたね。
なにごともお腹がすいてちゃ始まらないし。
栄おばあちゃんのお言葉が沁みました。
映画の中における「食」って、意識して観るとけっこう面白いですね。

日本のアニメ、お教えできるほど私も大して知らないのですがsweat02
上に書いてる『マインドゲーム』は大好きな作品です。
でもかなり特殊な作風だから、迂闊にオススメできないなぁ。。。

TBとコメントありがとうございますshine
あとでそちらにもお邪魔します!

投稿: kenko | 2010年9月26日 (日) 21時38分

ゴーダイ様

漫★画太郎先生の絵、ものすごいですもんね・・・
ゴーダイさんにも画材不明ですか。
私はきらいじゃないけど、やっぱりファンは圧倒的に男子かなぁ。
小林よしのり先生の絵はあんまり・・・ですが
つの丸先生の絵は好きです。
あと、しりあがり寿先生の絵も好き。マンガも好きshine
ギャグマンガとは違うかもですが、『へうげもの』山田芳裕先生のデフォルメの仕方が
おもしろいなーと思います。

投稿: kenko | 2010年9月26日 (日) 21時50分

SGA屋伍一様

こちらにもどうもです!
昨晩おじゃました際、カラフル記事にもコメントするつもりだったんだけど
途中で力尽きてしまいましてsweat02

うーん、確かにSGAさんの激賞コメントで期待値あがってたかもですが
『クゥ』もそうだったんだけど、いい映画だなーとは思いつつも大好き!という
感じにはならなかったんですよね。
だからたぶん、私の好みの問題です。
中二魂、そこそこあるつもりだったけど、実はあんまりないのかも。

食い物描写はすばらしかったです。
と言いつつ、お母さんに心を許してないときのハンバーグの毒々しさとか
ぜんぜん気付かなかったけどsweat02
いちばんほっこりしたのは、早乙女くんと半分こして食べてた肉まんかなぁ。

投稿: kenko | 2010年9月26日 (日) 22時20分

『へうげもの』ってBS漫画夜話で取り上げられていましたよね。確か戦国時代の茶器のはなしでしたっけ?
番組でも誇張表現が取り上げられていたように思います。

記事のラインナップを拝見したのですがkenkoさんはかなりディープな漫画読みですよね。どうやって作品を探しているのか気になります!

しりあがり先生は、なぜか「チャレンジ」(でしたっけ?)の巻末で強烈なギャグ漫画を連載していたり、そうかと思えば、すっごい哲学的な作品を書いたり、まさにアーティストに近い作家さんだと思います。
またインタビューなどで、漫画ではバカをやりながら(すいません)すっごい知性のある方だと思いました。

一昔前の漫画家さんって個性や画風が爆発している方も多かったですけど、今の漫画業界って絵が個性的なだけで切り捨てられちゃう感じはしますよね。

投稿: ゴーダイ | 2010年9月27日 (月) 00時51分

ゴーダイ様

そうそう、『へうげもの』マンガ夜話で取り上げられていました。
マンガ夜話は大好きな番組です。アニメ夜話も。最近あんまりやらないけど。

ディープなマンガ読みと言ってもらっていいのかどうか、
たくさんは読みませんが、好みが偏っている自覚はありますsweat02
大抵ジャケ買いで、あとは人から薦められたのを読んでみたり。

チャレンジ・・・という雑誌を知らないのですが、しりあがり先生はいろんなところで描かれてますね。
しりあがり先生の哲学よりの作品に惹かれます。『弥次喜多inDEEP』が特に好き。

やっぱり万人ウケする絵の方がいいんでしょうかねー
みんな似たような今風の、上手いだけの絵じゃつまらないと思うけどなぁ。

投稿: kenko | 2010年9月27日 (月) 20時46分

チャレンジってベネッセのあれです・・・定期購読型の問題集です。
中学生のころとっていて(親にやらされていて)、しりあがり先生の巻末マンガと各教科執筆者の先生の近況報告しか読んでませんでした・・・汗

漫画夜話イイですよね!いしかわさん、岡田さん、夏目さんのトリオじゃないと、あの絶妙な楽しさは出ないと思います!
『魁!男塾』の回は爆笑でした。
ああいったオタク的な番組はNHKが予算の都合で打ち切っちゃったみたいですよね。残念です。

投稿: ゴーダイ | 2010年9月27日 (月) 22時36分

ゴーダイ様

なんと・・・まさかベネッセのあれじゃないよなぁと思いながら上のコメント書いたのですがcoldsweats01

マンガ夜話はすばらしいですよねー。特に夏目さんのファンです。
ぜんぜん興味なかったマンガでも、輝けるオタク先生方のディープな語りを聞いてると
めっちゃ読みたくなってくる!
というわけで、マンガ夜話効果でハガレンなどオトナ買いしました。
あと『自虐の詩』も。
『男塾』の回は残念ながら観てないかもです。
不定期でいつのまにかやってて見のがしちゃうことあるんですよね。。。

ああいうマニアックな番組こそ、NHKにしか作れないのに。
いつかまた復活してほしいです。

投稿: kenko | 2010年9月27日 (月) 23時40分

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