おおかみこどもの雨と雪
オープニングでスタジオ地図とクレジットが出て、ん?と思ったのだけど、本作から細田監督が立ち上げた劇場用アニメーション映画専門のスタジオなんですってね。
劇場用アニメ専門というと、日本には他にジブリしかないんだそうで。
貞本義行キャラクターデザイン、細田守監督というスタイルで、次世代のジブリになっていくのかな・・・と想像しました。
ファーストカット、夢のシーンで風に揺れる花々の美しさにいきなり心を掴まれる。
この時点で早くも私、涙腺ゆるんでます。
『となりのトトロ』でなんでもないシーンなのに泣いちゃう感覚に似てる、すべての日本の劇場アニメを観ているわけではないけれど、このクオリティは段違いなんじゃないでしょうか。
雪山のシーンの疾走感とか素晴らしいよね。
動く絵として気持ちいいってだけで感動的。
子育てがテーマとのことですが、まずは狼男とのリアルな恋愛からの結婚生活で乙女のツボをついてくる。
狼男ってのは吸血鬼と並んでセクシーで危険な男の代表です。
現女子、元女子に関わらず、誰しも女子なら一度は男前でワイルドな狼男に恋したことがあると思うんですよ、妄想の中で。(きっぱり)
謎めいた男の特別な秘密を知るのは自分だけ・・・てのがまたね
花ちゃん普段はけして異性に対して積極的なタイプではなかろうと思いますが、彼に対してはピンときたのでしょう。分かります。
で、例に漏れず男前で野性的だけども繊細さも併せ持つ狼男と恋したあげく・・・子供作っちゃうって!!
タブーに触れてきたー!!やってくれました細田監督。
現代日本を舞台に、狼男とのリアルな結婚生活を描くって、これまでありそでなかったわ。
しかしながらふたりの幸せな日々は長くは続かず、あるとき悲劇が訪れる。
ほんとにとんでもない悲劇だよね・・・遺体も引き取れないって。
大学も休学して若いお母さんがたったひとりで、狭いワンルームのアパートで誰にも言えない秘密を抱えながらの子育て。
心も身体もぼろぼろになって当然と思うけど、花ちゃんは驚くほど強い女性なのだった。
前作『サマーウォーズ』は確か、監督の奥さんの実家での経験をヒントにしたと聞いたので、もしかしてその後お子さんが生まれて実際に子育てをされた経験に基いているのかな?と思ったけど違うみたい。
細田監督に子供はいなくて、監督のお友達が子育てする様子を見て、とのことらしいですね。
にしては、とてもリアルな子育て描写。
て私も子育て経験ないけど、周囲は真っ最中の人ばかりでいろいろ見聞きするし、そう感じました。
それとリアルなワンコ描写(笑)
小さい子のいる生活とワンコのいる生活が絶妙にミックスしてて笑える。
子育てからの子離れもテーマにしてるのかなと思いました。
雨も雪も自立するにはまだ幼すぎるように感じられるけど、確かに10歳とか12歳とかそこらでだんだん子供って自分の世界を持ち始めるし、子供が自分で進むべき道を選び、精神的に自立しようとしているのに無理やり引き止めるのは違う気がする。
雨が逞しい大人のオオカミの姿で遠吠えするのを見て直感的に悟る花もまた、その瞬間、親として成長したのだろうと思います。
親の完全な庇護の元にある時期を過ぎたら、少し距離を置いて見守るくらいがちょうどいいのかも・・・って普通に考えたら当たり前のことだけど、なかなかできることではないんでしょうねぇ。
田舎のコミュニティ描写もあるあるだらけでおもしろかったし、柱のキズや、曇った窓ガラスを拭いたらレトロな模様が浮き上がったり、細かい演出も好きでした。
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コメント
ブログ更新おつかれさまでしたw
女子なら一度は吸血鬼か狼男に恋をするもんなんですね。
カレとだけの秘密を共有したいってシチュエーションになんか萌えるのでしょうかwう~ん女性の世界だ!
実写を効果的にコラージュした丁寧な描写と対照的に、お話の流れの基本的な設定はかなりファンタジーでしたよね。うまいコントラストになっていたように思います。
でもあざといんだよな~!ww
投稿: ゴーダイ | 2012年8月22日 (水) 01時41分
実はこれの絵コンテをうちの会社で出している関係でちょっと客観的に観れなかったかもですが、ホントに久々に映画館で娘と観たこちら、3回ぐらい泣いてしまいました!
最後にいくにしたがって段々と結末が見えてきて「終わらないでくれ~」と思いつつエンドロール、いや~映画って良いなあと心から思った1本です~(^o^)丿
投稿: 猿吉君 | 2012年8月23日 (木) 14時25分
ゴーダイ様
いえいえ、大したこと書いてないくせに時間かかってしまいましたが・・・
さっそくコメントをありがとうございます!
そうです、女子なら一度は吸血鬼やら狼男やらに恋するものなのです。
トワイライトシリーズとか大人気なのがその証拠!
秘密の共有、特別な秘密を持つ彼を私だけが分かってあげられる、
そしてそんな特別な彼に愛される特別な私、とか萌えるシチュエーションとしては
いろいろ揃ってると思います。。。
あざといか〜。言われてみればそうかもな。
私はすんなり感動しちゃいました。観てるあいだほぼ泣いてたかも。
投稿: kenko | 2012年8月25日 (土) 12時54分
猿吉君様
おー、猿吉君さんの会社で絵コンテ出してるんだ!
娘さんと観に行かれたのですね。
私も夏休みに姪っ子たちと観ようかなーとちょっと思ってたんだけど
先にひとりで観ちゃった
もういっかい観てもよかったかな。
娘さんの感想はどうでしたか?
いい映画でしたよね、私も実は観てるあいだほぼ泣いてた
投稿: kenko | 2012年8月25日 (土) 13時00分
「特別な彼に愛される特別な私」おお、乙女心をピンポイントで
ついてきますなあ!元女子ですが、人外の存在の中でも狼男はかっこいい。
ウルフガイシリーズにはまったもんなあ。「トワイライトシリーズ」の映画で
ジェイコブ君のモッフモフの毛皮に萌えました。
ETV特集で「神獣ニホンオオカミ」を観た時も引き込まれました。
投稿: 奈良の亀母 | 2012年8月27日 (月) 22時11分
奈良の亀母様
あはは、「特別な私」そういうことですよね、要するに(笑)
だいぶ異色ですが、『火の鳥 太陽篇』のハリマとかも男前な狼男として思い起こされます。
トワイライトシリーズは実はつい最近二作目まで観て、
吸血鬼の彼よりも断然ジェイコブくんがいいじゃんと思った!
とんでもない寸止め劇場だな・・・とも
ETV特集でニホンオオカミやってたんですね。
オオカミって不思議な魅力がありますねー
投稿: kenko | 2012年8月29日 (水) 14時17分
遅ればせながら~
この映画、未だにヒットしててすごいですね。今年はジブリの新作がなかったので、満たされなかった人がドバッとこちらに流れ込んだのかもしれません。でもそれを抜きにしてもよい映画でした
正直自分は『時かけ』の方がキューンと来たし『サマーウォーズ』の方が楽しかったんですが、やっぱり描写のきめ細かさとか映画としての実力は前二作より上をいってますね。さすがは細田守監督です
そういえば細田監督、ちょうど昨日第一子がお生まれになったとか。これから苦労するんだろうなw
投稿: SGA屋伍一 | 2012年9月25日 (火) 22時09分
SGA屋伍一様
こちらからお邪魔すると宣言しておきながらやはりこんなことに・・・
ごめんなさい。そしてありがとうですm(_ _)m
ジブリもなかったし、同時期に公開された『メリダのおそろしの森』も評判いまひとつだったみたいだし?(←結局行ってない・・・)
こういう良質なアニメ映画がヒットするのはいいことだ。
『時かけ』も『サマーウォーズ』もすばらしかったけど、
私はこの『おおかみおとこ』がいちばんかも。
ほんと、きめ細かい描写にいちいち感動しました。
細田監督、お子さん産まれたんですねー!それはめでたい。
アニメといえば今日から公開の『アシュラ』も気になっております。。。
投稿: kenko | 2012年9月29日 (土) 11時09分