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ドリーム・ホーム

Dreamhome

香港製スプラッタホラー。
香港では一般市民の平均収入に対し、住宅価格がありえないほど高いんだそうです。
そんな事情のもと、海の見える高級マンションを手に入れることに取り憑かれたOLが繰り広げる、堂々たるグランギニョル。

ドリーム・ホーム 公式サイト

マンション管理人おっちゃんのド迫力殺されシーンを皮切りに、次から次へと披露される殺人のアイデアがいちいち斬新。
なかには確かに、観る人によっては怒られても仕方ないやり過ぎ感の強いものも含まれますが、ホラー映画として新しいものを見せようとする、その意気込み、チャレンジ精神、情熱にこそ拍手。

主人公チェンを演じるジョシー・ホーは美形なんだけど、ヘアメイクや衣装で冴えない感じをうまく演出している。
実際のジョシーさんは貧乏どころか大富豪の娘さんだそうですが、そんなの劇中では微塵も感じさせません。(あたりまえか?)
自信に満ち溢れていてはいけない、エキセントリックなのも違う。
どんな血みどろの修羅場であっても、それを乗り越えた後も、チェンはあくまでも幸薄い寂しい目をした女。というのが、やってることの残虐さに対してのギャップになっててなんか新鮮。

いったい何が、彼女をこのような凶行に走らせるほどに追い詰めたのか。
チェンの少女時代から現在に至るまでの不幸なあれこれを、殺人シーンと交互に小出しに見せていくという構成で、なるほど彼女にはそれなりの理由があったのだと、じわじわと納得させられる。
夢のマイホームをゲットするために、チェンがいったいどれほどのことをしたか、いちど悪魔の囁きに耳を傾けてしまったからには後戻りはできない。とことんやるしかないのです。

チェンの行動は一見、やけになってむちゃくちゃやってるように見えるけど、実はあんがい理にかなったものだったことがラスト近く判明し軽くオドロキ。
いきあたりばったりの残酷劇に目を奪われて、まったく思い至らなかったコロンブスの卵的発想。
チェンさんてば頭いい!とうっかり感心したりして。
がしかし、だとしても、彼女の行いのディティールはあまりにあんまりすぎる。
いつだって女を裏切るどうしようもない男たちや(この映画に出てくる男はどいつもこいつも最低)、持たざる者を虐げる理不尽な世の中すべてに復讐しているようしか見えなくて、そこに猟奇的な悦びがなかったとはどうしても思えないのでした。

メガストラクチャーだったり、スモールワールドだったり、香港の街をスタイリッシュに切り取るカメラワークも印象的。
貧困層が暮らす老朽化したアパートが林立する路地のすぐその先に、ピカピカの高層マンションが建っているというチグハグ感。
幾重にも重なった巨大建築物のラビリンスに迷いこんでいくようなオープニングからして、そこはまるで現実感のない街で、こんな街に囚われてしまっては到底抜け出すことなどできず、ならば狂うしかないのかもしれません。


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コメント

香港やマカオの繁栄を築いた大富豪の娘さんが
この作品のヒロインを演じるのが黒い笑いになってますね。
コンドミニアム一棟丸ごと買えますやん。
中国本土のバブルがはじけたら、ホンマに血の雨が降るんでしょうね。
日本も無事じゃ済まないよう。

投稿: 奈良の亀母 | 2011年8月27日 (土) 20時05分

奈良の亀母様

ヒロイン役の女優さんが実は大富豪の娘さんだと後で知ってビックリ。
しかも本作ではプロデューサーまで務めてるそうですね。
自ら黒い笑いを演出するとはすばらしいです。

中国のバブル崩壊、いいかげん近い将来でしょうか。おそろしいわ。

投稿: kenko | 2011年8月28日 (日) 15時32分

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