ロスト・アイズ
ギレルモ・デル・トロ製作のスペイン産ホラー。
ずいぶん前から楽しみにしてました。
『永遠のこどもたち』と同じベレン・ルエダ主演で、似たところもありつつ、後半の予想に反した展開がおもしろかったです。
ネタバレしてます
最初はホラー映画としてちょっと緊張感が足りないような気がしながら観てたのですが、ヒロインが目が見えない人のための支援センターみたいなところへ行って、更衣室で立ち聞きをするシーンあたりからおもしろくなってきました。
相手が盲目だからこそのシチュエーション。
見えないはずなのに気配で察する勘の鋭さが、妙に怖かったりもして。
ストレスで発作が起きるたび視力が弱くなり、最終的には失明するってどういう病気なのかよく分からないのですが、物語中盤ヒロインはとうとう失明し、手術をします。
そこからの見せ方がまた変わってる。
手術後、数日間は包帯を絶対に取ってはいけないことになっていて、ヒロインが包帯してる間、ヒロイン以外の登場人物の顔を映しません。首から下だけ。
見えない焦燥感をヒロイン視点で伝える手法として、全くの暗闇でお話を進めることは不可能だけど、顔だけ見えないことで、もどかしさをうまく演出していると思いました。
誰も彼もが疑わしく思える。
で、追いつめられたヒロインがついに自分で包帯を取ってしまったあとの展開もまたスリリング。
介護人の正体。幽霊なんかじゃなく、血まみれのナイフを手に確かにそこにいる生身の男。
ヒロインが「見えている」ことに気付いていない男の、見えている人の前では絶対やらない行動がめちゃ怖い。
ヒロインは恐怖を押し殺して「見えない」演技をします。
『暗くなるまで待って』とか、クラシックなスリラー映画を連想させる作品でしたが、母の息子に対する変質的な愛が実は男の精神を歪めていたというオチは『サイコ』っぽくもありました。
ダンナ役ってどっかで見たと思ったら『抱擁のかけら』の俳優さん。
早い段階でまずダンナが怪しいのですが、ふたりが恋に落ちたときのエピソードで、このダンナは信じていいと思わせます。
ひとりの女を一途に愛す、そんな役がハマる役者さんですね。
夫婦の物語でもあり、やはりギレルモさんが関わるホラーはただ怖いだけでは終わらせないです。
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コメント
スーパーナチュラルな雰囲気で始まったかと思いきや、サイコサスペンスに変貌して夫婦愛でまとめる、盛りだくさんな要素を上手にまとめた作品でしたねぇ。それにしても、“人に気付かれない”って使い方によっては素晴らしい才能だなぁと。会議とか当てられたくない授業とかでは。
投稿: たお | 2011年12月21日 (水) 00時41分
たお様
そうそう、スーパーナチュラルからサイコサスペンスへの変貌、
場合によってはがっかりパターンなんだけど、うまく変貌していたので
とてもおもしろく観ることができました。
ほんと「人に気付かれない」も考えようによっちゃ
素晴らしい才能なのにね(笑)
悪い方へ行っちゃいましたねー
投稿: kenko | 2011年12月21日 (水) 11時39分
というわけで次はこちらに・・・
包帯を取りたいんだけど取れない。このもどかしさ、かさぶたをはがしちゃいけないのにはがしちゃう、その感覚と似てるような・・・ いや、似てませんね、はい
しかしどうしてヨーロッパ映画のヒロインって熟女が多いんですかね? いや、わたしもそんなに嫌いじゃないですけど。って何を書いてるんだろう
助けに来たのにパックリされてしまう女の子が気の毒でした
投稿: SGA屋伍一 | 2011年12月29日 (木) 23時01分
SGA屋伍一様
こちらにもどうもです!
カサブタはがしたい気持ちと似てるかも(笑)
私すぐはがしちゃいます。で、流血。
たしかにねー、熟女多いですね。
日本人的な感覚では違和感かんじるくらいの役どころで、熟女だったりしますよね。
最近、美魔女とか、年齢のわりにありえないくらい見た目が若い女性がもてはやされたりしてるけど
どっちかってーとヨーロピアンなナチュラルな美熟女に憧れます。
熟女好き、いいじゃーん。
パックリされちゃう女の子、残念でしたね
投稿: kenko | 2011年12月30日 (金) 01時47分