十三人の刺客
地元での上映はほぼ終わってしまい諦めていたところ、所用で訪れた広島県呉市の映画館にて劇場鑑賞がかないました。
実は上映開始時刻にまにあわず、大慌てで劇場に駆け込むと既に、薄暗い部屋で役所広司と平幹二朗が密談してた。
まあ、暴虐殿様を13人の刺客が倒す!という大体のあらすじは知ってたから問題ありませんでしたけども。
タイトル見のがしちゃったな。
あと前日に八丁座で見たふすま絵のシーンをチェックしようと思ってたのに、すっかり忘れてた。
<あらすじ>
江戸時代末期、将軍・家慶の弟で明石藩主・松平斉韶(稲垣吾郎)の目に余る暴君ぶりを見かねた老中・土井利位(平幹二朗)は、御目付・島田新左衛門(役所広司)に斉韶暗殺の密命を下す。
甥の新六郎(山田孝之)はじめ、11人の男たちを集めた新左衛門は、暗殺のための計画を入念に練り上げていく。
しかし、斉韶の腹心・鬼頭半兵衛(市村正親)も新左衛門らの動きを察知し、殿を守るべく準備を進めていた。
血と泥にまみれた、殺し合いの地獄絵図。
日本映画界を代表する名優、怪優、実力派若手俳優たちのサムライ魂が炸裂しておりました。
リメイクの元となった1963年版の殺陣シーンは13人対53人なんだそうで、それならまあ、少数精鋭の刺客チームに勝算あるかも?と思えるけど、三池版ではなんと対300人。
どんなに13人が強かろうと、いかにクレバーな作戦を練ろうと、さすがに勝てる気しません。
が!彼らはこの世の悪を倒すべく、死を覚悟で集まった男の中の男たち。
やるといったらやるのです。
まず、大金積んで買い取った宿場全体をトラップにするという突拍子もない作戦でもって、300人はざっくり半分くらいに減る。
思いがけず特攻野郎Aチーム的な、おおがかりな展開にワクワク。
まるで針の山地獄のように、そこら中に刀が刺してある光景も不気味でいい感じ。
斬って斬って斬りまくる中、13人にはもちろんそれぞれ見せ場があり、伊原剛志さんの二刀流とかそりゃもうステキだし、なにかとペアで死にゆく男たちに私の中の腐女子な部分が一瞬反応したりもしたのだけど、終わりの見えない殺し合いの果てに見えてくるのは結局、暴力の虚しさ、みっともなさだったりする。
立ち回りがかっこいいとか言ってられない。
伊原師匠ですら、最終的には撲殺だもの。
唯一、大義名分の外側にいる、伊勢谷友介さん演じる山の民が、人としていちばんマトモに思えてくるくらい。
(岸部一徳さんとの例のシーンと、不死身の体はマトモじゃないけど)
そしてなんといっても、いちばんの見どころと言っていいスマップ吾郎ちゃんの悪役っぷり。
人の命を弄びながら、その非道な行いを楽しんでいる風ですらない、感情のカケラも見えない鬼畜殿様の役が、あのスマップ吾郎ちゃんにこんなにもハマってしまうなんて。
三池監督らしい、いい意味でのやりすぎ演出でもって殿様の最悪っぷりをこれでもかと見せつけられるわけですが、それを吾郎ちゃんが吾郎ちゃんゆえの涼しげな坊ちゃん顔で演じるもんだから余計ゾッとする。
四肢を切り落とされ舌まで抜かれた娘、それだけで奴を生かしておけぬ理由はじゅうぶんすぎるほどなのに、お膳に並べられた食事をぐちゃぐちゃにかき混ぜて犬食いするシーンとか何なのあれは。
こわすぎます
彼はなにゆえ、そんなにも壊れてしまったのか。
最悪の人間だけど、映画的には最高に魅力的なキャラクターともいえる。
嫌悪感を抱く吾郎ちゃんファンもいるかもだけど、映画ファンにはむしろ好感度アップなのではと思いました。
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コメント
お~、やっぱり冒頭のシーンは見逃していますね。
なかなかインパクトのあるハラキリ場面だったのよ。
前の記事で見せてもらった屏風は
ゴロー殿の城の部屋にあったような~!?
面白い作品でしたね。
わたしもできたらリピートしたいと、思っています。
トラバ、送らせて下さい。m(__)m
投稿: ほし★ママ。 | 2010年12月23日 (木) 20時45分
ほし★ママ。様
お返事ありがとうございます!
ハラキリシーン観たかったー!
私のバカバカーー!!
で、慌てて劇場に駆け込んだイキオイで、ふすまチェックも忘れちゃってたんですよね。。。
あるとしたら吾郎ちゃんの城ですよね〜!?
私そちらへ書いたコメントで、名前をken2としちゃってますが
大間違い!ダンナのハンドルネームがそのまま入っちゃってた
kenkoです。。。すみません。。。
投稿: kenko | 2010年12月23日 (木) 22時05分
kenkoさん、こんばんは。年末で忙しい毎日をお過ごしでしょうか
この映画、今年の邦画を代表する一本となりそうですね。バタバタと時代劇が公開されましたが、たぶん一番ヒットしたのでは・・・と思います
山の民のキャシャーン伊勢谷氏のどんでん返しには、みなさん驚愕されたようですね。中には怒られてる方も(笑) でもまあ三池作品だったら、あれくらいは十分アリではないかと思います
そして今回の功労賞はわたしもゴローちゃんだと思います。国民的アイドルなのに、文字通りドロにまみれてましたね
『悪人』や『告白』の岡田くんもひどい役をやってましたが、こういう細面でなまっちろいイケメン氏というのは、あえてとことん情けない人物を演じてみたくなるものなのでしょうか?
投稿: SGA屋伍一 | 2010年12月29日 (水) 20時17分
SGA屋伍一様
こんばんは!コメントありがとうございます


あっというまに今年も数日ですね。
今月は忙しかったけど、ようやく明日で仕事納め。
うちのことは・・・このままだと何もしないだろうなぁ
SGAさんは確か年末年始もお仕事でしたよね?がんばって乗り切ってくだせい
へぇ、これがいちばんヒットしてるんですか。
うちの方では『武士の家計簿』もかなりお客さん多かったです。毎回満席で。
今やってる『最後の忠臣蔵』もなかなか良さそうな気がしてます。
またしても役所さん。
山の民のオチはビックリしたけど腹は立ちませんでした。
三池的というより、ただキャシャーンこと山の民に生きててほしかったから。
死にたがりの侍たちの中で、彼の生命力は輝いて見えました。
ゴローちゃんは功労賞ですよねぇー
死に際も凄まじかったですし。
岡田くんも普通にしてれば超イケメンなのに、あえてヒドイ役をチョイスしますよね。
イメージとは逆の役にチャレンジしたくなるのかなぁ。
投稿: kenko | 2010年12月29日 (水) 21時40分