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ぼくのエリ 200歳の少女

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今年もあと3日!
クリスマスとかおかまいなしに、たまった映画レビュー立て続けにUPするつもりだったのに。
またしてもあいだが空いてしまいました。

『クローバー・フィールド』マット・リーブス監督による、ハリウッド版も話題の本作。
マット・リーブス監督ならまあいいかもだけど・・・この映画の良さって、やっぱスウェーデンだからこそなんじゃないの?とか思ってましたが、エリ役が『キック・アス』ヒットガールことクロエ・グレース・モレッツちゃんと知り、がぜん興味が沸きました。
予告を観る限り結構いい感じだし、評判も上々みたいですね。
そっちはそっちで楽しみshine

<あらすじ>

ストックホルム郊外の小さな町。12歳の少年オスカー(カーレ・ヘーデブラント)は、集合住宅で母親と二人暮らし。
ある晩となりに、オスカーと同じ年頃の少女エリ(リーナ・レアンデション)と、その父親が越してくる。
学校でいじめを受け、友達もいないオスカーは、謎めいた少女エリに惹かれはじめる。
エリが越してきたのと同時期、町では陰惨な殺人事件が立て続けに起きていた。

ぼくのエリ 200歳の少女 公式サイト

この映画のことを知ったのは約1年前、kazuponさんのベストムービー記事で。
日本での公開が決まり、邦題がなぜか『ぼくのエリ 200歳の少女』になっててちょっとひいたけど、なにはともあれ映画館で観ることができて幸せ。
期待した以上に美しくておそろしい、せつないヴァンパイアムービーでした。

雪の冷たさがスクリーンから伝わってくるような美しい映像にうっとり。
フォーカスをしぼったカメラワークはなんだかフロスティで、北欧特有の美しさと少年期ならではの色気を醸し出す子供たちを、奇跡のような繊細さでとらえている。
体温や吐息まで感じられそうなほど。
白くてきめ細やかな肌、金色のまつげと柔らかそうな髪・・・オスカー君はほんとアップに耐えうる。
そりゃ寄って撮りたくなります。
一方、黒髪でハスキーボイスで、そこはかとなく中性的なエリ。
オスカー君が恋する相手がビジュアル的に正反対なタイプなのも、バランス的にいい感じ。

ロシアのお人形アニメのようなかわいらしさもありながら、ホラー映画としてのスプラッター描写は容赦なかったりもして嬉しくなってしまう。
クライマックス、プールでの惨劇のシーンとか素晴らしすぎますし。
その点、『第9地区』の有無を言わせぬ娯楽映画っぷりに通じるものすらある、意外ときっちりエンタテイメントな作品。

とにかく子役がみんなすばらしいんだけど、エリの保護者のおじさんもよかった。
おじさんに対するエリの不遜な態度や二人の微妙な空気感から、おじさんが父親でないことはなんとなく分かる。
おじさんはどうやらヴァンパイアではなく人間。
が、エリのために、人を殺して血液を集めているようだ。
それがもうびっくりするほど手際が悪くて、ことごとく失敗してはエリに叱られる。
これまで幾度となくやってきたことだろうに、ここにきてドジふみすぎでしょう、とつっこみたくなるが・・・おじさんも老いて容量が悪くなってしまったのか。
もしくは潜在的に、呪われた日々から解放されたかったのかもしれない。
けれどおじさんは心からエリを愛してた。これはこれで切ない、残酷なラブストーリー。
ラスト、エリと生きることを決めたオスカーの表情は幸福感に満ちているけれど、どうしてもおじさんの最期がチラついて・・・いずれはオスカーも、おじさんのような結末を迎えるのかもしれないと思いました。

とまあ、概ね満喫したわけですが。最後にいちおう言っておきたいモザイク問題。
エリは何度か自分のことを「女の子じゃない」と言う。
その言葉を素直に受け取れば「人間の12歳の女の子」ではない、という意味だと思うし、ヴァンパイアは生殖能力がないとかそういう設定かなぁ?なんて勝手に妄想していたのもあり、例のモザイクシーンがなんとなく気になって後で調べてみたら・・・
案の定、映倫さんの判断が、物語の重要なニュアンスを著しくそぐ結果になっていました。
少年とヴァンパイア少女の物語、として捉えたとしても、それはそれで素晴らしい作品なのだけど・・・なんかそういうの知っちゃったら、もうとたんに残念です。
12歳の少年と、人間じゃない、女の子ですらない少女の姿をしたヴァンパイアだからこそ、いっそう純度を増す物語、なのではないですか。
てゆーかモザイクってそもそも、お話にのめり込んでいるときは特に、急に現実に引き戻される感じがするし・・・モザイク反対!!

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映画」カテゴリの記事

コメント

最近(昔から?)ヴァンパイアもの多いですよね。欧米でゾンビと吸血鬼ものはお決まりなんでしょうね。

>てゆーかモザイクってそもそも、お話にのめり込んでいるときは特に、急に現実に引き戻される感じがするし・・・モザイク反対!!

同感ですw。あれ逆効果ですよね。逆にエロいと言うか・・・

っていうか本編にモザイクが入る映画ってそうそうないですよね?そんなにグロいのですか?何を隠したのかすっごい気になりますw。

投稿: ゴーダイ | 2010年12月29日 (水) 09時06分

ゴーダイ様

今年は特にヴァンパイアものが多かった気がしますね。
トワイライトシリーズもそうだし。観てないけど。
『デイブレーカー』とか超観たかったのに、見のがしてしまい残念bearing

そうそう!モザイクって逆にエロいときありますよねぇー
最近はあんまり見かけなくなったけど・・・あ、そういえば『ブルーノ』であった。
しかしあれはやむを得ずかなsweat02
昔のだとMyベストムービーのひとつ『シャイニング』の中のモザイクシーン(全裸の美女、のち老婆のシーン)が印象深いです。

で、気になるでしょ?何を隠したのか。
長くなりますが、なるべく簡潔にお話すると・・・
少年が少女の着替えを覗いてしまうシーンがあって、そこで少女の股間にモザイクがかかるんです。
思春期の少年らしい、ちょいエロエピソードかと思いきや、実は少女の股間にはかつての男の子の証しを切除した傷跡があるらしく・・・
つまり、少女はほんとうに女の子ではなかった、というハナシなんですね。
それがモザイクのせいで、ぜんぜん伝わらない感じになっちゃってて。
日本公開版のみのこういう処理、非常に残念です。

投稿: kenko | 2010年12月29日 (水) 18時28分

こんにちは☆

kenkoさん、今年も宜しくお願いしますね。
いつも伍一くんとこのコメから飛んできちゃってます☆
映画ベストはつくらないのかな??

私はこれベスト10に入れちゃいましたよ〜♪
今原作の後半読み中です

リメイクもよりホラーっぽく、楽しみです
でもそう、北欧のしんしん雪が降る雰囲気がいいんですよね〜

投稿: mig | 2011年1月 7日 (金) 10時24分

mig様

migさん、あけましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いします〜
SGAさんとこの漫画大賞から飛んできてくださったのかな。
ありがとうございますm(_ _)m

映画ベスト書きます!たぶん明日かあさってくらいに。
今回ちょっと、例年になく悩んじゃってるんだけど
私もたぶん、僕のエリ入りそうcatface
原作読まれてるんですね!
リメイク版観る前に読んでおきたいですね〜

投稿: kenko | 2011年1月 8日 (土) 22時13分

こんばんは~♪
かなり満足した作品ですねぇ。
基本、目の前に映し出されるもののみで映画を観ちゃうので、モザイク云々は全く気にならなかったし、その向こうが見えたとしてもそもそも吸血鬼は人間と非なる存在なんで、印象はあんまり変わんなかったかもなぁとも。まぁ、肝心のオチにモザイクを掛けてしまった『ブギー・ナイツ』みたいなとんでもない作品もあるんで、自分の狭い倫理観のみでモザイクを掛けまくる問題は、もう少し大きく取り上げた方がいいとも思いますが^^;
というか、なんでもかんでも「いかがわしい!」と感じる人って、本当にスケベなんでしょうねぇw

投稿: たお | 2011年2月11日 (金) 23時53分

たお様

こんにちは!
うーん、私も、例のシーンのこと知る前は全く気になってなかったんですけど
ついうっかり調べてしまったんですよねぇ・・・インターネットってベンリだから。
モザイクの向こうが見えたとしても、確かにそんなに印象変わらなかったかもだけど
作った人たちの意図に反して勝手にモザイクかけちゃったのだとしたら、それはやはりあまりにあんまりだなぁと。
あ、そういえば『ブキーナイツ』もでしたね。
もー、モザイクとかほんと、心底いらないわdespair

なにはともあれ、近年稀にみる素晴らしい作品でした。

投稿: kenko | 2011年2月12日 (土) 15時18分

今年はめっちゃ寒い日が多いので
うちの猫は機嫌が悪いですがお宅の猫ちゃんは?

DVDでやっとこの作品観ました~~
素晴らしかったです。こんな味わいの作品他に知らない~
ホラー好きの私としては
あのプールのシーンは何度でも観たいお気に入りのシーンです。
センスがいいのよねぇ,見せ方の。

例の無粋なモザイクは・・・意味もわからず映倫が!
作品の意味まで変わってくる場合はモザイクはやめてほしいですね。
原作も読みましたが
あの保護者のオジサンの末路(原作では死に損なってゾンビ化しちゃう)以外は
映画はほぼ原作に忠実でした。

投稿: なな | 2011年2月18日 (金) 20時04分

なな様

お返事がとっても遅くなってしまってごめんなさいですm(_ _)m

今年は寒かったですねぇー
もー雪とか見飽きたcoldsweats01
ななちゃんはご機嫌ななめでしたか。
うちのは特にいつもと変わらないように見えましたが、
いつもは入ってこないお布団に明け方になると入ってきたりしたのは
さすがに寒かったからかも?

僕エリ、滅多に出会えないような素晴らしい作品でしたね。
去年のベストにも入れたし、大好きな作品。
ななさんの感想読ませていただいて、再見したくなりました。
しかしモザイクってただでさえテンション下がるのに、
お話の意味まで変えられてしまったのにはがっかり。。。
ななさん、原作も読まれたのね。
おじさんの末路は原作ではそうなるんですね〜
今ちょっと引っ越しの準備でばたばたしているのですが
落ち着いたら読書に映画に更新に、はげみたいと思いますcatface

投稿: kenko | 2011年2月21日 (月) 18時55分

いまごろですがこちらにコメコメです
地震前に地方のうらぶれた劇場で観てきました。なんだかこの映画からにじみ出ている孤独感が一層深く味わえたような気がしました(笑)
モザイク部分がよくわからなかったせいで、「エリって両性具有者なのかしらん」なんて勝手な想像をしていたのですが、あとでmigさんから正解を教えていただきました。まったくまぎらわしいなア、モザイク!

ところで上のポスター、怖いですね。なんか普通のホラー映画みたいだ・・・

投稿: SGA屋伍一 | 2011年4月10日 (日) 21時16分

SGA屋伍一様

SGAさん、いつもコメントありがとうですm(_ _)m

コギレイなシネコンよりも、うらびれた映画館のほうが断然雰囲気合いそうですね。
問題のモザイク部分、観た直後は全然気になってなかったんだけど
ふと思い立って調べてみたら・・・ねdespair
お話の意味が全く変わってしまうモザイクは勘弁してほしいです。
クロエちゃんの『レットミーイン』ではどうなってるのかな。

確かにこのポスター、日本版のに比べてかなりホラーしてます。
日本のはかわいいオスカー君ですもんね。

投稿: kenko | 2011年4月13日 (水) 00時27分

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