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白いリボン

Das_weisse_band

今年の始めに観たやつですが・・・
『ファニーゲーム』『隠された記憶』のミヒャエル・ハネケ監督作品。
モノクロで語られる、第一次世界大戦前夜の北ドイツ。
平穏なはずの農村で、次々と起きる不穏な事件。
なんせハネケですから・・・不穏といったらもう、他の追随をゆるさない不穏です。

白いリボン 公式サイト

自らの作品をリメイクした前作『ファニーゲーム U.S.A.』では、これは元の『ファニーゲーム』でもそうなのだけど、冒頭の爆音が観る者をこのうえなく不快な気持ちにさせました。
ところが今回、うってかわって無音。
あれ?音出てないよ?と、うっかり映画館の人に教えてあげたくなるほどの無音。
真っ黒な画面に、ぽつぽつと浮かぶそっけないクレジット。
この無音なひとときがまた、とてつもなく息苦しくて不快でsweat02
本編中にもBGMといえる音楽はいっさいなく、劇中の登場人物が奏でる楽器の音や、子供たちが歌う賛美歌くらい。徹底してんなーと思いました。
不穏だ、不快だと繰り返してますが、モノクロのリアルな悪夢へ迷い込んでしまったかのような感覚は唯一無二の映画体験。映像はとても美しいです。

暴力に満ちた物語であるのに、直接的な暴力シーンはけして映さない。
しかしながら、ドアの向こうの鞭の音、痛みに耐える子供の声、それだけでもうたまらない。
逃げ出したくなってしまう。
牧師である父はそのあまりに厳しすぎる教育を、心底正しいと信じてやってるからこそタチが悪いです。
子供たちの中にたまった澱み、鬱憤のいきつく先は、当然のことながらより弱い者に対する暴力。
穢れたものを赦さない、穢れなき、歪んだ心。

「世界は壊れたりしない」というセリフが出てくるが、そのとき既に世界は壊れはじめていたことを私たちは知っている。

今回は救いと言えるエピソードもあったりして、それは小鳥にまつわる末っ子のエピソード。
父は自分の教育が間違っていたことを、そしてそれが取り返しのつかないところまで子供たちを追いつめてしまったことを、小鳥の亡骸を見たとき思い知ったろう。
父にとっても、末っ子の優しさは救いであったろう、と思います。
物語の語り部である教師と少女のエピソードもまあ、微笑ましいといえば微笑ましいし。
彼女にもどうせ裏があるんだろう・・・とか勘ぐって観ちゃうのはハネケゆえ。

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