ダークナイト ライジング
前作『ダークナイト』は、ヒース・レジャーが演じたジョーカーのあまりにも強烈な存在感、その言動のひとつひとつが脳裏に焼き付いて離れない傑作。
私のその年のベストワンムービーだし、ゼロ年代ベストにも入れた、特別な思い入れのある作品のひとつです。
その続編で、ノーラン版バットマンの最終章だってんだから、期待は高まる。
予告編の超一流感もハンパなく、初めて観たときは鳥肌が立ったし、前作から引き続きのキャストも新たなキャストもそりゃもう豪華で、この夏一番、いや今年一番の期待作と言っても過言ではありませんでした。
期待しすぎてよかったことなんてほとんどないのだけど、本作に限っては間違いないだろうとなぜか確信までしていた。
公開が迫り、聞こえてくる評判も概ね絶賛ぽかったですしね(あんまり聞かないようにしてたけど)
とにかく『ダークナイト』を観たときの興奮を再び味わう気満々で映画館へ出かけたのでした。
ところがどっこーーい。
あれ?なんか・・・イマイチじゃない?
クリストファー・ノーランてシリアスで知的な、考え抜かれた隙のない映画を作る人という印象だったんだけど・・・ツッコミどころ多すぎじゃなーーい??
てのが、1回目観た直後の正直な感想。
例えば先日観た『アベンジャーズ』(まだ感想書いてませんが)も同じようにツッコミどころだらけなんだけど、基本ノリが脳天気でどちらかと言えばコメディに近いので、なんでやねん!と笑いながらツッコんで楽しめる。
『ライジング』はシリアスぶってるだけにそれができなくて、てかシリアスであればあるほどやってることが間抜けに見えてしまった。
キリがないので全部は挙げませんが、やっぱりいちばん気になったのは、ハリウッド映画ではよくある核の雑な扱い(笑)
ノーラン、おまえもかーー!!ってなるよね・・・
『ダークナイト』よりも『ビギンズ』を予習しておいた方がいいと聞いてはいたのだけど、『ビギンズ』の内容もしっかり覚えているつもりだったので特に予習せず観に行ったら、確かに思った以上に『ビギンズ』絡みの話で、私の記憶も思った以上に飛んでいた。
まさかラーズ・アル・グールが出てくるとは。
帰宅してすぐ、iTunesで『ビギンズ』をダウンロードして観て、『ライジング』と『ビギンズ』がとても似通った話であることに気付く。
バットマンの原点であるブルース邸の古井戸と、この世の果ての牢獄<奈落>はそっくりだし、悪の親玉がアイツと思ってたら実はコイツだった、というのも同じ。
パールのネックレスだし、『ビギンズ』でラーズ・アル・グールが成し遂げられなかったことをしようとするしね。
なんでここまであからさまに『ビギンズ』をなぞっているのかって、やはり伝説というものは繰り返し語られるものだからだと思いました。
繰り返し語られて、やがて神話になる。神話感を強調したかったのかなと。
で、これは『ビギンズ』ふまえてもう一度観てもいいかなと考えてたところ機会がありまして・・・2回目では1回目で気になったツッコミどころも場合によってはぎりぎり理由付けできるなーと思えました。
例えば、ブルース邸にマリオン・コティヤール演じるミランダがやってきて、ブルースと肉体関係を持つシーン。
それまで惹かれ合う描写など全くないだけにあまりに唐突であっけにとられるのですが、よく見ればミランダの方から迫ってますし、傷心で8年間も引きこもってておそらくはご無沙汰で、アルフレッド出て行くわお金ないわで失意のブルースですから、ミランダのような美人に迫られたらまあなんとなくそうなっちゃっても仕方ないかなと
ミランダにしてみれば作戦のうちだったんだろうし。
ベイン達と警察が殴り合うシーンも最初観たときはものすごくアホに見えたんだけど、先陣が次々と倒れても全く怯むことなく武装したベイン達に立ち向かってゆく警察の方が数が多そうでしたし、銃だけでは対応しきれなくてあのような乱闘になったのかなと(苦しい?)
あと約3時間と長丁場の映画ですが、いっそ4時間くらいで前後編にしてもよかったんではと思うんですよ。
ずいぶんあちこち端折ってる印象だったから。
奈落を脱出したブルースがどうやってゴッサムまで辿り着いたかとかそういうシーンもあるんでしょ、ほんとは。
いろいろ文句を言いましたが、期待があまりに大きすぎただけでけしてつまらなかったわけではないし、よく考えたらシリーズもので続編が前作を超えるのってなかなか難しいよね・・・とも思う。
『ダークナイト』が特別すぎたのね。
アン・ハサウェイのキャットウーマンはとても魅力的でしたし、個人的にはジョセフ・ゴードン=レヴィット演じるブレイクの存在がフレッシュでよかった。
おそらくはこの映画最大のネタバレ禁止事項の方はどうでもいいんだけど、ブレイクが本名を明かしたときはやっぱりか!と嬉しくなりました。
『インセプション』の監督だけに最後のシーンはアルフレッドの夢なのではとうっすら思ったり・・・なわけないか!
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コメント
正直ノーラン版バットマンには全く心が反応しない私なんで、今回も“なんか小奇麗なゴッサムシティを舞台にした詰め込み過ぎの一本”って印象しか^^;
まぁ周囲の絶賛ぶりからすると、ホント単に趣味が合わないだけなんですけど・・・。
投稿: たお | 2012年9月 4日 (火) 23時29分
たお様
確かにノーラン版ゴッサム・シティはふつうにニューヨークって感じですもんね
バートンのバットマンもノーランのもどっちも好きだけど
ゴッサムシティはバートンのが好きです。
そしてライジングは同じく詰め込み過ぎと感じました。。。
投稿: kenko | 2012年9月12日 (水) 23時08分
あららイマイチでしたか
わたしが特に笑えたツッコミどころは
アレを乗せたトレーラーが転落→運転席の人コキャッと死亡→なのに荷台からゴードン警部がピンピンして飛び出てくる
ゴードンよ・・・ あんたどんだけ丈夫なんだ・・・と。伊達に何回も死にかけてるわけじゃないんですね!
たぶんヒース・レジャーが生きていたらもっと違った形の完結編になったと思うのです。もうジョーカーを出せないから仕方なく?ビギンズをなぞった内容になっちゃったのかなあと
ちなみにリーアム・ニーソンは「ちょびっとだけ現場に連れてかれたんだけどなにがなんだかさっぱりわからなかった」と語っていたそうですw
投稿: SGA屋伍一 | 2012年9月30日 (日) 20時18分
SGA屋伍一様
もうお返事放置しすぎて・・・あえてあやまらないっ(あやまれ!)
うん、イマイチでした。でも二回観たらそうでもないかな?とか
先日iTunesで配信されるやいなやレンタルして観たりもしたし、
文句言いながらもやっぱ好きなのかもしれません。
ですね、ヒース・レジャーが生きていたらね。
世界中の人に期待されすぎて、ノーラン監督もどうまとめたものか
分からなくなったのかも・・・て、そんなわけないか、ノーランさんに限って。
リーアム・ニーソンの話、笑えますね
投稿: kenko | 2012年12月13日 (木) 23時17分